2024年4月29日

北海道 根室 海鮮祭り ~海産物の宝庫~

根室は遠い

知人の激励会が開かれることになり、2年ぶりに根室を訪れた。とにかく、根室はアクセスが悪い。「根室中標津空港」は名前だけで、根室市内までは1時間半かかる。根室本線も釧路から先の「花咲線」は特急すら走っていない。各駅停車で釧路から根室までは2時間半。ほとんどの駅が無人駅だ。

いくら列車の本数が少ないとは言え、1日の乗客が20名以下の駅に存在価値はあるのだろうか。駅を廃止して、浮いたお金を路線の改修などに充てたほうが、よほど現実的な気がする。釧路から根室まで、車なら2時間で着くのだから。

札幌から釧路まで空路で向かい、レンタカーを借りて根室まで。空港から釧路市街に入る手前で、できたばかりの高速に乗る。高速を降りてから根室まではほぼ一本道だ。信号も少なく、交通量も多くないから、みんな飛ばす飛ばす。明らかに時速100km以上で走っている車もザラだ。だが、この日は高速を降りてから流れが悪い。後ろからパトカーと救急車がサイレンを鳴らしながら追い越して行った。15分ほど走った先で交通規制。事故だった。片側一車線で、他に回り道もできないから、事故が起きればすぐに交通に支障が出る。

ここで気づくのが、釧路町である。釧路市の隣にある自治体だ。元々、釧路市が釧路町だった頃に分かれた地域が、昭和30年に近隣と合併して釧路町となった。同名の市と町が隣り合わせなのも、ややこしいというか、めずらしい。そう言えば、高知にも四万十市と四万十町がある。いずれも市町村合併により誕生した自治体だ。さらにややこしいことに、四万十市内にも四万十町という地域があり、もう何がなにやら。

天気の悪い中、文字通りの原野を走ること1時間半。根室市街の手前、道の駅スワン44にて一休みだ。ここは白鳥で有名な風蓮湖のほとりに建つ、綺麗な建物が特徴だ。お土産も充実していて、食事も美味い。夕食前なので、地元民おすすめのソフトクリームを食べる。

夜になり、激励会の開始時間となる。今年3回目の激励会だ。会場はホテルではなく、卸売市場だ。招待状には、服が汚れるので、スーツを着て来ないようにとよ案内があった。なにやらワイルドな予感がする。そう言えば、昨晩、吉良が私に尋ねてきた。

「明日って、マジでスーツでなくていいんですか?」

真面目に答えてしまったが、

「そんなわけないだろう。ネクタイ着用だよ。常識で考えろ。」

と答えればよかったなと、今さらながら悔やまれる。なぜなら、会場は本気で「大規模バーベキュー」だったからだ。ここから私は根室の本気を見せられることになる。

根室の本気を見た

激励会が始まった。乾杯が終わるとともに、根室の海の幸が容赦なく運ばれてくる。今が旬の花咲カニ、北海シマエビ。厚岸の牡蠣にタラバガニ。焼きウニにタラバガニ。

これらを豪快に炭火で焼く。

花咲ガニは地元民がその場で剥いたものが用意される。焼きウニも絶品だ。水分が抜けて味が濃縮されるので、甘味がより強くなる。根室はウニの産地なのだ。いくらがたっぷり入ったボウルを持って歩き回っている者がいる。近づくと、いくら飯にいくらをこれでもかとのっけてくる。この光景、どこかで見たことあるぞ。そうだ、すすきのの「はちきょう 別亭 おやじ」だ。

食べても食べても、トラックで新しいカニが運ばれてくる。運転手は海鮮問屋だ。花咲カニだけで、ざっと見ても100杯はいる。安く見積もっても、これだけで40万円だ。おそるべし、根室。はるばる東の果て、北方領土を臨む国境の町まで来た甲斐があるというものだ。

気がつけば2時間が過ぎ、地元民による木遣りが始まった。締めだ。カニはまだまだ余っている。もったいないが、きっと誰かが持って帰るだろう。安い食材ではないのだ。

根室は遠いが、来るたびに海鮮をこれでもかというくらい堪能できる。ススキノで流行っている店も、根室の食材を使っている店が多いのだ。根室市民に聞いてみたことがある。ススキノに来たとき、なに食べてるのかと。答えはいたってシンプルだった。

「肉。」

こちらの記事もどうぞ: