やっぱりステーキ

沖縄県南風原町 やっぱりステーキ 9th 津嘉山店

やっぱりステーキ 9th

東京の大学に通う長女のハルハルが年末年始を沖縄で過ごした。大みそかに風邪をひき、一週間ほど高熱で寝込んでいたために、文字通りの寝正月となった。何しに沖縄に来たのやら。そのために東京に戻る日程も予定より遅くなった。せっかくなので沖縄でステーキを食べたいとご所望であったので、家の近くにある、やっぱりステーキに行くことにした。

店舗入口

10年前までは原野だったこのあたりは区画整理が始まってから発展が目覚ましい。このステーキ店も、割と最近まで居酒屋だった気がする。一度だけ呑みに来たことがあった。なのでまだ店内も新しい雰囲気がする。

内地ではいろんな意味で「いきなり!ステーキ」が有名だが、沖縄ではやっぱりステーキがシェアを伸ばしている。台湾には「びっくり!ステーキ」なる店があった。

メニュー

注文はテーブルに置かれたタブレットで行う。

硬いものが苦手なハルハルが一番柔らかい肉を店員に尋ねる。「やっぱりステーキ」とのことだ。ミスジと書いてある。ハルハルが再び尋ねる。

「あの、ミスジって、筋はありませんか?」

違う!肩甲骨の裏側部分の上等な肉のことだ。筋とは関係ない。いや、三本の筋が入っているから三筋と呼ぶのであるが、いわゆる硬いスジを心配する部位ではない。

「とても柔らかくしてますから!」

店員が笑顔で胸を張った。

さて、私は何を食べようか。メニューには上ミスジステーキもある。何が違うのか知りたかったが、久しぶりに来たので、みんなと同じくやっぱりステーキをセレクト。

食べたりなかったら、替え肉を頼めばいいだけのことだ(笑)

セルフコーナー

キャベツ食べ放題。少しスライスが粗い。以前、行った店もこうだった。もう少し細い方が好みだ。

ドレッシングも豊富なようだが私はかけない。素で食べる。

食べてみると、キャベツがパサパサしていない。業務用ではないのか。しかも甘味がある。えぐみはない。この季節、沖縄は葉野菜の収穫シーズンである。スーパーでもキャベツ等が安くなる。昨日は一個50円で買った。

スープは塩分を含むのでパスなのだ。

やっぱりステーキ(ミスジステーキ)

各テーブルにも調味料が豊富に用意されている。

肉が運ばれてきた。油が跳ねないように、ペーパータオルが被せられている。なんだか遺体の顔掛けのようにも見えてしまう。

さっそくご飯を取りに行く。白米と黒米の二種類がある。ハルハルは白米を皿によそっていた。私はなんとなく黒米を皿についだ。ご飯をよそう、つぐ、よそる。私自身は「よそる」と言うことはない。「装う(よそう)」もしくは「つぐ」と呼ぶ。なんと、地域によって言い方が異なるそうである。ちなみに沖縄では「ご飯を入れる」が普通だそうな。確かに妻はそう言ってる気がする。

エプロンを装着し、油が跳ねるのが収まるを待つ。音が静かになってきた。よし、今である。鉄板の上から華麗に白紙を取り去った。

なんだ、この分厚さは。
千円でこんな肉が食えるのか?

ステーキはミディアムレアで焼かれているとのことだ。切っては焼き、切っては焼きと食べていては溶岩石が冷めてしまう。一度に肉を切り分けて、断面を焼いてしまうのだ。ちなみに目標はミディアムだ。ナイフの刃を入れる。スッと入る。柔らかい。これが千円のステーキなのか?!

胡椒をミルで挽く。予想が外れた。粗挽きではない、パウダーだ、細挽きのミルだ。切り分けた肉にかけ、刻みワサビをのせ、ポン酢とにんにく醤油を一対一で混ぜた特製調味液を少しだけつける。高松のステーキ店でこいつと出会って以来、ステーキを食べるときはポン酢醤油ニンニクチップの組み合わせがお気に入りなのだ。

さあ、ついにこの時がやってきた。肉を口に運ぶ。おお、やはり柔らかい。しかもきめ細かい肉質。これが千円のステーキなのか?!年末に食べた神戸牛のシャトーブリアンにはとても敵わないが、普段食べているミスジとは別物だ。こいつは本当にミスジだろうか。脂はさほどのっていないが、肉本来の味わいを堪能できる。牛肉特有の臭みもない。

ん?

ミスジは肉の繊維に垂直に、2〜3cmの厚みにカットされて売っているのが普通である。常識である。これだと肉の中央にスジが走る。だが、ミスジを幅7〜8cm程度にカットし、繊維方向に半分にカットする。そしてスジをカットすると、ちょうど観音開きのような形になる。なるほど!常識を排除してカットの仕方を工夫することで、このようなステーキを実現させたのか!

ミスジは希少部位で美味い割には、サーロインやヒレに比べれば需要は少ないために安い。そもそも焼肉かステーキくらいにしか使えない部位なのである。しゃぶしゃぶやビフカツには向いていない。

アイデアと工夫で店舗を増やしてきたやっぱりステーキ。初めて食べた時よりも感動が大きい。沖縄に千円ステーキは数あれど、この店が最強だと強く思った。

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