若松堰から遊歩道に入る
若松堰のゆったりとした遊歩道から公衆トイレを過ぎ、いよいよ回顧の滝へと向かう細道に入る。ここから先は足元がかなり悪くなる。遊歩道の入口に咲く小さい紫の花。紫鷺苔(むらさきさぎこけ)である。コケと言っても、実際は草である。

紫鷺苔に混じってタンポポの綿毛が見れた。遠くに飛ばすために、花が咲いた時よりも茎が高く伸びている。

水路を渡ると遊歩道である。この先にある抱返頭首工より取水された毎秒1.2トンもの豊かな水量である。農業用水だけでなく、生活用水にも使用される。

茣蓙(ござ)の石
ここからは川面を眼下に見ながら歩く。幅の狭い道だ。場所によってはぬかるんでいて、滑りやすいところもある。今でこそゆったりと擦れ違うことができるが、昔は道幅が50cm程度だったのではないか。なので抱返りと呼ばれたのではないか、などと妄想しながら歩く。やがて茣蓙の石に着いた。

水面に目を向けると、四角い大きな石が川の真ん中に鎮座している。白い岩肌にエメラルドの水面。勢いのある若葉が生い茂る木々の緑が少々うざすぎるのだが、雪深い、厳しい冬を耐えた植物たちが、待ちわびた春を謳歌してるように感じられなくもない。

右手が崖、左手が渓谷である。足元はあまり良くない。革靴で歩くのも少々難である。せめて少々厚めのゴム底になっている靴を履くべきである。生い茂る木々で日光は遮られているので涼しい。

湧き水と水飲み場
岩肌に黄色い花を見つけた。イワキンバイ(岩金梅)である。産地の岩上に生える植物だ。

しばらく歩くと、岩肌から湧いている水を利用した水飲み場がある。時間が無くて、水に触れることができなかった。実は30分も歩けば滝まで往復できるだろうと、軽い気持ちでここまで来た。すでに30分が経過している。おそらく回顧の滝までたどり着いてから駐車場に戻るまで、一時間以上かかるはずだ。
田沢湖でランチを食べて新幹線に乗らなければならないので、少々焦り始めていた。なんといっても素晴らしい景色なので、油断するとすぐに時間が過ぎてしまうのだ。ああ、この水を味わえばよかったと後から後悔した。

水飲み場から振り返った景色。歩く人は少ない。これほど美しい景色なのに、訪れる人は多くない。穴場である。

川面に向かって咲くアオダモの花。あちこちに咲いている。アオダモは木製バットの原料として知られている。最近では庭木としても人気があるようだ。

誓願橋
道幅が少し狭くなってきた。岩肌も角度が急になり、道に迫ってくるかのようだ。陽が当たらずにうっそうとした雰囲気である。足元がところどころ濡れていたりするので、滑らないように気を付けながら歩かなければならない。

水飲み場から1分ほど歩くと、しっかりとした作りの吊り橋に差し掛かる。誓願橋。災害によって遊歩道が崩落した場所に建設されたものである。

橋を渡るとき、橋上から眺める白い岩肌と青い水面のコントラストが美しい。それらを囲む新緑の緑がまぶしい。絶景である。水質が酸性のために生物が少なく、透明度の高い水になるとのことだった。

川の真ん中にある岩にはなにか名称がついてそうだが、とくには無かった。

橋を渡り終えると散策路の三分の二を過ぎたことになる。もう少しで目的地の回顧の滝だ。すでに出発してから36分が経過していた。
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アラフィフで再婚して二人の子どもを授かりました。妻は初めて、私は二度目の育児を夫婦で頑張っています。