65番ゲートから乗り込んだ那覇行きのANA1097便は少し遅れて離陸した。着陸する飛行機で、羽田空港が混雑しているとのことだ。家に着くのは21時頃だろうか。普段なら夕方の便に乗ることはない。妻が無理して帰るくらいなら、どこかに泊まって休むように言ってくれるからだ。
しかし、明日は朝から沖縄での予定が立て込んでいるために、どうしても帰らなければならない。自宅で夕食を食べると、妻は子供達を寝かせられないし、色々と不都合があるので、夕食は機内で済ますことにした。ランチでは酒を飲まないが、夜だ。飲んでもバチは当たらない。
ビールはプレミアムモルツをセレクト。
アオサ入り卵焼きは口当たりなめらか。ツルツルだ。冷たいので味はほのかにしか分からないが、玉子の味がする。
かぼちゃはホクホク。柔らかい。味付けも薄めで素材の味を生かしている。ブロッコリーと芥子酢味噌がこんなにも相性がいいとは。自宅でも試してみよう。
りんごはアップルパイのような、しかし甘みだけでなく甘酢の酸味が効いているので、甘ったるくない。大人のスイーツの味だ。酒の肴にもなる。体にも良さそうだし、自宅で作ってみるかな。
蓮根の煮物はシャクシャクしているが硬くない。ダシがしっかり効いている。りんごの甘酢が少し移ってしまっているのが残念だが、まあ問題ない。
きんぴらは刺身のつまのような極細のごぼうと人参。意外に食べやすい。これは子供にもいいかも。小学生になればともかく、小さな子供や歯の弱いハルハルにも向いている。細いから味もよく染み込むので薄味で済む。
鳥の竜田揚げ。冷たい。温かくとは言わないが、せめて常温で食べたい。味は普通だ。
ちりめん大豆。甘めの柔らかな大豆と対照的な食感のちりめんとのコンビネーション。とりわけ美味しいわけでもないのに、ついつい食べてしまう。
白菜となめこのお浸し。なめことは対照的なシャクシャクとした食感の残る白菜にはしっかりと味が染み込み、青臭さがない。これも自宅で作れるな。手軽な一品に打ってつけだ。
ぶり大根。食感も味付けもいいのだが、キンキンに冷えている。温かければ何倍も美味しいと思う。
ここからはハイボールだ。
秋刀魚の蒲焼のナスの揚げ浸し。ナスがとろとろで口の中で溶けてしまう。少し味付けが濃いかな。蒲焼の移り香であろう山椒の香りがたまらない。秋刀魚は甘辛い蒲焼のタレではなく、素材の味を引き出すかのような味付けだ。裏には焼き跡がしっかりと焼いた秋刀魚だ。ミョウガの香りがさらに華を添える。和食の本髄を見るかのような味付けだ。
豚ばら肉と栗ご飯。少し塩を強めに味付けされた豚ばら肉と甘い栗が、まさに「甘い塩っぱい」ループを形成し、箸が止まらなくなる。豚バラならではの脂の甘さも上品に、年配の和牛が食べられませんと言い放つ者どもにも配慮した上品な味付けだ。
アクエリオンの不動ゲンのように、両手を合わせて言いたい。
まさに「雅」。
ご馳走さま。気圧の低い機内で飲み続けると酔っ払うので、到着するまで寝ることにする。ようやく家族と会える。早く沖縄に着かないものかな。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)