2024年4月20日
京弁当

京都駅 西陣魚新 京弁当

駅弁かあ…

今日は午後五時半から千葉県柏市で会議だ。それまでに移動するには一時頃の新幹線に乗らなければならない。昼はホテルの周辺か駅で食べるか。午前中はホテルで仕事をし、昼前に出たのだが、大きなスーツケースを持ったまま歩くのは大変なので、地下鉄の駅に向かって歩き、気になった店があれば入ることにしたのだが、無い。

そもそも自分は何を食べたいのか。地元やしょっちゅう来るところにいれば、自分の食べたいものを、深く考えずに見つければいいだろう。カレーでも、ラーメンでも、生姜焼きでも、焼き魚定食でも問題ない。美味そうなものを見つければいいだけだ。

しかし、そうそう来る機会がない場所を訪れて、どこでも食えるものを食べることが、果たして正しいことなのか?若い頃、一ヶ月ほど軽井沢にいたことがある。旧軽銀座のマクドナルドはいつも混んでいた。なぜ、こんな観光地まで来てマクドを食べるのだろうか。近くに美味いバンバーグを食べれる店がある。釜飯の荻野屋もある。ピザの美味い店もある。赤坂飯店だってある。地元民がファストフードを食べるのは分からんでもないが、なぜ観光客が?そもそも私は、若い頃にバイトしたせいで、マクドを食べることができない。

よって京都の地で適当に食事を済ますことは、私の主義に反するのだと思ったのはいいが、食べたい店が見つからずに、いつまでもゾンビのようにウロウロとすることになる。

地下鉄で京都駅に行き、とりあえず新幹線乗り場に向かう。ああ、どうしてこうも京都市営地下鉄は使いづらいのだ?観光地なのにバリアフリー化されていない。エレベーターもエスカレーターも見当たらない。重いスーツケースを持って、何度も階段を上り下りする。これが世界的観光都市の地下鉄なのか?いい加減にしろ、京都市め。

昼過ぎの京都駅はどの店も混んでいて、順番待ちの客が並んでいる。店を選ぶとか、そんな状態ではない。仕方ない、駅弁だ。あーあ。

西陣魚新 京弁当

店頭

新幹線の改札を通り、駅弁コーナーに向かう。たくさん売ってるなあ。ふと、他の弁当と扱いが違う、数量限定の弁当に目が行く。これは…有名店が気合を入れて作ったものらしい。うーん。物は試しだ、食べてみようじゃないか。3240円の弁当とやらを。

京弁当

のぞみに乗り、新幹線が動き出したら、早速、弁当箱を開ける。すごいな。まずは銀杏と黒豆からいただく。香りがいい。プニプニした銀杏と柔らかな黒豆が対照的な食感だ。楓に見立てた人参は口に入れるとほろっと崩れる。人参特有のえぐみは無く、少し塩気がきいた味だけだが、ご飯との相性がいい。

おかず

かぼちゃは素材の甘みが引き出されていて美味い。イチョウに見立てたさつまいものレモン煮は、柑橘の香りがほのかで酸味もほぼ無い。ほんのりと芋の甘みが感じられるのがいい。こんにゃくも人参と同様、キツめに味付けされている。上品な塩イクラは、薄味の立ち飲みご飯にこれまたよく合う。味の染みたカブがうまい。海老芋も上品に煮付けられているが、周りに塗りつけられている黄色いものが何なのかわからない。軽い塩っ気が芋の味を引き出している。

鯖寿司、蟹寿司

レンコンの酢の物は、普通の弁当に入ってるものより酸味が控えめで、これまた上品、西京焼きとの相性抜群。鳥のごぼう巻きは薄味だが、噛むと焼き目の香りが口や中に広がる。アワビのスライスは柔らかく、薄味。磯臭く無くてご飯の邪魔をしない。松茸と春菊と菊の花のお浸しを口に入れると、松茸の香りがガツンと広がった後、ジワジワと春菊香る二段構えだ。

焼き湯葉としんじょうも上品な味付けで箸が進む。どれもこれも控えめの味付けで美味いのだが、出し巻き卵がこれまた美味い。口の中でほろっと砕ける、本物のだし巻き卵だ。えびは殻を剥くのが面倒だ。手がベタベタになる。だから厚手のおしぼりが付属しているのか。鯖寿司、蟹寿司、いずれも酸味抑えめ、素材の味が生かされている。

全景

食べ終えた時には新幹線が名古屋に着いていた。これは電車で食べるものではないな。家でひとり飲みながらやるもよし、家族とワイワイ食べるもよし、土産用の弁当だ。オカズ多めなので、明らかに酒が飲みたくなる。下手な土産よりもコンパクトで、美味しくて、食卓に華を添える。

機会があれば自宅に持って帰り、妻と子供たちと食べたいものだ。

西陣魚新

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