2024年4月20日
虹の滝 雄滝

香川県高松市 虹(こう)の滝

徳島から沖縄へ帰る

徳島から沖縄に帰るにはいくつかのルートがある。徳島空港から福岡空港乗り換えで那覇空港に向かう。実は那覇から徳島は接続が悪くないのだが(良くもない)、逆方向は接続が悪い。福岡空港での待ち時間が三時間もあるのだ。ならば羽田経由で帰るという手もあるが、逆方向に飛ぶのが精神衛生上よろしくない。

別の方法として高松空港まで行き、那覇行きに乗る方法がある。但し、この便を使うと少々リスクがある。那覇行きが一日一便というのもあるが、山中にある高松空港は霧が有名で、濃霧のために飛行機が着陸できず、引き返したり、伊丹空港に降りたりすることがあるのだ。

私も過去に一度、羽田からの便が着陸できずに沖縄行きが欠航となり、空港からバスで高松駅に行き、マリンライナーで本四連絡橋を渡って岡山から新幹線に乗り、博多で降りて地下鉄乗り換え、福岡空港から沖縄に戻ったことがある。6時間くらいかかったと記憶している。

あんな苦労は二度と嫌だ。

とは言え、これが徳島から最短で沖縄に帰る方法なのだから、他に選択肢はない。もしも飛ばなければ、岡山にでも泊まって、朝イチの那覇便に乗れば十時半には那覇に着く。徳島からの帰りは余裕を持ったスケジュールで移動するのが得策なのだ。時間がないとオプションが限られてしまい、自分の首を締めることになりかねないのである。

白水園 朝食

定宿の白水園でしっかりとご飯を食べる。ここの飯は美味いのだ。

虹(こう)の滝

徳島市内から高松空港まで、公共交通機関を使うとものすごく時間がかかる。一旦高松まで出てからバスで空港に向かうためだ。これだと二時間以上かかってしまう。なので必然的にレンタカーを使うことになる。そもそも、仕事で移動するにも車がないと不便なのは、どこの地方でも同じことだ。無人の乗合タクシーが普及すれば解決する問題もあるだろうが、数十年は先の話だろうから、徳島空港からレンタカーを借りることになる。高松空港で乗り捨ててしまえばいいだけなことだ。

徳島市内から高松空港に行くルートもいくつかあるのだが、個人的には徳島自動車道で脇町まで行き、美馬から山に入って行くルートが好きである。特に春は景色が美しい。

徳島自動車道

徳島の県境を越えたところに虹(こう)の滝がある。少し時間に余裕があるので、せっかくだからと立ち寄ってみた。途中は車がすれ違えないほど細いうえに曲がりくねった山道なので、注意が必要だ。滝のあたりにも駐車場らしい場所はない。スペースを見つけて車を停め、滝へと向かった。道路から滝を見下ろすことができるが、樹々が邪魔でよく見えない。

虹の滝

道を数分歩くと、登山道のような遊歩道の入口に解説があった。

虹の滝 案内板

つまり、ここには二つの滝があり、それぞれ雄滝、雌滝と呼ばれている。昔は滝の雄雌が逆であり、虹の滝の呼び名は、武士や歌人らに親しまれた下の滝から名付けられた。上の滝の方が大きく、空海が龍を閉じ込めた伝説があるとのことだ。

時間的に両方の滝を見るのは難しいので、上の滝にターゲットを絞る。

虹の滝 雄滝

足元が悪い道を慎重に歩く。なんせ革靴だ。本来ならゴム底のスニーカーのほうがいいのだろうが、仕事帰りなので仕方がない。道は狭く、急な斜面もある。若い人には苦にならないだろうが、運動機能が落ちた五十路のおっさんだ。転びでもしたら一大事なのである。遊歩道を降りたところに滝があった。

虹の滝 雄滝

滝を境界に日なたと日陰に分かれている。清涼で静謐に満ちた空間にはマイナスイオンがあふれ、日常に浸かれた心を癒してくれるかのようだ。ここには私一人。まさにプライベートな自然を満喫できる贅沢な時間(とき)。いいかえれば、ここでけがをしても誰にも助けてもらえないのだ。滝の流れ落ちる音が心地よい。滝見用のベンチらしきものもある。

虹の滝 雄滝

滝つぼの岸には水辺に生える植物が清い水を浴びて涼しげである。初夏である。

虹の滝 雄滝

水辺に咲く小さな白い花。水ぜりである。田せり、水せり、丘せりと呼ばれるが、すべて同じものであり、生えている場所によって呼び方が異なるだけなのだ。春の七草に数えられるが、個人的にはお浸しにして食べるのが好きである。妻も好んで食べるので、内地のスーパーで見つけると、すぐに買ってしまう。沖縄ではめったに手に入らない。

芹の花

ベンチの方に移動して滝を見る。角度によって滝の流れの形が変わる。

虹の滝 雄滝

ゆっくりと涼んでいたら、すっかり時間が経ってしまった。登山道を戻り入口に到着。反対側を下りれば雌滝だが、雄滝よりも下流にある分、道が険しそうだ。時間もない。やはり雌滝は次回へと持ち越しだ。

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