2020年1月24日
人間ばんば

2019ワールド人間ばんばチャンピオンシップ世界大会

十勝ばん馬まつり

9月中旬のこと、確か滝川の鮨屋で飲んでいた時ではないかと思う。知人の女性から話を持ち掛けられた。

「ばんばまつりに出場してくれませんか?」

酔っていた、しかも泥酔に近かった私は即答でOKしたと思う。あまり記憶がない。まさにエリア88で風間真が契約書にサインさせられて中東に連れていかれたのと同じような状況だ。ただ、祭りの直前に謎の蕁麻疹に苦しめられたために、妻から出場を取りやめるように懇願され、辞退したのであった。

令和元年10月5日、帯広市のばんえい十勝競馬場で「十勝ばん馬まつり」が開催された。この催事のメインイベントは人間ばんばの世界大会である。ばんえい競馬の馬をばんえい馬、略してばん馬(ばんば)と呼ぶためだ。

ばんえい十勝競馬場

晴天に恵まれ強い日差し。10月の北海道にしてはかなり暑い。半袖の人もいるくらいだ。競馬場内は多くの人で賑わっていた。お祭りなので多数の露店がある。いずれも地元の飲食店や有志によるもので、いわゆるテキヤではない。暴対法によって暴力団とテキヤは同列に扱われてしまい、祭りの風景は昔とすっかり変わってしまった。でも、バリエーションに富んだ現代の露店の方が個人的には好みである。

十勝ばんばまつり会場

若い人もかなり見かける。小さな子供を連れた家族連れも少なくない。印象としては年配者が少ない。最近はあまりみられなくなった光景だ。たくさんの露店を見て回るだけでも十分に楽しめる。競馬場内には野菜の直売所もあるが、そちらは年寄りで溢れていた。

ワールド人間ばんばチャンピオンシップ世界大会

十勝ばん馬まつり 開会式

ついに開会式が始まった。挨拶やルール説明などがある。エントリーは29チーム。ほとんどが道内からの参加だ。競馬新聞も発行される。私は競馬ファンではないのだが、これはお祭りなのでなかなかに楽しい。ギャンブル特有のやさぐれた匂いがない。ただし、競馬場内には場外馬券売場があるので、そこだけ雰囲気が明らかに異なっていた。

十勝ばん馬まつり 開会式 競馬新聞

ばんえい競馬場のコースである。多くの観客が訪れていた。通常の競馬は足元が芝やダートで円周のトラックを走るが、ばんえい競馬は足元が砂利で、コースは直線である。

十勝ばんえい競馬場

ばんえい競馬の特徴は、重量600キロ程度のソリを引きながら200メートルの直線コースを走ることである。途中、二箇所の丘(障害)があり、最初は高さ1メートル、次が1.6メートルである。

十勝ばんえい競馬場 レース場

ついに予選が始まった。人間ばんばのルールは次の通りだ。

  • 女性の騎手一人と5人の人間ばんばでチームを構成する
  • ソリの重さは予選150キロ、決勝180キロ
  • ゲートから騎手が走り、第一障害を越える
  • 第二障害の前に置かれたソリに騎手が乗ったら、ばんば達がソリを引く
  • 4分以内にゴールできなければ失格
十勝ばんえい競馬場 メインスタンド

レース開始

号令とともにゲートから騎手が走り出す。足元が砂利で踏み込んでも沈み込む。出走者に聞いてみると、砂浜を走るような感じらしい。

人間ばんばレース

騎手がソリに乗ると、五人がソリを引き、第二障害を登る。これがかなりの重労働だ。

人間ばんばレース そりを引きはじめるところ

騎手と合わせて約200キロのソリを引いて障害を登る。ここで力尽きるチームも少なくない。

人間ばんばレース 障害を登るところ

大人5人で200kgのそりを引きながら1.6メートルの障害を越える。人生で何度もできる経験ではないだろう。見ている分には面白い。見ごたえがある。気楽に応援できるが、出場者の負担は半端ない。もしも出場していたらと考えたら、少々青くなった。なんでも気軽に請けるものではない、断るときは断らないと自分の寿命を縮めることになる。

人間ばんばレース 障害を登りきったところ

障害を越えると平地となるが、すでに体力を使い切ったばんばはなかなか前に進めない。後ろから騎手が叱咤激励罵詈雑言を浴びせる。チームごとに様々な衣装で、タイムよりもパフォーマンス重視のチームも少なくない。

障害を越えたところ

ソリが進む速度が遅い。腕や足の筋肉に力が入っているのが見て取れるが、ソリはジリジリとしか進まない。古代ピラミッドはこのようにして建設されたのだろうかと、はるか昔に想いを馳せる。ああ、妻の勧めで辞退して正解だった。五十路の身体、しかも私は中学高校大学とずーっと文化部である。大学の体育の授業でソフトボールのフライを受け損なって、中指をはく離骨折するほど運動は得意ではない。泳いだり筋トレはできるが、肉体的に自分をいじめるような所業は嫌いである。

人間ばんばレース ゴール

そしてゴール。参加チームの三分の一ほどは途中で力尽きて失格となっていたと思う。

重機でそりを移動する

ゴールしたソリは重機が軽々とスタート地点に運んでいく。これが現代文明なのだと実感させられる光景だ。

十勝ばんえい競馬

本物のばんえい馬

夜になれば本物のばんえい競馬が始まる。今回は時間が無くて断念したが、機会があれば本物を見に来たいものだ。

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