2024年4月27日

北海道 花咲線の旅

釧路駅

根室に行くにはいくつかのコースがある。

  • 中標津空港からバスもしくはレンタカー
  • 釧路空港からレンタカー
  • 帯広空港からレンタカー

新千歳空港からレンタカーと言うルートもあるが、遠すぎる。夏に紋別から根室までレンタカーで走ったが、遠いこと遠いこと。八時間もかかった。

車の運転は好きではない。好きな場所に行けるメリットはあるが、運転中は眠れないし、くつろぐこともできない。他人が運転する車に乗るという手もあるが、ワガママは言えないし、私なりに気を使うので疲れる。単純な長時間の移動には公共交通機関が一番だ。

釧路駅

釧路から根室への移動はバス、列車、レンタカーのいずれかである。以前から花咲戦には乗ってみたいと思っていたが、なかなか時間のかかる旅だ。躊躇してきたのだが、昼過ぎに根室に到着するには列車かレンタカーしか移動手段がない。この機会に花咲線に乗ることにした。

釧路駅で切符を買う。改札の上にはおおぞら号と根室行の案内しか表示されていない。

花咲線 ラッピング列車

ちょうど花咲線のラッピング列車が駅に入ってきた。真っ赤な車体は否が応でも目立つ。そう言えば、モンキーパンチが沿線の浜中町出身だとかで、ルパン三世列車も走っていたと記憶しているがどうなっているのだろうか。

まだ走っていた。

快速ノサップ号 釧路駅

続けてノサップ号が到着。ラッピングではない、白くて地味な車両だ。

快速ノサップ号 釧路駅

一両の真ん中には行先標、通称サボがある。

車内は青基調でまとめられている。ロングシートとリクライニングシートがある。シートは倒れない。固定だ。

二時間の間、トイレに行けないのかと不安になったが、車内にあった。

ノサップ号の旅

定刻になりノサップ号は静かに動き出した。ほぼ満席だ。東釧路駅に到着。住宅街の中の駅だ。私は終点で乗るが、他の客は皆、どこで降りるのだろうか。十数名は団体のようだ。すぐ武佐(むさ)に到着。駅を出ると住宅街から白樺林に風景が一変した。別保(べっぽ)駅を出ると風景や原野に変わる。湿地帯や森林の中を走る。携帯の電波も弱くなる。ナラワラのような風景が続く。最初は面白かったが、あまりにも似たような風景が続くので飽きてきた。

住宅街が見えてきた。上尾幌である。

ここからは厚岸まで駅を通過する。だんだん拓けて牧場が見えた。その先は原野だ。国道44号がつかず離れず並行して走る。

厚岸に近づいてきた。海が見えた。厚岸湾だ。ほどなくして厚岸駅に到着。ここまで約50分。北海道でも日差しが当たれば暑い。半分の客がここで降りた。

駅を過ぎると車窓に見えるのは厚岸湖、言わずと知れた牡蠣の名産地だ。列車は厚岸湖に注ぐ川の上流に向かって走る。水鳥たちが休んでいる。列車の音に驚いて飛び立つ鳥たちもいる。水面には魚も跳ねている。

美しい。

さらには釣り人たちもいた。この景色はすごい。糸魚駅を過ぎると、景色は再び単調な原野へと戻る。茶内に到着。対向列車と交換する。根室までは駅3つ、一時間だ。青空が見えなくなった。この辺りの天気はいつも悪い。

浜中駅

浜中駅に到着。駅の写真を撮って驚いた。端っこに写ってるのは、もしやルパン三世では?そう、ここは作者モンキーパンチの出身地である。

浜中駅を過ぎると、列車は林や森の中をひた走る。冬を前にして葉を失った木々の群れは不気味ささえ漂う。その中にまれに金色の木が混ざっている。紅葉だ。浜中と姉別の間は10月末頃に列車に乗ると見事な景色を観れるのではないだろうか。姉別あたりから景色が拓けてくる。一面が牧場だ。緑色の草原もまもなくベージュ一色となり、雪化粧することになる。

根室本線は根室方向に向かって右側にはずっと電柱が立っているので、左側の窓の方が見晴らしがいい。駅のホームもすべて左側だ。しかし海が見えるのは右側なので、海か見晴らしか、いずれかを取るしかない。厚床に着いた。かつてはそこそこな駅だったのだろう。機関車の回転台の跡がある。向かい側のホームには、雨ざらしになったカラフルなベンチが見える。すでに使用されていないようだ。

根室に到着

根室市内牧場

根室に近づくにつれ、針葉樹が増えてきた。別当賀(べっとうが)を過ぎたあたりで海が見えた。しばらくすると雄大な風景が見える。落石だ。次は終点根室だ。西和田を過ぎると見晴らしが良くなる。花咲港のあたりではまだ若干の紅葉が残っていた。草原には鹿がいた。海が見える。牧場の側を走る。どさん子たちが草を食んでいる。

しばらくして風景が街中へと変化した。いよいよ終着だ。最東端の駅、東根室駅を通過。ついに終点だ。

根室駅

根室に着いた。思ったよりも短い時間に感じた。次に乗るのはいつのことやら。できれば家族と乗りたいものだ。

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