それは一通の電話から始まった。自宅でくつろいでいると、会社で割と親しい同僚から電話があった。時間は夜九時。こんな時間に電話をかけてきたことはない人物だ。
間違い電話だろうか?
不思議に思いながら電話に出る。以前は電話はガラケー、スマホはネットと分けていたが、ガラケーをスマホに変えたので、電話もすぐに取れるようになったのだが、このことは私にとってトップシークレットである。誰にも知られたくないのである。
電話に出た。
「もう、酒飲んでますか?大丈夫ですか?」
なにやらパニクってるようだ。用件を聞く。
「私のYahoo!アカウントが盗まれて、ビットコインで払えとかなんとか、訳のわからないメールが届いたんです。しかも、メールに書いてあった私のパスワードは合っているのです。怖いのでYahoo!アカウントごと削除しましたが、大丈夫でしょうか?」
なるほど。新手の詐欺メールだな。私は彼に説明した。
まず、Yahoo!のアカウントとパスワードなんて、しょっちゅう盗まれている。個人的な感覚で言えば、ソフトバンク系のサービスは、総じてセキュリティの質が低いので、使うのをやめたほうがいい。
次にパスワードがメールに書いてある時点で人手ではなく、プログラムにより自動生成されたメールである。人間がアカウントをハッキングした場合は、すぐにパスワードを変更して、元の持ち主がログインできないようにし、悪用するなり、情報を抜いたりするので、わざわざ普及率の低い仮想通貨で払えだなんてメールするような、ヌルい事をする必要がない。
プログラムでメールを自動生成して送りつければ、人出はまったくかからない。100万通出して、一人引っかかれば十分である。仮想通貨で百万円でも手にできれば御の字である。
一番大事なことは、訳の分からないメールが来ても焦らないこと、パニクらないこと。相手にショックを与えて、思考能力を奪い、リンクをクリックさせることが目的だから、何もせずにメールを削除すればいいだけである。盗まれたアカウントはパスワードを変更すればよい。何より、個人的にはYahoo!の使用は勧めない。
それと、念のため、snsやGoogle、ネットバンク系などのパスワードは変更したほうがいい、とアドバイスした。ようやく彼も落ち着いたようである。
翌朝、ネットで検索すると、私の想像通りの記事を見つけることができた。
脅迫メールには気をつけてほしい。
50年ほど生きていれば、いろんな経験をするものだ。さほど破天荒な生き様だとは思わないのだが、あまり他人が知らないことを見知ってきたらしい。そんな私の人生の切れ端でも誰かの役に立つかもしれないなら、記録として残す価値はあるかもしれないなどと考えながらブログを更新している。(詳しく読む…)