2024年3月28日

YMO ~Yellow Magic Orchestra~

子供のころ、音楽を聴くといえばラジオかテレビ、そしてレコード。カセットに録音してデープがワカメになるまで聴いた曲も少なくない。今のようにネットもないから、音源の大半はラジオかレコードだった。貸しレコードの友&愛ができたのは高校生の頃と記憶している。

自宅にビデオデッキが無かったのでレンタルビデオは縁がなかったが、高校一年生の音楽の授業が自習になった時、クラスの男子が昼休みの間にレンタルビデオ店でクリームレモンを借りてきて、みんなで見ようと始まった瞬間に、出張でいないはずの音楽教師が音楽室に入ってきて、テレビを見て激怒、再生中止になったことは覚えている。

私はその日、学校を部活で公休していたから、残念だ。

中学生の時はYMOにハマっていた。カシオペアというバンドも流行り始めていたが、興味がなかった。高校に入ってから、カシオペアのコピーバンドをするとは思いもしなかった。

YMOのデビューは小学校五年生の時だ。その頃は歌謡曲ばかり聴いていたから知らなかった。ザ・ベストテンにランキングされ始めたのも中学生の時だったと思う。ファーストアルバムのイエローマジックオーケストラは友達の家でカセットに録音した記憶がある。我が家にはレコードプレーヤーもなく、あるのは小学校二年生の時に父が買って、そのあと放置されていたカセットのみだ。

ラジオもない。どうしても深夜のラジオが聴きたくて、学研の「五年の科学」を買い、ゲルマニウムラジオを作ったくらいだ。アンテナはベランダいっぱいに銅線を広げるので、親に嫌な顔をされた記憶がある。もちろんFMを聴くことはできない。よって、ライブ演奏になると、自分ではどうにもならずに、友人がFM放送でエアチェックしたものをダビングしてもらうしかなかった。二枚目のパブリックプレッシャーこと公的抑圧で、ようやくライブが聴けると喜んだら、ラジオで流れたのとは全然ちがう音楽になっていた。

ギターがないやん。渡辺香津美のサウンドが消えてるやん。

その後、BGMがリリースされて、なんだか雰囲気が暗くなった。テクノデリックは聴いていて眠くなった。TAISOが好きだったかな。高校生の時にリリースされた「浮気なぼくら」では日本語で歌い出した。サウンドは悪くないけど、こんなのYMOじゃない。音楽シーンでは評価が高いとか、中高生に理解できるはずもなく、その頃になると私の気持ちは 、カシオペアやThe Square、高中正義と言ったフュージョンサウンドに移っていた。

それからだいぶ年月が流れた。ブックオフで何気なくCDを漁っていたら、YMOの昔のライブがCD化されていた。500円で買ったと思う。当時、私の音源はCDだった。町の小さなレコード店に行き、名前を聞いたこともないアーチストのアルバムを買って聴いたりしていた。

知人とITの会社を立ち上げて働いていたから、同世代よりは金を持っていたので、CDを何百枚も持っていた。友人たちがそれを目当てに我が家を訪れていたが、中には借りたまま返さない奴もいた。YMOのアルバムもいつの間にかなくなっていた。

それから四半世紀、25年が過ぎた。今ではYouTubeで様々な音源を聴くことができる。ラジオで聴いたボトムラインのライブもアップロードされていた。他の会場でのライブ音源も聴くことができる。楽しくて色々聴いてみたのだが、サウンドが酷い。音が出ない、弾き忘れている。全員が一小節ずれている、とか。特に矢野顕子と坂本龍一のパートがもう、酷いのなんのって。シーケンサーはMC-8、シンセは舶来の高級アナログシンセばかり。サウンドはなかなかチープだ。エフェクター使わずに生音出してるんじゃないかってパートもある。シーケンサーなしのBehind the mask とか。

その後、ヤマハから革命的なデジタルシンセDX-7が発売された。私が最初にまともに触ったシンセがまさにこいつだ。その後、数年で日本製シンセはものすごい発展を遂げ、世界中に普及した。それが、今ではパソコンどころか、iPadですべてできてしまう時代だ。デジタルシンセを使ったYMOの演奏なら、相当リッチなサウンドになるはずだろうと思い、90年代以降に演奏された音源を探して聴いてみた。

あれ?

確かに楽器の音は豊かだ。厚みもある。クリアだし、バランスもいい。それなのに、面白くない。聴きていて飽きる。YMO結成の頃の勢いと緊張感がない。なんだか成金のおっさん達が余裕こいて演奏してるように聴こえてしまう。

1979年、ボトムラインでのライブ。千のナイフとThe End of Asiaが秀逸なのです。40年近く経ってようやく出会えました。しかも千のナイフは当時、ラジオでは一部しか流れなかった。

これだよ、これ!まさにYMOサウンドだ。

なぜだろう。坂本龍一が教授と呼ばれるようになった頃から、サウンドが変わってしまった気がする。

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