徳島駅 徳島魚問屋 鯛めし とと喝

徳島にて鯛めし

東京での会議を終えて徳島に移動。夕方に打合せをして、夕食は取引先の山上さんが招待してくれた。指定された店は、徳島市の繁華街、紺屋町にある「とと喝」。鯛めしが有名な店だとのことだ。定宿の白水園から近いのが嬉しい。ホテルで一息つくと、歩いて店に向かった。

ここか。

落ち着いた趣のある店構えはまさに私の好みである。作りは店の品格をも体現しているかのようだ。扉を開けて店に入る。川上さんは既に奥のお座敷で私がくるのを待機していた。

入口

「遅くなりました。」

声をかけると、本日はコース料理なので、飲み物だけ選んで下さいというので、ビールを注文する。せっかくなので、一品料理のメニューに目を通す。

はも、おこぜ、あゆ、季節の野菜に水なす。ああ、もうすぐ夏だ。沖縄は絶賛梅雨入り中であるが、内地は天気がいい。春の終わり、梅雨入り前のひとときに季節の幸を味わう。なんと贅沢なことだ。

メニュー

メニューは巻物のように横に長い。まずは鮮魚と煮物。

メニュー

続いて焼き物に揚げ物。

メニュー

酢の物と食事である。

メニュー

これは楽しみだ。

本日はコース料理

お通しは鯖寿司。小腹が空いているところにいきなり炭水化物。しかも私が好きな青魚。バランスの良い味わい。ああ、ビールがうまい。

さば鮨

おつくりは鯛、甘エビ、アオリイカ、カツオだ。甘エビだけは残念。仕方がない、産地ではない。産地で食べることが多くなってから、鮮度にはかなりうるさくなってしまった。甲殻類は鮮度が命なのだ。他は見事だ。

お造り

続いてサワラのポタージュ仕立て。和食にフレンチの技法、このような新しい和の形を徳島で味わうことができるとは。優しい味のスープに淡白なサワラがマッチして、素材の魅力をがっちりと引き出している。

サワラのポタージュ仕立て

アナゴ照り焼き、舌平目のナスクリーム焼き、ペコロスのオランダ煮である。いずれも申し分なし。

オランダ煮(オランダに)とは、食材を油で揚げたもしくは炒めた後、醤油、みりん、日本酒、出汁などを合わせて作る煮汁にトウガラシを加えて煮た料理。油で揚げた後に煮ることで食材の外側と内側で異なる食感が発生する点が特徴である。食材にはナスやこんにゃく[3]を用いることが多いが、鶏肉やジャガイモ、高野豆腐、魚を使用したオランダ煮も存在する。また、ナスを茹でた後に煮る調理法も存在する。金沢ではナスと素麺の煮物もよく出される。

オランダ煮は長崎県から日本全国へと広まった西洋の調理法とされ[2]、江戸時代に出島からオランダとの貿易を通して伝わったことから「西洋風の」という意味合いでオランダ煮の名前がついたとされている

Wikipediaより引用
アナゴ照り焼き、舌平目のナスクリーム焼き、ペコロスのオランダ煮

皿に置かれた葉っぱの話で山上と盛り上がる。徳島と言えば「葉っぱビジネス」で有名だ。ジジババがタブレットで注文を受けて山に入り、必要な葉っぱを採集して発送するものだ。年間数百万円の売上になるらしい。しかも原価はタダ。自分の山の葉っぱかと思いきや、実際には国有林等に勝手に入って採っているのだとか。入会権(いりあいけん)でも設定されているのだろうか。いずれにしろ葉っぱビジネスの相手は東京とのことだ。

中休みに温玉冷やしそうめん。冷たくて気持ちいい。

温玉冷やしそうめん

鯛めし登場

ここで土鍋で炊いた鯛めしが運ばれてきた。すごい迫力だ。しかもうまそう。自宅でも鯛めしを炊いたことがあるが、こんなに見事な鯛ではない。

とと喝 鯛めし 土鍋

鯛のみをほぐし、茶碗によそうまでは店の方が処理してくれる。プロに任せて我々は食べるだけなのだ。

にんじん鳥メンチ。

にんじん鶏メンチ

タチウオ錦糸アボガドソースの酢の物。

タチウオ錦糸アボガドソースの酢の物

そしてついに運ばれてきたのが鯛めしとみそ汁。出汁が効いた土鍋で炊いた米と白くて旨味をぎゅーっと濃縮したタイの身。もちろん、コメにもタイの香りとエキスが染みわたっている。噛むごとに口の中に旨味と甘みが広がっていく。ああ、至福だ。

とと喝 鯛めし

夏の味覚を味わう

やはり関西に来たからには食べなければならない食材がある。徳島は四国とはいえ、対岸が兵庫、大阪である。戦国時代には徳島を拠点とする三好家が阿波国のみならず、淡路、畿内をも支配し、史上初の武家による中央集権体制を敷いた。「信長のシェフ」にも三好家の京都と徳島との関係が描かれているのを読んだ。そのためか、阿波料理は京料理の影響を受けていると聞いたことがある。昔のことだが、ジャストシステムの浮川氏に食事に呼ばれたとき、指定された店が東京の徳島料理の店だった。地元素材を使った京風の料理であったと記憶している。

そして初夏の京都といえば、ハモ。漢字では鱧。體と似ているが、骨が豊かで體(からだ)である。今は体と書くのが普通だ。ハモも小骨が多くて食べにくいから、先人が鱧という字を編み出したのだろう。これを専用の包丁で「骨切り」して調理するのは有名だ。

ちなみに鱧は国字と思いきや、実はれっきとした漢字なのだが、中国語では雷魚、正確にはタイワンドジョウを意味する。日本には二種類の雷魚がいるが、全国に生息しているのはカルムチーと呼ばれるもので、タイワンドジョウは一部にしか生息していない。いずれも中国では一般的に食される。

というわけで、鱧を注文。もちろん「落とし」だ。

鱧おとし

ハモうまい。

夏の魚が鱧とすれば、夏野菜を代表するのは水ナスだろう。個人的には茄子の王様と呼んでもいいくらいだと思っている。生では食感がパサパサしている野菜のはずなのだが、薄くて柔らかい皮をまとった、まるで果実のごとくジューシーな実は、生でも、浅漬けでも、糠漬けでもいける。しかも大阪泉州でしか育たない。

以前、新宿で茨城産の水ナスが八百屋で売られていたが、形は普通の茄子と変わらなかった。同じように見た目は普通の茄子だが食べてみると水ナスもどきのものを食べたこともある。だが所詮は偽物、もどき、似非(えせ)である。本物には叶わないのが世の摂理。いや、最近はラボグロウンダイヤモンドなる、本物のダイヤよりも純度の高いものが生み出されてしまったから、本物よりも優れた模造品、いや、それはすでに本物を超えた創造物。

ダイヤモンドはどうでもいい。

水ナス

で、食べてみる。水ナス最高!鯛めしに合う。これはたまらん、

お土産に鯛めしの持ち帰りを勧められ少々困惑した。ホテルに持って帰っても絶対に食べるわけがないからだ。

ん?

自分で食べる必要ないやん。こんな美味いもん、嫁と娘に食わしたら、えらい喜ぶで!とっさのひらめきに持ち帰ることにした。注意書きには3〜4時間以内に食べろと書いてあるが、もう少し持つだろう。この後、一軒くらいは飲みに行くだろうから、それさえ切り抜ければ、ホテルに戻って冷蔵庫に入れ、クーラーボックスで沖縄に持ち帰ることができる。

とと喝 鯛めし

二軒目はバー

女性がバーテンダーを務める、クラシックバーに連れていかれた。噂を聞いた県外からの客が訪れていた。黒猫タルトをいただいて帰った。満腹だ。

黒猫タルト

翌日、自宅に戻り、夕ごはんに鯛めしを出した。みんな美味しいと喜んでくれた。