2024年4月29日
プレミアム御膳

ANA 仙台-那覇 ~仙台みやげとプレミアム御膳~

仙台みやげ

仙台を玄関口とする南東北は、なかなかみやげも豊富だ。仙台を代表する銘菓、萩の月を始め、ずんだもちに牛タン、海鮮と食が豊富なのだ。オランダせんべいは、確か北海道根室市のお菓子だと記憶しているが、山形県庄内地方にも同じ菓子があったとは。根室のオランダせんべいとはまったくの別物である。

仙台空港 土産コーナー

海鮮せんべいに牛タンせんべい、牛タンパイ。ずんだ餅にずんだガレット。製造元の企業努力が垣間見える商品が勢ぞろいだ。

仙台空港 土産コーナー

米のペットボトルにフリーズドライの高級品。こいつがなかなかいけるのだ。高いだけあって、再現性も抜群だ。気軽に飲むものではないが、土産にはいい。大和煮は…いいや。なんだか給食を思い出してしまう。牛テールスープも買ったことがあるが悪くなかった。

仙台空港 土産コーナー

気仙沼のふかひれスープに秋田のいぶりがっこ、山形の玉こんにゃく。三陸のわかめに津軽のしじみスープ。東北がぎゅっと濃縮された土産コーナーでなのである。

CAS冷凍の追憶と野望

冷凍で持ち帰れる土産も充実している。牛タンはもとより、仙台牛ハンバーグに牡蠣の潮煮、さらにCASお刺身ほや。CASはCell Alive System、つまり細胞生存システム。なんのこっちゃと思われるだろうが、こいつは瞬間冷凍の方式なのだ。対象物に電磁波をかけながら冷やし、過冷却状態になったところで一気に凍結させる、画期的な装置なのである。三菱製の冷蔵庫に搭載されている。

仙台空港 土産コーナー

15年ほど前になるだろうか。東京に住んでいた頃、テレビ番組でCAS冷凍を知り、ネットで検索したところ、三菱製の冷蔵庫にCAS機能があることが分かり、ヨドバシカメラにネットで注文した。衝動買いだ。沖縄に持ってくるのがかなわなかったので、処分してしまったが、その性能はすさまじかった。丸ごとキャベツを冷凍しても、冷凍焼けしなかった。解凍してキャベツスライスにして食べた。葉野菜が冷凍できるなんて、夢のようである。面白がって、閉店間近のスーパーで半額のシールが張られた肉や魚を買っては瞬冷凍していたものだ。

今は冷蔵庫よりもドラム式洗濯機の方が欲しいのだが、いずれ瞬冷凍も再び手中に納める私の野望は潰えていないのだ。新型で23万円、旧型なら15万円で売っているようだ。両方買えば50万円はするだろう。今はまだ時期ではない。子供たちがもう少し大きくなったら、ドラム式洗濯機を我が物にするその日が来た後の楽しみなのだ。最後に取っておくものなのだ。

仙台発沖縄行き ANA1863便

土産を物色したあとは、搭乗して沖縄に帰るだけだ。窓からは準備中の航空機が見える。

仙台空港 ボーディングブリッジ

時間が来た。グループ1の私は最初に搭乗ゲートをパスする。私の前には誰もいない。ボーディングブリッジの先には沖縄行きの飛行機が待機しているのだ。

仙台空港 ボーディングブリッジ

仙台から沖縄までは一直線。長野、静岡から紀伊半島を抜けて沖縄までのフライトである。

フライトマップ

プレミアム御膳

飛行機が水平飛行に移ると、配膳が始まる。腹が減った。今日のメニューは何だろうか。

プレミアム御膳

機材はボーイング737だと、スペースがないので、弁当箱二つなのは覚悟していた。問題はいずれかの弁当箱が冷たいということだ。味噌汁は具なし。浮いてるネギのみの寂しいものだ。JALの香りもボリュームも豊かなバラ海苔味噌汁を見習ってほしいものだ。

プレミアム御膳

ちらし寿司はしいたけ、サヤエンドウ、とびっ子、貝柱にエビ、レンコンに玉子焼き。酢飯はさほど酸味なく、具の味付けも総じて薄味。とにかく冷たい。酢飯は冷めた方が美味いが、冷たいのは論外だ。人間の味覚には五種類ある。塩味、甘味、酸味、苦味、辛味、旨味である。これかは次の特徴を持つ。

  • 甘味は体温くらいの温度が一番強く感じる。
  • 旨味と辛味は温度が高いほど強く感じる。
  • 塩味(鹹味:かんみ)と苦味は温度が低いほど強く感じる。
  • 酸味は温度に左右されない。

温かいものも、冷たいものも、体温±25度が美味しく感じると言う。平熱を37度とすれば、温かいものは62度となる。タンパク質が変性、つまり凝固しないギリギリの温度である。冷たいものは12度。だが、酢飯に限って言えば、すきやばし次郎のウェブにすら「人肌」つまり体温であると書いてある。

それが10度前後の酢飯では、塩加減が良くても旨味を感じられるわけがない。エビも貝柱も口の中で噛むうちに温められ、わずかな味わいを感じることができる。とびっ子だけは塩味をしっかりと感じた。

この冷たさでしょっぱくないということは、最初からこの温度で出すことを想定しているのだろう。冷たいと口の中が冷えていく。熱いお茶で温める。なんだか冬場の飯を外で食べているかのようだ。

プレミアム御膳

豆大福は甘さ控えめ、柔らかな口当たりが締めにふさわしい。桜漬けと胡瓜漬けはコリコリとした食感と適度な塩気が箸休めに最適だ。烏賊の照り焼きは身が柔らか。濃縮された烏賊の味が口いっぱいに広がるが、照り焼きの風味はない。冷たい。

その奥にある、茶色い物体を箸でつまんで食べる。あまり味がしない。コンニャクとは異なる、グニャグニャとした感触だけが口の中に残る。メニューを見るが、該当するものが見当たらない。何を食べているのか分からない。口の中で噛んでいるうちに豆腐の味がしてきた。ああ、揚げ豆腐、牛たんそぼろ餡かけだろうか。冷たい。

揚げ豆腐の隣にあるのが筍の天ぶらだ。弁当なので衣がふやけてるのは仕方がない。筍の味はするが衣の方が存在感がある。冷たくて、筍の旨味が感じられないのだ。

プレミアム御膳

菜の花お浸しは出しがよく染みている。菜の花のほのかな甘みと香りを感じることができるが、冷たい。イトヨリ鯛の桜香焼き 桜の香りは特にない。少し薄味すぎないだろうか。もう少し塩が効いていた方が魚の味も引き立つというものだ。煮物 (油麩、里芋、桜しんじよう 人参、たらの芽、桜麩) も冷たい。人参は甘い。里芋も滑らか、でも冷たい。味付けは薄口だ。桜しんじょうはほのかな桜の香り、油麩はたっぷりと出汁を吸った力強い味だ。

弁当箱は両方とも冷たかった。口が凍えてくるのでお茶で温める。もはやすべてがお茶漬けである。ならば緑茶よりもほうじ茶が欲しい。だが、JALには有ってもANAにないのがほうじ茶なのだ。緑茶しか選択肢がないのである。

プレミアム御膳

食後に締めのお茶をいただく。デザートは最近お気に入りのアールグレイクッキーである。私は紅茶ではアールグレイが最も好きなのだ。ホットでもアイスでもどちらもいい。若い頃に読んだ少女漫画に、香りのきついアールグレイはアイスティー用なので、ホットで出すのは嫌味であるなどと描いてあったが、そんなことはない。豊かな個性的な香りを堪能するならばホットなのだ。その証拠に、最近ではカフェでアールグレイのホットを注文することができる。それが練りこまれた甘さ控えめで香り豊かなこのクッキーは少々癖になる味なのだ。

さて、沖縄まではあと二時間。ゆっくりと休むことにしよう。早く家族に会いたい。

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