リゾートしらかみ号に乗る
秋田での会議の翌日、本来であれば午後一から仙台で会議をしてから青森に移動して、夜に会議となっていた。ところが、仙台の会議が参加者のほとんどがまさかのドタキャンで、昼間の予定が開いてしまった。こまちで仙台に向かい、はやぶさで新青森に行かなくて済んだのである。秋田から青森への移動。これは、千載一遇のチャンスだ。かねてより機会があれば乗ってみたいと思っていた「リゾートしらかみ号」に乗れるチャンスではないか!
「リゾートしらかみ号」とは秋田と青森を結ぶ快速列車だ。それも遠回りして五能線を経由する。五所川原と能代を結ぶので五能線。世界遺産で有名な白神山地の入口でもあるのだ。日本酒「白神山地の四季」は若い頃によく飲んだ。名前だけ知っていて、どこにあるかも地図上ではわかっていたが、行ったことがない。森に入るとか山を登ることまでは望まないが、リゾート列車には乗ってみたかったのだ。
これだけ有名な列車だ。さぞ人気があるので、席が取れるのか不安だったのだが、前日の夕方に秋田駅のみどりの窓口でベテランっぽい駅員に相談したところ、席は余裕があるという。海側の席を取ってくれた。しかも青森までの乗車券を買うよりもお得な切符があるので、そちらを勧められた。リゾート列車、特別車両なのに扱いは快速だ。指定料金の520円しかかからない。特急津軽で青森に向かえば多額の特急料金がかかるのだから、お得感が半端ない。
始発 秋田駅
朝8時、ホテルをチェックアウトし、秋田駅に向かう。乗り場はどこだろうか。大きな案内が目に入る。JR東日本の力の入れようが分かるというものだ。
ホームに降りるとリゾートしらかみ号が静かにたたずんでいた。三種類の車両のうち「橅(ぶな)」だ。グリーンと白を基調とした、白神山地をモチーフとしたカラーが美しい。2016年に登場した新型の車両だ。
車内の様子
車両内はまさにリゾートだ。私の乗る車両には販売カウンターが用意されている。駅弁だけでなく、沿線の名物等も販売している。
カウンターでの車内販売も充実している。弁当以外にも様々なものが売られている。工芸品まで売っている。秋田駅を出発してしばらくは準備中だ。
シートもリゾート調だ。座り心地はまあまあ。シートはあまり深くないが足元はかなり広い。もう少し深く腰掛けられる方が好みだが、空いてるので一人で二列を占拠だ。
折り返し 東能代駅
チケットを買うときに海側の席を頼んだはずなのに、秋田駅で座ったのは山側である。あれ?何年か前、人吉から鹿児島中央駅に行くときに「特急 はやとの風」の指定席を買った。桜島がきれいに見える列車だ。海側の席を頼んだのに、桜島を反対側の席から見るハメに。まだもやJRに騙されたのだろうか。
列車は東能代に着いた。駅では「白神(しらかみ)三兄弟」という曲が流れている。リゾートしらかみ号の車両が3タイプあるからだろう。ここまでは奥羽本線。ここからは五能線だ。この駅で進行方向が逆になり、山側の席は海側になった。ここから日本海沿岸を北上して青森県に入る。
岩舘駅
東八森を過ぎたあたりから日本海が見え始める。あきた白神駅を過ぎると高台を列車は走る。眺めがいい。秋田県八峰町。16kmにわたる岩館海岸だろうか。
岩館駅に到着。駅の表示板に地元の名所が描かれている。もうすぐ青森県だ。ここから先が絶景ポイントである。列車は速度を落とし、じっくりと日本海を眺めることができる。新幹線ではこうはいかない。観光列車ならではの配慮だ。そういえば、九州の人吉と吉松を結ぶ観光列車も絶景ポイントで停止する。生きてきた時間よりも、残された時間のほうが短くなった今、のんびりと景色を楽しむのは、人生の贅沢なのだ。
深浦町
県境をこえて青森県に入ると深浦町だ。夕日が美しいと有名な場所でもある。考えてみると太平洋側は日の出、日本海側は日没を見ることになるので、夕日の美しい場所は日本海側に限られることが多いのだろう。島根県のキララ多伎も同じような場所だ。沖縄にいると、自宅からは東海岸にも西海岸にも車で15分ほどで着いてしまうので、あまり意識することがない。
車窓には大間越(おおまごし)海岸 影の浜が見える。車内のモニターには運転席からの眺めが映し出されている。
マグカツドッグ車内販売
大間越駅を過ぎると、列車は再び速度を上げる。十二湖駅を過ぎたあたりで、マグカツドッグの限定販売の案内の車内放送が流れる。秋田駅で列車に乗り込んだ時に、すでにチェック済みなのだ。マグロメンチカツを挟んだパンなのだ。
世のB級グルメやおみやげ品の大半は炭水化物だ。以前は出張に行くとなにかしらお土産を買って帰ったので、家にはいろいろと食べ物があふれていたが、妻が妊娠糖尿になってからは、買って帰るものがない。炭水化物市場の大きさを実感することとなった。だが、だらだらと食べてばかりでは太るばかりだ。自宅では炭水化物を制限し、旅先では味わう。そう、今は攻めの時間なのだ。私の席にも販売員が来た。もちろん買うべし。
マグカツドック。マグロカツのホットドッグ風とのことだ。英語でもdogsと表記されているのに、なぜ「マグカツドック」と最後が濁っていないのが気になる。調べてみた。読売新聞の記事によるとこうだ。
考案した町内のレストラン「カミリア」は「深浦マグロをより気軽に楽しめるように、食べ歩きできるホットドックにした」と話す。
考案した店主がホットドックと呼んでいたからなのだろうか。まあいい、食べてみよう。
マグカツドッグを喰らう
早速一口食べる。ん?これマグロだよなぁ。豚メンチみたいな味がする。甘辛と書いてあったが、どちらかと言うと辛めのソースがカツとマグロをまとめあげている。こってりとした脂とソースを、さっぱりしたレタスが包み込む。
美味い。
さらっと食べてしまった。少し冷たいのが残念だ。温かいとさらに美味いのだろう。
列車は深浦駅を目指して走る。ランチはどこで食べようか。
リゾートしらかみ号
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アラフィフで再婚して二人の子どもを授かりました。妻は初めて、私は二度目の育児を夫婦で頑張っています。