トミー来沖
米国に留学している息子のトミーが夏休みを利用して日本旅行を楽しんでいる。留学先の友人も一緒だ。一人は中国籍、一人はニセ香港籍だとトミーが笑っているが、本物のパスポートを所持している。香港籍の彼と会うのは、昨年に続き二度目である。東京から沖縄までを三人で旅しているとのことだ。
まずは那覇市内のなじみの店で待ち合わせ。食事を軽く済ませた後に、沖縄料理を食べさせた。昨晩は中洲のOPPでひどい目に遭ったと報告を受けたので、日本における社会事情を説明したのちに、なじみのキャバクラに行き、VIPルームで飲んで歌った。ニ十歳は若い。勢いが違う。しかも、いつもと違い、女の子たちの方が客よりも年上だ。私も若い頃に同じような経験をした。
トミーの成人祝いがまだだったので、今夜は豪遊である。これで夏のボーナスが吹き飛んだが、それもまた一興。せっかくトミーが来るんだし、生活できればお金はいいよと妻は言ってくれた。
ダイビングとフィッシング
翌朝、トミー一行はスキューバダイビングを楽しみに行った。昨年、やはり留学先の友達らと沖縄に来て、ライセンスを取得したのだった。英語ができるスクールに行ったら、インストラクターが現役のポルノ女優だったとトミーが話していた。客の一人が彼女を知っていて、とても興奮していたらしい。てほどきしてあげようか?とからかわれて、恥ずかしかったとトミー。ヨーロッパで有名な女優なので、日本人はまず知らないとのことであった。
妻と一緒に弁当を買い、ダイビングを終えたトミー一行を迎えに行く。うみそら公園で一休み。橋の下で海を眺めながら飯を食う。風が強いので弁当のゴミが飛ばされるので要注意だ。日本で食べる350円の弁当。三人とも中国富裕層の子どもたちだ(笑)
食事後は再び船に乗り釣りに行く。妻と二人で出港を見届け、私たち夜の準備に入る。今夜はトミーたちが釣った魚を知人の店で料理してもらう。けいたまとゆうたまも一緒なのだ。兄弟四人中、三人が集まるのだ。
四時間後、再びトミーたちを港に迎えに行く。なんとアカジンミーバイが釣れたという。奇跡だ。まっかな個体は水深100m以上の深場にいるやつだから、リーフでは釣れるはずのない魚だ、と船長が言っていたそうだ。ネットを検索し、このサイズ、中国ならば三千人民元くらいで取引されていると知ったトミーたちは大興奮!あとはグルクンばかりである。沖縄の県魚だ。
じつはグルクンにも何種類かある。釣ったグルクンはすべて尾びれに黒い線が入っている。青いのがササムロ、赤いのがクマササハナムロである。
沖縄の魚も美味いのだ
夜は家族+トミー御一行らと食事である。場所は那覇市松山の居酒屋。魚を持ち込み、食べきれないのはお客さんに出すように伝えた。材料費が浮くよと喜んでくれた。米国留学中のトミーが沖縄に来れるのは年に一度くらい。幼い妹たちと会う機会はなかなかないのが残念だ。
アカジンミーバイの皮湯引き。ふぐほどはコリコリしていないが、くにゅくにゅして、ポン酢がよく合う。これは酒が進む。
アカジンミーバイの刺身。沖縄の魚はマグロはえ縄漁に混じって釣れる、珍しい深海魚を除けば、美味い魚はない。アカジンは別格だと言われて食べたことも何度かあるが、大して美味いとは思わなかった。それが、どうだ。なんだ、これは?今まで食べたアカジンミーバイは何だったのだろうか。上品で脂がのってしっとりと歯が入っていく切り身。私は別の魚を騙されて食べていたのか。沖縄生まれの妻も美味しいと驚いている。あっというまに食べ尽くされた。
グルクン。こいつもだいぶ昔に釣ったやつを山ほどもらい、いろいろ試してみた。刺身、ムニエル、一夜干し。結果的に一夜干しが一番マシだった。ピチットシートを使えば家庭用冷蔵庫で干物が作れることを知ったのは、グルクンのせいだ。なので脂がのっていない、淡白すぎる魚なので、唐揚げにすることで油を入れるのが一般的な食べ方である。
それが、なんだこれは。グルクンの刺身ってこんなにも美味かったか?もちろん、アカジンミーバイには及ばないが、アジならば引きを取らない。おかしい、こんなにも美味いのなら、もっと沖縄の魚は味を評価されてもいいはずだ。
「沖縄の魚はものすごく足が速いから、やっぱり釣り立てと売り物はどうしても鮮度の問題で味が違うのよねぇ。」
知人が解説してくれた。確かに卓上に並んだ魚は、4時間前まで海を泳いでいた。トミーたちが釣ってきたおかげで沖縄の魚の新しい魅力を知ることができた。釣り人は知っているのかもしれない。いや、食べることよりも釣ることが好きな人間も少なくない。刺身にせず、問答無用で唐揚げにする人も少なくないだろう。
けいたまとゆうたま
大人たちが舌鼓を打っている間、けいたまは一人の世界に入り込んでいた。大人とは距離を置いて、YouTubeを鑑賞しながら食事をしている。トミーがお兄ちゃんと言うのも、分かっているような分かっていないような。
生後15か月のゆうたまは、普通のごはんも食べられるが、まだまだフォローアップミルクが不可欠だ。これを飲んだら眠るのだろう。トミーとは19歳違い。下手すると娘と言われそうだ。
この店は家族連れで小さな子供を連れてきてもいやな顔されない。常連客ばかりだし、みんなが子供たちをあやしてくれる。孫のような感覚で接してくれる。若い客も和やかに子どもたちの相手をしてくれるのだ。沖縄ならではの文化である。出生率全国一位なのは、こんな一面も理由の一つなのかもしれない。
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