天神 B.B.Quisine
昼飯だ。さて、何を食べようか。
当初、二時間の待ち時間を生かして、博多か天神でランチを済ますつもりだった。もつ鍋、ラーメン、うどん、海鮮、なんにしようかと考えているうちに、自分の置かれた状況に気付いた。
外は雨だが、傘は預けた荷物の中だ。
これでは外出できないではないか。仕方がない、空港レストランで済ますしかないかと、気を落とす私の目の前に、液晶看板が現れた。そのに映し出された一品。
福岡県民の隠れたソウルフード、ビーフバター焼き専門店。
私はソウルフードとやらに弱い。がぜん、食べてみたくなった。どの店だ?すでに画面は別の店に変わっている。心静かに落ち着こう。ローテーションで表示されてるはずだから、数分待てば再表示されるはずだ。待つこと2分。目的の画面が現れた。中央7番だな。分かった。では、食わせてもらおうか、隠れたソウルフードとやらを!
メニュー
フードコートなので、注文して、席で待つスタイルだ。メニューを見る。よくわからない。アボトマ焼きとやらが美味そうだが、これとビーフバター焼きとはどういう関係なのだ?店員の若い娘に高圧的な態度で質問すると感じ悪いので、特に感情も込めず、事務的に質問する。
トッピングしたものと同じ?そうか。なら、それで良い。アボトマ焼きだ。2番のブザーを渡される。
ビーフバター焼き
数分後、ブザーが鳴り、カウンターに向かう。鍋から跳ねる油を防ぐ紙が巻かれている。自分のテーブルに持ち帰る。これをどうやって食べるのか。カウンターから声が聞こえてくる。
「よく混ぜてお召し上がりください。」
そうか。ならば、混ぜようではないか。混ぜる。よく混ぜる。とにかく混ぜる。こんなものだろうか。しかし、ライスがない。パスタのみだ。バターライスが入っているのでなかったのか。私の勘違いか、はたまたオーダーをミスったか。まあいい、今は腹が減っている。目前のあつあつのこいつを平らげてから検証すればいいのだ。焦ったら負けだ。
だがな、これを箸で食べるのか?確かに混ぜるのは箸のほうが楽ではあったが、パスタだ。外国人に見られたら、明らかにバカにした目で、肩をすくめて「Wow!」などと言われかねない。まあ、隣の席に外国人が座ってはいるが、中国人なので、アジア系は問題ない。欧米系が問題なのだ。まあ、それはいい。箸しかないのだから、これで食えばいいのだろう。これで眼前に置かれるはパスタだが、食す感覚は焼きそばだ。
パスタを肉と一緒に箸でつまみ、ズズっとすすって食べる。ん?醤油ベースの少し酸味のあるバーベキューソースが牛肉とパスタによく絡む。新感覚?パスタはアルデンテではない。もちっとしているが柔らかくもない。専用麺を使っているのか?ビーフ焼きというだけあって、牛肉の存在感はさすがだ。柔らかい。ただでさえバーベキューソースが食欲をそそる上に、青いトマトの酸味が、アボカドのねっとりとした甘みが、加熱されて溶けそうなミニトマトの甘みさえ、どれもが肉とパスタにマッチしている。なんだこれは?
美味い!
半世紀もの間、天神でサラリーマンの胃を満たしてきたというのは伊達ではない。そしてBBQでパスタなのに、あえて箸で音を立てて食べる。この発想がすごい。
思いの外、ヘルシーであっさりしていた。量もちょうどいい。いや、少し物足りないかもしれない。なんせ、ぺろっと食べてしまった。
サラリーマン向けということで、ライスもがっつり入っていると思ったが、コメはオプションだ。こいつをおかずにして食べるとチラシに書いてある。ヌードル&ライス。魅惑の炭水化物、いや、五十路には禁断の技だ。しかし、ダメと分かっていても男にはやらねばならぬ時がある。しかし、今はその時ではない。次回だ。次回は必ずライスもつけてやる。待っていろよ、B.B.Quisine。
福岡空港 天神 B.B.Quisine
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)