豊橋カレーうどん

うどん玉川本店 豊橋カレーうどん&うなぎ1/3尾丼

うどんかうなぎか、それが問題だ

東海地方は関西と関東の間に位置するので、東か西からまだら模様だ。以前ならペヤングは静岡より東で販売されており、金ちゃんヌードルは静岡より西で販売されていた。今はどちらも全国で買えるようになった。味付け海苔と焼き海苔の境目は三重の長島町あたりだと、以前、鉄腕DASHが調査していた。それでも、名古屋の味噌文化、岡崎の八丁味噌など、西でもなく東でもない、東海地区独自の文化もしっかりとある。

さて、午前中の会議も終わり、ランチと相成った。明朝には豊橋を離れる。夜はホテルで懇親会だ。つまり、自分の意思で食事ができるのは、このランチのみということだ。なのに選択肢は二つ。実は豊橋もうなぎの養殖が盛んな産地だったのだ。それだけにウナギ店も数多くある。これは食べるしかない。

ところが、だ。地域おこしで発案された「豊橋カレーうどん」何と発売開始は2010年。まだ7年しか経っていないのに、まるで昔からそこにあったかのような存在感だ。これも食べるしかないだろう。

だが、考えてみればわかる。カレーうどんとウナギ。ミスマッチというか、言ってみれば味噌汁にパスタ、シチューに刺身、寿司にポタージュ。どう考えても、同時に供される料理ではない。伝統のうな重に対し歴史の浅いカレーうどん。職人の腕が物言うウナギに対してB級グルメのカレーうどん。

何度考えても無理だ。同時に食べることはできない。

ならば伝統にあやかろうじゃないかと、駅前に見つけた鰻屋に向かうが、店の前まで来てなぜか乗り気にならない。

なぜだ?

分からないまま、もう一軒有名な羽子吾(はねご)に向かうも、足取りが重い。

なぜだ?

うどんの玉川

私の気持ちとは裏腹に、身体はカレーうどんを求めているというのか。ならば、この近くにあるうどん屋はどこだ。ネットで調べると「うどんの玉川」という店があった。とりあえず向かってみよう。数分で店に着いた。店頭には多くのメニューが掲げられている。カレーうどんもトッピングがいろいろあるのだな。うん、うなぎはどこでも食べられるが、豊橋カレーうどんはここでしか食べられない。

決めた。

ランチはカレーうどんだ。さらばウナギよ、また会う日まで。店は満席。しばし待つ。壁には数多くのサインが飾ってある。

メニュー

数分でテーブル席に通された。ラッキーだ。カウンター席は狭い。

一人で四人がけの席に座れたのだ。相席でも構わん。さて、何を食べようか。再度、メニューを見る。

「今月の本メニューにないおすすめ品」

本当に来月にはないメニューなのだろうなと、半ば疑いながら、何をそんなお約束に大人気なくムキになっているのだと自分を戒めようとしたその時、私の目に信じられないメニューが飛び込んできた。

「うなぎ1/3尾丼+豊橋カレーうどん」

なんと!まさに理想的なメニューではないか!これは食べるしかない。カレーとうなぎの相性は気になるところだ。いや、昔、香港で食った野菜炒め載せのうな重に比べたら、ここは日本だ。店内にはたくさんの色紙。おかしなことにはならないはず。

ここは敢えて二兎を追うのだ。ビジネスには、リスクを取った者しか手に入らないものがあるのだ。

豊橋カレーうどん

ウナギはオーダーしてから焼くので時間がかかるというが、まるで構わない。時間ならたっぷりある。さあ、思う存分、私のウナギを焼くがいい。その前に予習だ。豊橋カレーうどんの要件は次の通りだ。

一、自家製うどんであること。
二、丼の底にご飯を入れ、とろろをのせ、うどんを入れてカレーをかける。
三、カレーにはウズラの卵をトッピングする。
四、福神漬、壺漬もしくは紅ショウガを添える。
五、愛情を込めて作る。

まずはカレーうどんだけが出てきた。ウナギはでき次第、持ってくるとのことだ。紙エプロンがついてるのも嬉しい。辛いもの、カレーや唐辛子系の食べ物は跳ねて服に着くと悲惨だ。これは必要なアイテムなのだ。

レモンをうどんに絞るのかと思い手に取ると、デザートのオレンジだった。危ない、危ない。

まずはスープを…ん?これ、ルーだ。サラサラではない。粘性が高い。これを飲めと、カレーは飲み物とでも言うのか。とりあえずネギを入れてルーをかきまぜてみる。うどんをすする。もちもちだ。コシはそれほどないが、辛口のカレーがよく絡む。素揚げの野菜も入っている。これがまた美味い。

こいつは、スープカレーの逆バージョンだ。

ご飯が欲しくなる。そうだ、底をさらうのだ。とろろ飯がいるはずだ。いた!こいつをチキンカツとともに食べる。おお!カレーうどんからカツカレーに形態変化した。一口ごとに味が変わる。最後はカレーライスにモード変更だ。なんだ、これはまるで用途に応じて姿が変わる、合体変形ロボではないか!そう、ゲッターロボだ。

とても食べ応えがある。計算違いだ。これではうなぎが入らない。すでに腹がいっぱいだ。しかし、今朝は飯を抜いたから、カロリー的には大丈夫なはずだ。落ち着くんだと自分に言い聞かせる。

うなぎ1/3尾丼

ようやくうなぎが登場。山椒をかけ、ハシで一口とる。案外柔らかそうだ。口に入れる。熱い。カレーうどんを食べた後なのに熱々だ。うなぎは柔らかく、臭みもない。関東式か?フワフワだ。タレは甘すぎず辛過ぎず。ご飯によく染み込んで、これまた美味い。たくあんとの相性もいい。うなぎはいいね、美味い。幸せで満足だ。

完食した。

ごちそうさま

トイレは温水洗浄便座だった。

私はとても水分を摂るのでお茶がすぐになくなってしまうのだが、店の方がこまめにお茶を注いでくれる。この心遣いが嬉しい。

さて、まさかのカレーうなぎ。それも時間差攻撃で、味のぶつかり合いを避けるという、見事なプレイだった。満足だ。これで心置きなく、沖縄に帰ることができると言うものだ。

うどん玉川本店

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