初めての豊橋?
豊橋と聞いて思い浮かぶのは、淡雪とツナおろし。淡雪は、ふんわりとしたういろうと言うか、和菓子。でも、豊橋で淡雪を調べてもまったく出てこない。そりゃそうだ。このお菓子は岡崎市の名物だ。ツナおろしはツナおろしパスタのこと。豊橋市が発祥だとか。だけど、豊橋に来た記憶はない。通り過ぎたことは何百回になると思うが、降りた記憶は本当にない。おそらく、初めてだ。
なぜ豊橋に来たのか?まず、明日は午前11時から刈谷で研修がある。次に、最初に泊まろうと思った場所が、二カ所続けてホテルが空いていなかった。刈谷に泊まるのは避けたい。すでに何名か前乗りしているはずだからだ。岡崎は最近も行ったからパスだ。浜松も何度も行っている。名古屋もパス。次の日に差し支える。新幹線が停まって、刈谷に近くて、ホテルが少なくない都市という条件を満たしたのが、たまたま豊橋だったのだ。
土地勘がない場所なので、晩飯はネットで調べることになるが、やはり最近はネットで探すのが疲れてきた。そう言えば久しく会っていない知人が豊橋にいるのだが、会えば飲んでしまって、翌日に響く。なので、誰にも言わず、単独行動に勤しんでるのだが、背に腹は変えられない。メッセンジャーで、豊橋の店を教えて欲しいと連絡すると、すぐに返事がきた。本人は、会社の決算処理で飲みに行ける状態じゃないからゴメンね、と同席できないことを詫びてくれたのだが、いやいや、こちらこそありがとうございますなのだ。
新幹線の改札を出ると、ホテルは繁華街とは反対側の西口にあった。豊橋駅の繁華街は東口なのだな。チェックインを済ませると、私は駅を通って東口に向かった。駅からほどないところに店はあった。
あら川
店の構えは私の好みだ。ドアを開ける。カウンター席が目に入る。奥に厨房。一人だと告げると、奥のカウンターに通された。ほとんどの客が二階席に通されていた。カウンターの壁には黒板があり、気合の入ったメニューが描かれている。
この店のオススメはバーニャカウダと肉だと聞いていたので、まずはバーニャカウダとビールをオーダーする。
風呂吹き大根
まずはお通しの風呂吹き大根。八丁味噌の香りがいい。大根は薄味。味噌と大根の味のバランスはいいのだが、大根がちょっと硬い。
バーニャカウダ
イチオシのバーニャカウダは地元野菜が盛りだくさん。どの野菜を食べてもタレに合う。素材の味が正直に出る料理なだけに、いい野菜を使っていることが分かる。んまい。
意外な野菜がバーニャカウダに向いてるのも面白い。おかひじき、ミョウガ、レッドオニオン、豆苗に…ほおずき?試してみる。甘酸っぱいほおずきと甘めのソースが不思議な味わいを醸し出す。悪くない。
ほとんどの客が二階にいるので、カウンター席しかない一階に客は私一人。店員を何度呼んでも、カウンターのベルを鳴らしても、店員はすぐ目の前のキッチンで雑談をしていて、こちらに気付きやしない。なんだよ。帰るぞ。もう少しでキレそうなところで、たまたまレジに来た店員が私に気づいた。よかった。せっかくなのでA5黒毛和牛ミスジの塩レアステーキをオーダーする。ミスジとは肩甲骨の内側の肉だ。
あれだけの野菜だったが、バーニャカウダのソースをお代わりして、ぺろっと食べれた。満足。野菜はいいねぇ。
ミスジの塩レアステーキ
見た目に美しい。和牛のミスジはタダでさえサシが細かいのに、これはなんだ。わさびと塩でいただく。柔らかい。脂がくどくない。牛肉特有の臭みがない。そして、甘い。食べても食べても飽きがこない。噛むほどに肉の美味いが滲み出てくる。付け合わせの野菜も美味い。
至福じゃ。
食べ終えて支払いを済ませ、店を出る。料理はいいが、接客はダメだな。繁盛してるようだが、そもそも一人で来る店じゃないのかもしれない。機会があれば、今度は何人かで来てみよう。
あら川 公式HP
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)