北海道 根室市 どりあん エスカロップとオリエンタルライス

カツとピラフの組み合わせ

根室のソウルフードのひとつに「エスカロップ」がある。バターライスに薄いトンカツ、もしくは仔牛のカツレツをのせ、ドミグラスソースをかけたものだ。私は同じようなメニューをいくつか知っている。兵庫県加古川市のソウルフードことカツメシに、長崎のソウルフードであるトルコライス、渋谷区笹塚のセンチュリー21にあったレストラン「ロビン」のカツピラフなど。長崎のトルコライスもこの部類だろうか。

カツレツとご飯は相性がいい。カツ丼しかり、カツカレーしかり。そもそもカツレツはオーストリア料理のカットレットもしくはドイツ料理のウインナーシュニッツェルが原型とも言われている。ドイツ料理というが「ウインナー」とついてる時点でオーストリア料理じゃねーか。

「ウインナー」は「ウイーンの」つまり、オーストリアのウイーンを指す。ウイーンといえばかの作曲家、モーツアルトが有名だ。よくソーセージのことをウインナーと呼ぶが、正式にはウインナーソーセージだ。ちなみにカットレットはフランス語のコートレットの英語読みである。いずれも肉の薄切りに卵とパン粉をつけ、ラードかバターで焼いたもの。日本人にはくどすぎる。それを高温の油で揚げてさらっとさせたのが日本のカツレツだと言われてたと思った。

道の駅 スワン44で食べたエスカロップ

以前に根室に来た時に初めて食べた。場所はスワン44。風蓮湖のほとりに立つ道の駅だ。白鳥で有名とのことだ。ここは眺めも良ければ、飯もうまい。今回は食事の時間には合わなかったので、ソフトクリームを食べた。美味い。そして、花咲かにラーメンを買った。根室でしか取れないカニだ。味噌が濃厚でもちろん身も美味い。大きいから身もタップリだ。小さなカニもあるが、それはスーパーで数百円で売られており、蟹パスタに使われたりする。

根室のソウルフード エスカロップ

さて、今回の根室滞在中にエスカロップを食べることができるのだろうか?食べるとすれば朝食しかないので、珍しく朝食無しで宿泊した。昨晩、地元のスナックで朝からエスカロップが食べられる店も聞いておいた。

「どりあん」

これで完璧だ。

しかし、朝になり、実際に食べに行こうとするも、ホテルから十分ほど歩くことがわかった。時計は九時を指している。

うーん、ホテルの近くにないだろうか。ネットで検索すると、ホテルの近くに「ニューモンブラン」という店を見つけた。なんと、ここがエスカロップ発祥の店だとも記載されている。営業時間も九時からと書いてある。おお!まさにここだ。Googleマップを頼りにたどり着いたそこは、まだ開いていない。隣の海戦市場ののぼりが威勢よくたなびいている。

騙されたのか?

仕方なくホテルに戻る。道路標識も3ヶ国語だ。へー、ロシア語でも「港」は英語と同じつづりなのか。大学時代にロシア語を習っていたので、読むことはできるが、それだけだ。単語も文法も覚えていない。

仕方ない。どりあんに行くか。ホテルをチェックアウトし、車をイオンに向かって走らせる。駐車場はイオンの裏とのこと。7月初めの根室は肌寒い。咲いてる花がみんな春の草じゃないか。寒いわけだ。そう言えば、こちらでは桜を見ないな。

喫茶 どりあん

店の入口のショーケースには食品サンプルがディスプレイされている。オリエンタルライスというのもあるのか。とりあえず店に入ると窓際のテーブル席に案内された。改めてメニューを見てみよう。オリエンタルライスは登録商標と書いてある。

ふーん。登録商標ね。基本的に「オリエンタルライス」という名称は、この店でしか使えないということだ。ちなみに私は弁理士ではないが、仕事で商標を扱ったりする。特許庁のデータベースで調べてみると、確かに登録されている。ためしに「エスカロップ」で調べると、ああ、これも商標登録しようとしたな。これ以上は法律の話になるのでやめておく。

テーブルにはエスカロップの歴史が説明されていた。無断複製禁止ということなので、ぜひ、根室で見て欲しい。ネットにこのことを書いている人もいるから、私が書くまでもないだろう。

エスカロップを味わう

さて、本題だ。エスカロップ。熱々のカツに熱々のバターライス。たけのこはそれほど入っていない。朝からトンカツなんて、なんて贅沢なんだ。カツを食べて、ライスを口の中に放る。付け合わせの野菜にはマヨネーズ。味はいい。個人的には、もっと細めのキャベツが食べたい。もっと野菜のボリュームも欲しいところだ。しかし、美味い。

カツも衣が薄めで、肉もご飯に乗せるのにちょうどいいくらいの厚さだ。ああ、笹塚「ロビン」のカツピラフを思い出す。2年前にスワン44て食べたエスカロップも美味かった。

そもそも私は子供の頃からトンカツが三食三日続いても平気なくらいのトンカツ好きなのだ。今ではそんな生活無理だが、今朝は早起きもしたし、散歩もしたし、がっつり食べたい気分だったのだ。

食べ終わって満足感に浸っていると、聴きなれた声が耳に入ってきた。あれ?私の名前まで言っている。振り返ると、後ろのテーブル席で勤務先の社長が何人かと話をしていた。

「あれ?いたの?」

驚く社長の隣に座り、しばらく話をしたのち、私は自分の伝票を社長の方に寄せてからこう言った。

「じゃあ、先に出ますので。」

さて、帯広に向かうとするか。

根室 喫茶 どりあん(根室市観光協会)

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