七月に視察に来た岩手県盛岡市郊外にある繋温泉。ここを代表するのがホテル大観である。明日、開催される事業のために、担当である私が前日入りすることになった。前回は職を楽しむことができなかったが、今回はしっかりと夕食を楽しみたい。
さて、ホテルに到着したのは19時半。レストランでの夕食は21時までに済ませるように、チェックイン時に説明があった。温泉に入っていては夕食の時間が無くなるので、部屋に荷物を置いて一段落したら、夕食会場に向かった。
さあ、味合わせてもらおうか。ここの料理とやらを。
キノコと菊の花、三つ葉の香りが合わさってなんとも言えぬ香りをポン酢がまとめ上げる。いずれも沖縄では味わえない食材だ。いきなり美味い。きぬかつぎは塩加減が絶妙ねっとりとした食感がいい。銀杏は香りがイマイチ。、季節的にはまだ早いのか。
地鶏の味噌漬けは濃縮された鶏肉の味わいがたまらない。みそのかおりはわずかだ。上品な味付けだ。クワイ旨煮はほろほろとした食感が良い。秋だなあ。
サバ寿司は魚の香りが口の中に広がる。好きな味だ。青魚うまいよな。さつまいもちっぷみたいなのはなんだ?丸十公孫附だ。
次はお造りだ。まずは車海老。身がねっとりとして甘い。頭は火が通してある。この方が水分が抜け味噌を楽しめる。飾り包丁の入ったモンゴウイカ。厚みのある身は歯ごたえがあるが、身を噛むとねっとりと絡みつくような食感とイカ本来の甘みを楽しめる。
エビもねっとりとして甘みがある。これではイカとエビとの味の違いがわからない。文才の無さを嘆くしかあるまい。イカの方がエビよりもねっとりしている。舌にまとわりつくような感じだ。エビの身はプリプリしているので、イカのような食感にはならない。
見た目にも美しい中トロには、たっぷりのワサビをのせる。生わさびならではの鮮やかな緑色がピンク色の身に映える。こいつを口の中に入れると、シルクのように細やかな舌触りの身が口の中でとろける。脂の甘みとマグロの旨味を舌で感じる。官能的だ。しっかりと熟成させた素晴らしい一品だ。こんな中トロを食べたのは久しぶりだ。鯛も美味い。
タラバガニ。カニ酢が見当たらない。レモンのみだ。尋ねてみると、すでに酢で締めてあるとのこと。そのまま食べてみても酸味はほとんど感じない。カニの味が濃いのはそのためなのだろうか。レモンをかけると酸味がカニのポテンシャルを引き上げる。美味い。鳥八の毛ガニ甲羅詰めもいいのだが、食べ応えのあるボリューム感はタラバに叶うものはない。しかし、本当に酢で締めてあるのだろうか。カニの旨味しか感じられない。
りんごグラタンはアップルパイのような甘酸っぱい香りがする。デザートか?食べてみるとシーフードグラタンだ。
海の幸具沢山で美味い。食べていると味に変化が加わる。りんごの酸味が味にアクセントを加える。一粒で二度美味しい。もちろん周りのりんごも食べられる。酸味が強い。ほのかな甘み。紅玉だろうか。
雫石牛のしゃぶしゃぶ。、素晴らしい。火の通しすぎには注意だ。見た目に違わない旨さと食感。途中で燃料が尽きたので、足してもらった。野菜はシャキシャキ。ポン酢もの相性良し。肉はゴマだれと思ったが、ここまでサシが入っているとポン酢の方が美味いかもしれぬ。
脂をまとった牛肉がしゃぶしゃぶの湯の沐浴で身を清め、アクを脱ぎ、風呂上がりのようなピンク色に染まった姿をポン酢に軽くしたして口に入れる。
ああ、至極。
鯛のかぶと煮。美味い。味は濃いめだが脂が乗ってるので、これくらいしないと味付けが負けてしまうだろう。目や口の周りのコラーゲン、骨のすき間の肉が美味い。野菜にも魚の脂と調味料がよく染みている。けいたまがいたら、どれだけ喜ぶだろうか。一人で食べるのがもったいないが、食べる。なんて贅沢だ。家族で味わいたい。
締めのそば。甘めのつゆにねぎともみじおろし。細めのそばとキノコの食感が食欲をそそるが、限界だ。秋だなあ
巨峰は甘い。タネが取り除かれている。クリームブリュレ!やばい。カリカリのカラメルの下には甘さ控えめ、芳醇な香りのブリュレが。舌触りがあまりにも滑らか。
これはあかん!たべたらあかん!
しかし食欲が止まらない。そばは食べきれなかったのに、デザートは別腹の意味をこの歳にして初めて理解したやもしれぬ。
満足じゃ。これで温泉に入るのは無理だな。部屋に帰って酒飲んで寝よう。温泉は明朝だ。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)