温州大餛飩
昼飯だ。朝市から戻り、身支度をするとホテルに荷物を預けて食事に出た。何を食べようか。初日の魯肉飯をもう一度食べる手もある。あそこのは美味かった。しかし、違う店に行くのもありだ。行くべきか、いかざるべきか。今の私はハムレットの心境だ。いや、待てよ。何か忘れていないか。街中をウロウロしながら考えた。思い出せ、考えろ、見落としているものは何か?
答えは目の前にあった。これだよ。この店で食べようと、何度も通るたびに思っていたではないか。その名は「温州大餛飩」。餛飩とはワンタンのことだ。中国南部では雲呑と書くこちらの方が日本ではメジャーだ。ワンタン麺、いいじゃないか。私は迷わずに店に入った。
席に案内されると、メニューに書いてからオーダーするように説明された。さて、どれにしようか。ワンタンスープ、ワンタン麺。色々あるな…あ?搾菜肉絲麺だと?一昨日の晩、偽物のようなものを食わされた。ここなら期待できるんじゃないだろうか。ワンタンは次回だ。今度だ。さあ、見せてもらおうか、この店の搾菜肉絲麺とやらを!
小皿料理
と、その前に小皿の前菜をセレクト。結構いろんなものがある。
湯葉と野菜の和え物をゲットする。思った通り、アッサリしていて美味い。
搾菜肉絲麺(ざーさいろーすーめん)
さて、いよいよ20年ぶりに本物とご対面か?先日は偽物を食べたので期待に胸が膨らむのだが…
あれ?
見た目がすでに私の知ってるのと違う。そもそもこれでは主役は搾菜ではなく、タケノコではないか。スープを飲んでみる。悪くはないが、やはり違う。これはきっとワンタンスープに違いない。麺を食べる。食べてみたのだが…
美味い不味い以前に、私の求めるものではない。
どうしてなんだ?15年前でもそこらへんで食べることができた料理だぞ。なぜにこんなにまでも私を拒否するのだ?
納得のいかないまま食べた。
考察
わかったことは二つ。この店の搾菜肉絲麺は私が求めるものではない。そして、この店で食べるべきはワンタン麺であったということだ。目先の欲望に目が眩み、蕎麦屋でチャーシュー麺を注文するごとき己の愚かさに打ちのめされながら、私は店を後にした。
I shall return.
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)