浜松町の社宅から東京駅に向かう。これから盛岡だ。せっかくだから、昼は蕎麦を食べたい。わんこではない、普通の蕎麦だ。
ならば朝飯は何を食べるべきか。駅からの人混みに逆らいながら歩く。第一の選択肢は立ち食い蕎麦だ。浜松町の駅に着いた。大江戸そばを食べるか悩むが、昼も蕎麦だ。立ち食い蕎麦と手打ち蕎麦は別物と考える私でも、なぜか抵抗があった。
とりあえず新幹線の切符を買おう。食事ができるように一時間後の新幹線に乗ることにした。
うーん。
立ち食い蕎麦でいいんでないかい?もう一度、大江戸そばに向かう。自販機の前で立ち尽くす僕。
いやだ。
東京駅に行けば何とかなるだろう。駅はすごい人混みだが、改札に向かう人は少ない。電車は混んでいないはずだ。考えは当たっていた。東京駅までは座れはしないものの、ゆったりと乗ることができた。
さあ、着いた。朝のバトルフィールドだ。第1の戦場はグランスタだ。地下へのエスカレーターに乗る。持ち時間は40分。誤差なし。さあ、やつを探せ、敵はどこだ?ではない、何を食べようか。
店は三択。牛タンはない。寿司もない…と思ったが、鯛とマグロの冷汁。うーん、心惹かれるが、温かい汁がいいなあ。そもそもイートインが小さい上に満席だ。残念。
となりのマンゴツリーキッチンを除く。ああ、テイクアウト専門店か。やっぱり皿で食べたい。うーん。パス。
グランスタの弁当売り場。今半か。食べたいけど、朝ではないな。
ここにヤツはいない。次のバトルフィールドに移るしかない。ヤエチカだ。朝から頭に浮かんでいた、アルプスの麻婆豆腐カレー。昨晩、締めに辛いものが食べたくなったが、コンビニに麻婆豆腐が無くて、冷奴とゆで卵を買って帰ったのだ。
今こそ好機。
東京駅地下街を歩く。ラーメンストリート。朝から食べるのかよと思う。だよな、朝ラーって、ここは藤枝か?朝から麺類なんて中国人でも食わないぞ、などと思いつつ歩いていると、目に入ったは六厘舎。
ここはいつも人が並んでるんだよなあと思ったら、朝から並んでるよ。
マジか?
行列を横目にぐんぐん進む。ヤエチカに入った。モーニングの案内を見る。
ん?アルプスがない。いやな予感がする。まあいい。きっとやってるんでないかい。通路を歩く。カフェとか洒落た飯はどうでもええねん。今のワシは汁もんでガッツリいきたいねん。カレーは汁もんちゃうやろとか言うたらあかん。「カレーは飲みもん」や。
などと自問自答しているうちに店に着いた。着いた…が、開店前だ。朝10時からの営業だ。
がーん。
となりは梅本。やはり蕎麦なのか。立ち食いなのか。浜松町での再現なのか。店の前で立ち尽くす僕。ダメだ。蕎麦を食べる気がしない。
なぜだ?
朝定食も食べる気がしない。いつも自宅で食べているような、干物とご飯も食指が動かない。汁物が食べたいが、麺類は食べたくない。
おお、神よ!私にいったい何を食えと言われるのか?
誰か教えてくれ!
残り20分。負けた。タイムアウトだ。もうダメだ。最悪だ。汁物でもない、駅弁のおにぎりセットでも買って、新幹線の中でボソボソと食べながら飢えをしのぐしか、道は残されていないのか。ただただ朝から駅構内を20分もウロウロしただけではないか。こうして私は何者にもなれないままに終わるのか。
完膚なきまでに打ちひしがれた私は、すべてを諦めて、再び八重洲地下の改札から駅に入った。
ん?
リゾット?
そう言えば、そんな店があったな。たまにはイタリアンな朝飯もいいかな。
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アラフィフで再婚して二人の子どもを授かりました。妻は初めて、私は二度目の育児を夫婦で頑張っています。