新千歳空港でランチを済ませ、富山行きの全日空便に搭乗する。一日一便。北陸新幹線が開通してから、富山空港に就航する便は大幅に減った。羽田と千歳の二か所にしか飛んでいない。北陸新幹線の革新性が表れている。大学生の頃まで、北陸は遠かった。上野発の夜行特急「北陸」で金沢まで行ったことがある。昼間の特急なら「はくたか」か「白山」だ。

それが、新幹線ならば、たった二時間ほどで東京駅から富山駅まで行ってしまうのだ。大宮から富山なら二駅だ。羽田からわざわざ飛行機で富山に行くのは、乗換便の人くらいだろう。マイルを貯めたい人もいるだろうが、新幹線よりも一時間ほど時間がかかる上に、乗換も二回ある。新幹線は楽だ。便利だ。

しかし、北海道から北陸に行くとなれば、新幹線しか選択肢がない。昔は青森から大阪まで寝台特急が走っていた。昼間の特急も走っていた。日本海と白鳥だ。トワイライトエキスプレスは大阪から札幌まで走っていたはずだ。
なんてことを考えていたら飛行機は富山空港への着陸態勢に入った。眼下に新幹線と富山駅が見える。気が付けば五十歳。鉄道の思い出は中学生の頃だ。遥か三十五年前のことだ。

三十五年後にはおそらく死んでいるだろう。残りの人生が、たった三十年しか残っていないと思うと、いつもいつも鬱になる。いや、その前にガンや脳梗塞、心臓病で死ぬやもしれぬ。八十歳まで生きたとしても、認知症になっていたら、生きた屍と変わらぬ。もはやゾンビだ。

人は必ず死ぬ。人生の終わりを考えると、泣きたくなる。
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アラフィフで再婚して二人の子どもを授かりました。妻は初めて、私は二度目の育児を夫婦で頑張っています。