次の目的地は「足立屋」
せんべろでとても有名な店とのことだ。細い路地を歩き段々と暗くなってくる。突然見える赤提灯。おお、そば田舎の向かいなのか。この「田舎」の沖縄そばがなかなか美味しい。牧志にも支店があるのは知っていたが場所までは知らなかった。私はいつも安謝の本店で食べているのだ。
日曜日で多くの店が閉まっていることもあり、なおさらに繁盛ぶりが目立つ。まるで角打ちだ。店の中は厨房を囲むようにカウンターがある。狭い。そのカウンターのまあまあ奥の方に通された。一番奥には家族連れがいる。観光客のようだ。分かっててきたのか、分からずに入ったのか。奥の客が出るときは毎回全員が立ち上がる。なんだか一体感というか連帯感が生まれそうな感じだ。宮城が言う。
「ここに座ったら全員知り合いですよ。」
酔っ払いの特徴に「誰とでも仲良くなれる。」と言うのがある。酒の効能というか勢いというかなんというか。嫌いではない。早速となりの女性と話が盛り上がる。高知からきたひとり客とのこと。ツワモノだな。
せんべろセットを頼む。今度こそ正真正銘のセンベロだ。ドリンク三杯につまみ付き。つまみは串揚げか煮込みを選べる。カウンターの中でひときわ存在感を出している煮込みが美味そうだ。
せっかくなので串揚げ二つに煮込みとした。壁のメニューがすごいなと思ったら半分はドリンクだ。
「田舎そば となり」
お茶目だな。今日は休みだがな。
せんべろの怖さを思い知る
三人ともハイボールを注文する。氷とウイスキーが入ったジョッキとウィルキンソンの缶が出てくる。自分で割って飲めということらしい。四人で乾杯する。宮城が言う。
「ここ、モーニングあるんですよ。」
立ち飲みでモーニング?壁には確かに「モーニング始めました。」とある。メザシ三匹相当がなんなのか気になるところだ。
「こんなところ、よく知ってるねぇ。」
感心して私は宮城に言った。
「よく飲みにきてるんですよ。」
「へー、わざわざ観光客が多いところに飲みにくるんだ。」
「休みが平日ですし。」
宮城は飲食業なので週末は忙しいのだ。彼は続けた。
「ここだと昼間から飲んでいてもおかしく思われないからいいんですよ!」
「それかい!」と私は彼にツッコミを入れた(笑)
奥の家族連れが帰るので、カウンター席の客が全員立ち上がる。盛り上がって酒が進む。後から来た客に写真を撮ってもらい乾杯する。もう訳がわからん。つまみを頼むこともなく、ハイボール二杯目。トイレに行きたい。カウンターの方々に立っていただき店の外に出る。トイレはどっちだ?店員に尋ねる。
「トイレはこの先の店の中です。」
意味がわからない。
「あそこに姉妹店がありますので、そのトイレを使用してください。」
50メートルほど先にあったその店は洋食がメインで店内も本店とは打って変わってオシャレだ。トイレもついてる…って、トイレ無しで飲食店って営業許可出るのか?宮城に聞いてみた。宮城は飲食業だ。
「かなりグレーですね…」
営業許可無しでやってるんだろうか…沖縄ならありそうだ。
ハイボール三杯目。かなり酒が来ている。ここで少し理解できた。「せんべろセット」とは1000円でお得なセットではなく千円でベロベロにようセットだから、容赦なく酒に偏ったメニューなのだと。間違いない、だいぶ酔ってきた。再び姉妹店のトイレに向かう。店に戻ると宮城と川辺も店の外にいた。隣にいた女性客も一緒だ。よくわからんが4名で飲むと言うことらしい。
酔っ払い敵無し
「ピザを食いに行きましょう!」
宮城が叫ぶ。迷路のような市場の通路を歩く。
来る時も気になった「知花冷凍食品」看板と店内が一致してないような。今度来てみようかな。
たどり着いた先はイタリア料理店…なのか。宮城がワインのボトルを入れた。せんべろ二件で赤ワイン。もうダメなコース一直線だ。この辺りの記憶が曖昧だ。そして最後は松山のキャバクラに。店のにーにーに「ご無沙汰してます。」なんて言われちまったよー。菊の露炭酸割りだー!指名はないよ!
ここから記憶がほとんどない。覚えているのは締めを食べずにタクシーに乗って帰ったことだ。
翌朝は久しぶりに強烈な二日酔いで仕事にならなかった。川辺からメッセージが届いていた。
「おはようございます。後半記憶がありません。これから帰ります。」
せんべろ怖えー!
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アラフィフで再婚して二人の子どもを授かりました。妻は初めて、私は二度目の育児を夫婦で頑張っています。