2020年3月29日
エスカロップ

北海道 根室駅 ニューモンブラン

根室のソウルフード エスカロップ

北海道の各地にはB級グルメというか、ソウルフードのような食べ物がある。ケンミンショーでも取り上げられた、袋から出さずに食べる美唄焼きそばや釧路のスパカツ、全道的にはジンギスカンにスープカレー、ラーメンサラダなどなど。カツゲンやナポリンといったドリンクも北海道限定だ。エスカロップは根室市民のソウルフードとしてテレビでもよく取り上げられている。ざっくり言えば、バターライスの上にトンカツを載せてソースをかけたものだ。

子供の頃からトンカツが大好きだった私が、成人してからは今は亡き笹塚ロビンのカツピラフが大好きだった私が、とは言えトルコライスは正直微妙だと思う私が、エスカロップが嫌いになるわけがない。日本人はトンカツwithライスの組み合わせが大好きだ。全国にどれだけの料理があるのか。

ソースかつ丼と越前蕎麦
福井県のソースカツどんと越前蕎麦

全国でほとんど同じように作られる、玉子でとじたカツ丼を始め、あちこちに存在するソースカツ丼も全国区だ。バリエーションは地域によって異なるのも特徴だ。さらにご飯もしくは味付きのライスの上にトンカツを載せた料理も様々なものがある。

国民食とも呼べるカツカレーを始め、ピラフの上にカツを載せたカツピラフ、加古川のカツメシ、長崎のトルコライス、福井のボルガライス、岡山のデミカツ丼、うどんなのにご飯が入っている豊橋カレーうどんなど、トンカツとご飯を組み合わせたローカルフードは全国に点在するのである。沖縄では肩ロース肉のスライスを揚げたトンカツがAランチの定番だ。

トンカツの原型はウインナーシュニッツェルと言われている。カットレットである。肉にパン粉をつけてバターで焼いた料理だ。これをサラダ油でカラッと揚げたものがトンカツである。天ぷらの技法だ。まさに和洋折衷で生まれた日本食なのだ。先人たちの知恵で独自に進化しながら、地域に受け入れられ、その土地土地の特性と文化とともに、ローカルフードとして溶け込んで行ったのである。

そして根室のエスカロップ。詳しくはこちらに説明がある。簡単に言えば、タケノコバターライスの上にトンカツを載せてドミグラスソースをかけたものである。発祥は昭和三十年代の喫茶モンブラン。この店の血統を引くのが、これから訪れる根室駅前ニューモンブランなのだ。

根室駅前 ニューモンブラン

根室 ニューモンブラン

根室駅前のメインストリートを歩くと、海鮮市場の手前に店はある。道を歩く人は誰もいない。寂しい寂れた地方都市によくある風景がまさにこれだ。

根室 ニューモンブラン 店内

ドアを開けると中はまさに昭和。手前の席に案内される。店内はきれいに掃除され、手入れも行き届いているが、年季の入った調度品とレトロなデザインが否が応でも時代を感じさせる。店内の客も年配者が多い。

根室 ニューモンブラン メニュー

さて、何を食べようか。メニューも年季が入っている。何年使っているのだろうか。上から読んでいくと、ちょいちょい見慣れぬ料理が混じっている。ホワイトライス、エスカロップ、オリエンタルライス、ビドックライス、スタミナライス、駅前弁当。

根室 ニューモンブラン メニュー

インデアンスパねえ。なんだろう。

そうだった、迷うまでもない。エスカロップを食べに来たのだ。オーダーを済ますとトイレに行った。便器は和式。今でこそ温かい便座が普及したから様式が増えたものの、寒冷地の古い建物はほぼ和式便座だ。使い慣れている人が多いのだろう、公共施設でも和式便座の数が内地よりも多い気がする。

根室 ニューモンブラン 店内

年季の入ったカウンター。昔は酒も出していたのだろうか。喫茶店のカウンターではないように思う。

さて、エスカロップとスープが運ばれてきた。これが元祖の流れを汲む一皿なのだな。プレートの上に盛られたバターライスとサラダ。生野菜だけではない、ポテサラも添えられている。カツの上にはドミグラスソース。さて、いただくとしよう。

ポテサラから食べてみる。ほどよく潰されたジャガイモからは素材の味をしっかりと感じることができる。塩加減が絶妙だ。トンカツはサクサクで衣薄め、肉は厚めのロース肉。まさに洋食屋さんのトンカツである。こんがりと揚がったパン粉が纏う、軽めのドミグラスソースが豚肉の味を引き立てる。ソースの味わいが口の中から消えた後に、肉の旨味が遅れて広がる。二段仕込みだ。

これに少し胡椒のきいたバターライスを一緒に食べると味わいが一層広がる。キャベツサラダで口をさっぱりさせれば、箸休め、気分転換になる。生野菜には添えられたマヨネーズは、瑞々しいキュウリとの相性抜群だ。野菜とバターライスも、またもや素晴らしいコンビネーション、いや、マリアージュだ。オニオンスープも、これまたバターライスに合う。口の中をさっぱりと洗い流してくれるが、胡椒の余韻が刺激的だ。

まさにバターライスを中心とした、トンカツ、ソース、野菜、スープのピラミッド構造なのだ。

通常、バターライスには筍などを入れたりするが、この店は胡椒のみ、シンプルイズベストなのか、素材の味を引き出すためか。別の客もこの店のエスカロップはソースとバターライスの味が違うと呟きながら去っていった。この店こそ正統派の血を受け継ぐ元祖なのだよ。だからこそ来てみたかった。食べてみたかった。ようやく念願が叶ったのだ。

見た目は少し物足りなさそうだったが、食べてみると十分なボリュームである。お腹いっぱいだ。

次回はビドックライスなるものを食べてみようか。なんなんだろう。

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