紋別漁師食堂
名寄から美幌への道中、西興部(にしおこっぺ)村を通り、滝上まで来てお昼前。ここから遠軽までは一時間以上。昨日のリベンジでトリトン寿司に行こうかと考えたが、紋別まで40キロの標識を見て気が変わった。ここから三十分ほどで行けるではないか。
今度こそ海だ、漁師町だ、海鮮丼なのだ。
昨年、食べ損ねた丸富食堂に行くことも考えたが、最近オープンした紋別漁師食堂が気になったので、行ってみることにした。さて、吉と出るか、凶と出るか、運試しである。
店は街中より少し外れにある。外見は新しい。元は別の店だったのをリニューアルした様な気がする。駐車場は狭そうに見えて奥にもあるので、ゆうに10台は停めれそうだ。
店内に入ると、フードコートなのか食堂なのか迷う。まだ食器の片付いていないテーブルを見つけた。すぐに片付けますと案内される。店は満席に近い、二人しかいないスタッフでは瞬間的にキツくなるようだ。
店内にはズワイガニや毛ガニを加工した食品が販売されていた。オホーツク海に面したこの辺りは漁場としても知られている。タラやホタテ、カニ類なども多く水揚げされる。特にカニは輸入量も多いが年々減少している。
メニュー
紋別へのアクセスは飛行機か車しかない。鉄道がない。高速バスも走っていない。紋別オホーツク空港は羽田便が一日一便あるのみだ。もしくは遠軽か名寄から路線バスでくることになる。事実上、レンタカーでなければ、この店に訪れることは不可能だ。駐車場にはバスを止められるスペースもない。バスで乗り付ける団体客が入るほどの広さでもない。そのためだろうか、日本人客しかいない。メニューも案内も日本語のみだ。
さて、何を食べようか。
とんぶり専門店のようである。ズワイガニ、ホタテ、イクラを中心にメニューが組み立てられている。サイドメニュー+ご飯にするのか、丼物で行くのか悩むところではある。
紋別はホタテの一大産地だ。噴火湾の方では貝毒が出てホタテがダメになっているが、ここは問題ない。しかも大きくて甘い。ホタテは殻まで売れるので無駄になるところがなく、儲かってしょうがないと、紋別で水産業を営む知人が話していた。ただ、加工する人手がなくて、外国人研修生をたくさん雇っていると言った。今、日本の農家や第二次産業は、外国人なしでは成り立たないのが現状である。これは何も北海道に限った話ではないのである。都会の人間が知らない現実である。
また紋別はイカやタコの産地でもある。せっかくなのですべてを味わおうではないか。五色丼をセレクトする。
トイレは温水洗浄便座であった。店内ではWi-Fiも使える。新しい店舗だけあるな。
五色丼を味わう
五色丼が運ばれてきた。隣には丼と大きさの変わらないお椀が配置されている。土わさびと漬物が添えられていた。
お椀のふたを開けると、湯気とともにカニの香りが昇り立つ。蟹汁だ。中央に鎮座するつみれ団子は味が濃厚である。うまい。潮と磯の香りが脳裏に浮かぶ。ああ、ここは海だ。ようやくうまい海鮮をいただくことができるのだ。いやおうでも期待に胸は高まる。
さあ、五色丼よ、私に存分の海の幸を味合わせてくれたもう。
タコは土わさびでいただく。北海道ではよく食される、いわゆるホースラディッシュである。お?これは生タコではないか!ネットリとして甘い。吸盤はコリコリとして食感もよく、美味いのである。ご飯は温かい。やった、酢飯ではない。おじさんは嬉しいぞ。
ホタテは柔らかいが、割りにしっかりとした食感がある。なんだかさっぱりしているな。うーん、甘みもイマイチ弱いように感じる。こう、もっと、ネットリと舌にしたにまとわりつくようなのが好きである。北のホタテならばもっと甘みが強いはずである。残念。なんでだろう。
カニの身もなんだか水っぽい。香りも弱く甘みがない。ん?ズワイガニの季節っていつだっただろうか。日本海側は冬のカニが有名だが、オホーツクでは春から夏である。ずわいがにはシーズンが長くて、3月から12月だ。なんせ桜が五月に咲くようなところである。
いかは身がネットリとして甘い。これはいい。大葉をちぎって一緒に食べれば、味のバリエーションが広がるのだ。漬物と思っていたのは酢イカであった。
イクラは文句なし。
一品ずつを味わった後はコンビでいただく。イカいくら、カニホタテ、もうやりたい放題だ。思い存分、紋別の海産物を味わうのだ。食事の量は多くなく少なくなく、ちょうどいい。
ごちそうさまでした。春にも訪れてみたいものだ。旬のカニが味わえるだろうか。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)