すき焼き牛肉と生玉子

愛知県豊橋市 すき焼 こばやし

ミサイル騒動

ハワイで弾道ミサイル警報が誤って発令され、大騒ぎになった。担当者が訓練用と本番用のボタンを間違えたとのことだが、もしもこの二つのボタンが、簡単に間違えるような配置、例えば隣同士で色違いならば、それはシステムとして、間違いを誘発するリスクを考慮していないと言える。

わかりやすくいえば、タイムボカンだ。ボヤッキーがクライマックスで「ポチッとな。」と、間違えて自爆ボタンを押すやつである。アニメなので笑って済むが、実際なら笑えない。間違ったらまずいボタンは離して配置するべきなのだ。公衆トイレでも「流す」と「呼び出し」ボタンが隣り合ってることがある。間違ってくださいと言わんばかりだ。

この騒動で興味深いニュースを読んだ。オーストラリアの記事なのだが、ミサイル警報が発令されてから、ハワイからアメリカのポルノサイトへのアクセスが通常の五分の一まで減り、警報が誤報とわかった途端に1.5倍に上昇したとのことだ。

「弾道ミサイルが飛んできます。これは訓練ではありません。」

こんなメッセージが街中にけたたましく鳴り響いている状況でも、ポルノサイトを見ている人がいるんだなあと驚くとともに、誤報とわかった途端に、普段はこんな時間にポルノサイトを見ない人までが、サイトを見ていたということは、なかなか興味深い。

後からわかったことだが、抜き打ちの訓練を、担当者が本物だと勘違いしたのが原因だそうだ。

すき焼き こばやし

愛知県豊橋市。昨年も来た。夕方からの会議に間に合うように岡山から移動した。そのあとの懇親会が楽しみだったのだ。なんせ、会場が老舗のすき焼き店だと言うのだ。居酒屋でもいつものホテル飯でもない。

タクシーに乗って店に向かう。闇夜に浮かび上がる和風建築が美しい。老舗の風格が漂う。店内もなかなかのものだ。リノベーションされてはいるが、急な階段などは直しようがない。二階のお座敷に通された。いくつものテーブルが並んでいる。貸切だ。すごい。

ふと、名前を呼ばれた。鈴木だ。同じテーブルには吉良も忍野さんもいた。テーブルの上には七輪が置かれている。すき焼きといえば、割り下を使う関東風と、砂糖と酒と醤油をぶっかけて煮込む関西風がある。さて、ここはどちらなのだろうか。

乾杯が終わるとすき焼きの肉と野菜が運ばれてきた。仲居さんがすき焼きと七輪の間にビールの王冠を挟んで傾きを作る。なんか匠の技っぽい。次に鍋に野菜をたっぷりと入れる。え?最初は肉を焼くんじゃないの?

「たっぷりの野菜を炒めて水分を出すんです。」

味付けは醤油とザラメ。酒も使わない。煮詰まった時に入れるのは水だ。

なんと言うことだ。関西でも関東でもないすき焼きがこの世に存在したとは?!沖縄では肉豆腐のことを「すき焼き」と称するが、それとは違う。七輪にすき焼き鍋に野菜と和牛。正統派なのだ。

「玉子割って〜。」

鈴木が吉良に言う。

「お前はボンボンか?自宅ですき焼きを食べる時はどうするんだ?」

吉良が鈴木に尋ねる。至極もっともな質問だ。

「自宅で食べない。店に行く。」

これだから資産家ってやつは。

野菜の皿にかまぼこがいる。それを見た吉良がボソッと呟く。

「俺、練り物嫌いなんですよねー。」

どうでもいい情報をありがとう。誕生日にでも笹かまを送るよ。なぜすき焼きにかまぼこを入れるか不思議だ。仲居さんが答えた。

「豊橋は練り物の町ですから。」

味は関係ないのか?!

豊橋のすき焼きの実力とは?

野菜が煮え上がると、ついに和牛が投入される。今日の肉は愛知県内の牛ということだが、宮崎牛を出すこともあるそうだ。愛知といえば知多牛を思い出すな。野菜に玉子をつけて食べる。野菜の甘みと玉子の甘みが甘辛い味つけと相まって、口の中に広がる。うむ、確かにすき焼きだ。

煮汁で肉に軽く火を通したらすぐに引き上げる。ほんのりピンク色でいいくらいだ。これを玉子につけて食べる。

美味い!

ビールを飲む。たまらんっ!しかし、私と鈴木はハイボール党だ。ウイスキーでなくてもいい。炭酸はないのか?!なんなら外に買いに行くぞ!基本的に我々はワガママである上に、金で解決できる問題ならどうにでもなると思ってるからタチが悪い(笑)まあいい、ここはビールでしのぐことにしよう。コメが食べたくなる気もするが、やめとこう。肉を食べるのだ!

肉も野菜も無くなって二皿目。容赦なく肉と野菜を食べる。締めはうどんだ。うーん、一口でいいや。野菜と肉のエキスが染み出したタレを吸い込んだうどんを、玉子につけて口に入れる。

至福だ。

じきに場は御開きとなった。ここ豊橋は東海道きっての宿場町。この「こばやし」も元は旅館だったのを、時代とともに業態変更したとのこと。古き良きものも時代に取り残されれば滅ぶしかない。経営者の努力なくして伝統は維持できないと感じさせられた食事だった。

すき焼きの小林

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