2024年4月27日
人吉城址の桜

人吉城址と桜

桜の名所

四月初め、日本列島の三分の二では桜が咲いている時期だ。全国各地で花見が繰り広げられる。かく言う私も、二日前に隅田川で夜桜を見物してきた。

この時期に桜が咲かないのは日本の南と北である。沖縄で桜が咲き始めるのは一月中旬。二月初めが満開なのだが、ソメイヨシノは沖縄では育たないのか、寒緋桜ばかりである。沖縄特有の抜けるような青い空にピンクの花びらが 映えるさまは、南国独特の雰囲気があって、個人的には好きなのである。

沖縄 緋寒桜
沖縄の寒緋桜(本部町八重岳付近)

日本の領土は南北に縦に長い。北東北は四月末、北海道は五月に桜が咲く。

弘前城と桜
弘前城と桜(平成二十七年)

四年前、連休に訪れた弘前城で見た桜も美しかった。例年だとゴールデンウィーク中に満開になる桜が、少し早く見ごろになり、たまたま訪れていた青森で鑑賞することができたのだ。妻も一緒だったので、いい思い出となった。

弘前城と桜
弘前城と桜(平成二十七年)

東京だと上野公園や千鳥ヶ淵、新宿御苑、靖国神社など、各地に名所がある。元妻との結婚式は四月八日だったので、披露宴の二次会は千鳥ヶ淵で花見だった。上野公園には六年前に妻と見に行く機会があった。東京は人が多くていやだ。人ごみの嫌いな私は、よほどのことが無ければ黒山の人だかりができるような場所にはいかないのだ。人酔いしてしまうからだ。

上野公園 満開の桜
上野公園の桜(平成二十四年)

人吉城址の桜

人吉でランチにウナギを食べた後、地元民に近くで桜がきれいな場所を尋ねると、人吉城址がいいという。城跡には駐車場がないが、付近に何か所か観光客用の駐車場があるので、そこに停めるといいだろうとのアドバイスを受けた。

人吉城址は、相良家が700年もの間、この地を治めた象徴でもある。明治期には西郷軍の拠点として、石垣に「跳ね出し石垣」と呼ばれる武者返しが施された。これは西洋建築を取り入れたもので、日本では五稜郭と鶴岡城にしかないそうだが、いずれも規模は人吉城に及ばないそうである。

人吉城址 球磨川沿いの石垣
石垣の最上部、平らに突き出た部分が武者返し

城の内側は相良護国神社の境内、外側には球磨川沿いの石垣に沿って桜が植えられている。駐車場は水の手橋を渡ってすぐ右側に駐車場があるのだが、満車だったので、さらに奥に進んだ右手にある、観光客専用の駐車場に車を停め、神社側から城址に入った。階段を上ると境内の桜がが見事に満開で、風が吹くたびに桜吹雪が舞っていた。

人吉城址 相良護国神社境内に咲く桜
相良護国神社境内の桜

風で揺れる桜を撮るのはなかなか難儀ではあるが、これだけ花が咲いていると、楽しくなる。平日の昼間だからが、境内にいるのは数名だ。ほとんど独占しているようなものだ。これが上野公園ならとんでもない人出である。たまたま立ち寄った先で素晴らしい光景に巡り合えるのが旅の醍醐味だ。

人吉城址 桜

境内を抜けて石垣の外側、球磨川沿いの桜を見に行く。これも見事に咲いている。

人吉城址 球磨川沿いに咲く桜

青空には薄雲がかかり、青と白のコントラストが桜の花びらの美しく際立たせる。まさに桜を魅せるための演出装置と化している。この日にこの地で桜を見れたことに感謝したいくらいである。

人吉城址の桜

30分ほど滞在し、数年ぶりに桜を思い切り堪能することができた。家族で花見に来れたら、どれほど楽しいだろうか。けいたまとゆうたまがもう少し大きくなったら、ぜひ、人吉に連れてきたいと思いつつ、この地を後にした。

さあ、夜は佐賀で仕事だ。

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