盛岡駅の朝蕎麦とANA プレミアム御膳

岩手県盛岡駅立ち食い蕎麦はやて

ホテルや旅館に宿泊すると、多くの場合、朝食はバイキングである。サラダ、和食、中華、洋食にご飯もの、パン、ドリンク、デザートなど、いくつもあるコーナーから好きなものを皿に取り、食べたいだけ食べるシステムである。一見、良さそうなのだが、最近は飽きてきた。バイキング方式では、できたてを提供するのにも限界があるためだ。

代表的なものが麺類だ。特にうどんや蕎麦、ソーメンなどはどうしても伸びてしまう。焼き魚はスチーム調理されてるので、カリカリにはならない。たまに目の前で焼いてくれたり、自分で焼くことができる場合もあるが、まれだ。サラダは野菜がシャキシャキではなかったり、みずみずしくないことがほとんどである。なので、この日記でもホテルの朝食を書いていることは非常に少ない。

むしろ、バイキングではない朝食だとおいしいことが多い。自分では選ばないであろう物が食べられたりする。それが新しい発見となる。自分で選ぶと人間は保守的になる。いつもと同じものを食べようとする。朝からチャレンジや冒険なんて真似はしない。無謀だ。もしも敗れてしまったら、一日が台無しだ。日付が変わるまでの十数時間をどのように過ごせばいいのだ。

そんなわけではないが、せっかくホテル大観に二泊したにも関わらず、温泉にも入れず、朝飯も食えず、新幹線に乗るために盛岡駅までタクシーでたどり着いたのである。

腹が減った。目の前の立ち食いソバが旨そうに見えて仕方がない。はやぶさに乗るまではあと１０分ほどある。そばを食べるには十分な時間ではないか。しかもここは東北。蕎麦の名産地でもある。立ち食いそばといえども、東京とは違うのではないだろうか、そのような期待を抱かせるには十分すぎる土地柄だ。

食べよう。

ここは迷わず野菜天そば。見た目は旨そうだ。さっそく食べてみる。麺が黒っぽいな。やはり、立ち食いそばだ。でも腹が減っているので、ちゃっちゃと食べてしまった。バイキングの朝食よりは果たしてマシであったろうか。

ANA 仙台－那覇プレミアム御膳

仙台駅で新幹線を降り、仙台空港線に乗り換える。空港でいつもの牛タンを買い、飛行機に乗り込んだ。ここから沖縄まで一気に飛ぶことができるのだ。昼前の便なので、機上でのランチはとても便利なのだが…小さい飛行機ではプレミアム御膳が弁当箱なので、どうしても不安になる。

味噌汁はほぼほぼ具なし。いつもはしっかりとした具が入っているのに、なんだか残念。煮物はよく味がしみている。プリップリの椎茸の食感を楽しむ。舞茸ご飯は…冷たい。

まただ。

冷たいご飯は好きではない。

ほうれんそうのしんじょうが美味い。ご飯が冷たい。歯に当たると知覚過敏ではないが、冷たさがよくわかる。ほのかなか甘みの厚焼き玉子。調味料ではない、海老そぼろだろうか。食感もつるんとしていない。これは美味いな。

飛行機が揺れだした。熱いお茶のコップに蓋をかぶせる。味噌汁のお椀を持って、こぼれないように措置をとる。

２分ほどで収まった。

鶏肉の照り焼きはしっかりとした肉の味で味付けは控えめ。食感も柔らかめ。舞茸ご飯に合うのだが、ご飯に合うというのが正解か。舞茸ご飯は冷たくて、ほとんど味がしない。

秋刀魚の塩焼きは丸ごと骨まで食べられる。見た目も塩焼きではない。缶詰の味がする。はじかみがよく合う。

ところではじかみってどこまで食べたらいいのだろうか。全部は食べないよな。

こんにゃくの煮物は食感も良く、味がしみている。赤かぶ漬けはそれほど酸味が効いていない。断面の滑らかさがカブだと分からせてくれる。六角里芋は味のしみがイマイチ。特徴のねっとり感も控えめで、なんだか損した気分だ。

里芋は妻の好物なので、私も良くお土産に買って帰るのだ。沖縄ではなかなか手に入らない。

ナス漬けは仙台名産のものか。味はナスというより調味液のもので食感しかない。あまり好きではない味だが、少量ならご飯のおかずには悪くない。

漬物盛り合わせでしょっぱいものばかり出す店があるが、漬物を大切にしない店は総じて美味くない。こだわりの店は自家製の浅漬けやぬか漬けを出すものだ。

ラストは銀杏。きのこご飯のトッピングだろうが、なぜか３つとも弁当箱なそこに転がっていた。盛り付けもカラフルな麩を入れたりして、紅葉と収穫をイメージしてるのだろうが、まだ９月中旬だ。流石に北海道でも紅葉はまだだ。昨日も一昨日も銀杏がでてきたのだが、美味くない。苦いし、えぐみが嫌だ。銀杏はもっと香り高く、大人の味わいだ。無理して古い銀杏を出すことはないと思う。

それを言えば、キノコだって今どき天然物を使うことはないだろうから、秋はキノコというイメージ自体、メディアやむかし話の影響である。固定観念を埋め込まれているのである。今や、秋にしか採れないキノコはマツタケくらいだ。それも輸入ものなら秋ではなく、夏に収穫されたものだ。