2024年4月29日
プレミアム御膳

ANA プレミアムクラス 羽田ー佐賀

佐賀への出張

今日は佐賀で会議だ。移動の後、夜までは時間がある。会議は18時からだ。それまでは仕事をするとして、どうしたものか。とりあえず9時55分のフライトを予約したが、機内で朝食を摂れば昼は遅い。機内で摂らなければ昼は早い。佐賀までは全日空なので、プレミアムクラスの機内食が付いている。うーん。

佐賀には何度か行ったことがある。数年前のことだ。最初はIT企業同士の交流会で知り合った、ベンチャー支援の公的機関に勤める方を何度か訪問した。

その後、佐賀はIT教育先進県として、試験的に2つのモデル校にiPadを導入し、授業で使うという、当時の知事と地元の有力企業がタッグを組んだ大掛かりな事業を実施した。翌年には佐賀県内の全高校にタブレットを導入するということだった。

当時、経営していた会社が開発していた製品を県立高校に導入したいということで、地元の企業に連れられて佐賀県庁や幾つかの高校を訪問した。新聞記事などでは華やかに書かれるこうした事業も、実際の現場はいろんな問題を抱えているものだ。公務員の悪い面をたくさん見せられた。その後のことは今は語りたくない。

さらに数年後、この事業で県が構築した情報システムのサーバーが、県内高校を中退した未成年にハッキングされて大騒ぎになったことをニュースで知った。まあ、そんなものだろう。いつの時代も大人は子どもの力を舐めているものだ。世界で最初にハッキングをしたのだって、小学生だというのに。

なので佐賀という地は私にとって複雑な思いのある地なのだ。

時計を見る。すでに8時を回っている。9時のモノレールには乗らなければ間に合わない。今から身支度して出発したらギリギリだ。選択肢はない。朝食は機内食に決定だ。文句言わない。タダなんだから。

羽田空港に着いたのは9時31分。保安場を通過し、ラウンジにも寄らず、ゲートに急ぐ。遠い。地方線はどうして端っこに追いやられるんだ。70番ゲートは300メートル先だ。沖縄ならタクシーに乗る距離だ。

「9時55分発、佐賀行きにご登場のお客様は…」

急かすな。急いで歩いているんだ。ヒイヒイ言いながらゲートにたどり着く。間に合った。ゲートでガラケーをかざし、機内に向かった。

社宅を出たときはポツポツ降っていた雨は、飛行機が離陸する頃にはかなり強くなっていた。離陸後もしばらく機体が揺れた。ウトウトしながら、明るくなった窓の外を見ると、青い空と白い雲の鮮やかなコントラストが目に入った。

本日の御膳

シートベルトサインが消灯し、CAが配膳を始める。朝食は汁ものが大きめで嬉しい。

ふたを開ける。本日のメニューはこれだ。

まずはスープをいただく。具沢山のズワイガニのスープは、生姜のシャキシャキ感と香りがたまらない。塩加減もよく、薄味で出汁の効いたスープだ。蟹の肉もしっかりと入っている。とろりとした出汁を吸った冬瓜がまたいい。これなら自分でも作れそうだ。昆布ダシに干し椎茸、冬瓜に生姜の千切り、豆はなくてもいいから溶き卵にカニカマ。カタクリでとろみをつけて仕上げる。否、ダメだ。けいたまには本物を食べさせなければダメだ!今週末は根室じゃないか。安くカニが手に入る。しかも、今はたらばよりも身の味が濃い花咲カニのシーズンだ。それを自宅に送ってスープを作るのだ。妻も喜ぶに違いない!おうちごはんのレシピにもなって一石二鳥だ。

とうふちくわはネギが香ばしい。味が染みているのか、旨い。玉ねぎさつま揚げも同様だ。甘みが強く食感もいい。さつま揚げ似合う。ご飯は冷たい。口に入れふとスープを口についかして温める。口内調理だ。いっそぶち込んで雑炊にしようか。揚げなす生姜煮浸しも生姜が効いて旨いが、冷たい。歯にしみるかと思った。その冷たさはまるでアイスクリームだ。キンキンに冷やすものを間違えてはいないだろうかと思わずにいられない。

厚焼きたまごはいたって普通だ。冷たいご飯がモソモソする。スープだ!スープ投入!セロリの漬物は少し塩がきついか。漬物だからな。私はぬか漬けの方が好きだな。そうだ!自宅に余っているセロリを糠床に入れるように妻に頼んでおこう。切り昆布の子和えは松前漬けのイカ抜き?クーブイリチーのような味だ。梅干しは塩とシソだけの本当の梅干しだ。私はハチミツ入りとかよりも、このような昔ながらの梅干しの方が好きだ。

食べ終わって熱いお茶で一服していると、機内のモニターに野村屋本店の耳うどんが紹介されていた。これって中国の猫耳麺まんまやん。美味そうだ。食べてみたい。続けてレモン牛乳が写っているということは栃木か。来週、前橋に行くついでに寄れないものだろうか。

窓の外を見る。眼下に佐賀の土地が広がる。日本全国にはまだまだ自分が知らない旨いものがある。各地の職人が伝統を守ったり、新しいメニューを考案することで日本の食はますます広がり、楽しくなってくる。ラッキーなことに出張であちこちに行く機会が多いのだから、日本の食文化を最大限に堪能したい。

さて。今日も仕事、頑張ろう。

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