アルプス 麻婆カレー

東京八重洲地下 カレーのアルプス 旨辛麻婆豆腐カレー

午前便で沖縄から羽田に向かう。空港からはモノレールで浜松町に行き、京浜東北線に乗り換えて東京駅で降りる。そして八重洲のとあるビルに打ち合わせに向かった。つつがなく用件を済ませ、東京支店に向かうのだが、まだランチを食べていない。

何を食うべか?

現在時刻は13時50分。ランチタイムはそろそろ終わりだ。ヤエチカこと、八重洲地下街を歩くと「デヴィ辛旨飯」なるポスターを見つけた。

辛い飯か。辛いもの。カレー、麻婆豆腐。カレーと麻婆豆腐、カレーに麻婆豆腐。

おお、そうだよ。今だ、チャンスだ、ブレストファイヤーではなく、麻婆豆腐カレー。アルプスだよ。以前から食べてみたかった。いつのことだったか、おとなりの梅もとで蕎麦を食べたときこいつを見かけて「なんじゃこりゃ?」と思った。ところがネットで検索すると、ひそかな人気メニューだとわかった。いつか食べる機会があれば挑戦したいと願っていた。

まがい物でもいいから試してみたい。

泥酔した仙台の夜、ふざけた名前の居酒屋で麻婆カレーをオーダーしたら拒否された。仕方がないので、カレーと麻婆豆腐を注文して自分で混ぜた。まあまあイケた気がする。仙台市民のソウルフードが仙台マーボー焼きそばのくせに、なぜ焼きそばはよくてカレーはだめなのか、意味が分からない。沖縄県民からすれば、焼きそばに麻婆豆腐をかけるセンスのほうが到底理解できん。しかも、身近の仙台市民に聞いてみると、意外に食べたことがないと答える始末だ。

どないなってんねん、仙台!!!

仙台はどうでもいい、目的地が定まった。早足で歩く。腹が減った。おお、ここだ。カレーのアルプス。今日は開いている。

店頭にはメニューサンプルが置いてある。麻婆豆腐カレーもしっかりと存在感を保っている。しかも、期間限定の旨辛バージョンとのことだ。ノーマルも食べたことがないので、比較はできないが、なんだか得した気分ではある。

食券を買わねばならぬ。もう迷わない。期間限定バージョン、旨辛麻婆豆腐かれーなのだ。五百円玉をいれ、躊躇なくボタンを押す。店内に入ると、カウンターに置いてある盆をとり、スプーンを盆に置く。食券を出すとすぐにカレーが提供される。サラダがあればここでドレッシングをかける。水のコッブをとり、席に移る。

さて、これが麻婆豆腐カレーだ。ご飯の上に麻婆豆腐、皿の半分がカレーで満たされている構図だ。ご飯という台地の上に麻婆豆腐の森が茂り、カレーの海がある。

まずは海からだ。カレーは昔ながらのカレー店のオーソドックスな味だ。懐かしい味だ。続いて陸地だ。麻婆豆腐は日本人向けの中華の味。本場では無い。口当たりは甘辛だが、辛さが後を引く。

福神漬けは無添加。これをカレー海の海岸に置くと、二つの世界の境界線である、波打ち際からすくって食べる。

うん?

カレー、麻婆、どちらの味もしない、新しい複雑な味わい。顔から汗が噴き出してくる。なぜか福神漬けが妙にマッチする。

なんだこれは。

私は台地を削り、海を干上がらせる。美味い!旨辛だ。初めて経験する味だ。仙台の夜に試したものとは明らかに異なる気がする。あの時は泥酔もしていた。いや、まさに渾然一体!これぞカオス。私は天地創造の神になった気分なのだ。

麻婆により辛味が増幅されたカレーに、豆腐の食感とご飯の甘さ。サラダを頼めばよかった。

すべて食べ終えた後の食器には、わずかばかりのルーが残るのみ。これ、色即是空なり。

自宅でも試してみよう。

(Visited 20 times, 1 visits today)