蜀魚館老店
仕事で台湾を訪れた。どうしても鯉を食べたいと私が声高に主張したので、地元で有名な蜀魚館を8名で訪れた。店に入ると二階席に案内される。席に着くと、まずは偵察部隊が一階の水槽まで行き、夕げの鯉を選ぶ。一番大きな鯉をリクエスト。元気だ。
メニュー
次に料理の方法を豆瓣(豆板醤)、紅焼(醤油)、椒鹽(花椒塩)、糖醋(甘酢)、蒜泥(おろしニンニク)、頭湯(カマ出汁スープ)より三種類選ぶ。
「美味しいのこの三つね、あとは美味しくないね!」
店のお母さんが日本語で解説する。ならばわざわざ質問しなくてもいいだろうに。じゃあ、オススメの豆瓣、椒鹽、蒜泥にしようではないか。
次にサイドメニューである。蒜泥白肉が食べたいというと、それは美味しくない、これがオススメですよ!とオーダーを半ば強制される。乾煸四季豆、開胃雙拼、豆花牛、炸銀絲巻、回鍋肉をチョイスだ。
台湾ビール18天
次にドリンク。冷蔵庫から持って行けという。オススメは台湾ビール18天。鮮度が18日しか持たないという、高級ビールだとのことだ。
ちなみにドリンクメニューはない。冷蔵庫から飲みたいものを自分で取り出す。会計時は空き瓶を数える。冷蔵庫から出した後でも、未開栓ならばノーカウントである。但し、冷蔵庫以外にドリンクは置いてないので、結果的に最後までビールを飲むことになる。
乾煸四季豆
鯉が調理される前に、サイドメニューが続々と運ばれてくる。まずは「乾煸四季豆」。「乾煸」とは汁なし炒め。「四季豆」はインゲンのことだ。インゲンを素揚げにしてのちに、強火でひき肉や刻んだ野菜と一緒に炒めたものだ。
開胃雙拼
牛のハチノスと豚耳の冷菜である。パクチーの香りとモツの食感が食欲をそそる。「開胃」は文字通り「胃を開く」と言う意味で、転じて食前に食べて胃を膨らませ、食事に備える、ということである。
牛豆花
牛は牛肉、豆花はおぼろ豆腐と言うか、豆乳を固めたものなのだが、茶碗蒸しのような食感のやわらかな豆腐である。台湾ではスイーツで食されることが多いが、四川料理では麻辣で食べる。二十世紀の頃、北京での朝食は塩豆花と油条が定番であった。懐かしい。
回鍋肉
日本語では「豚バラ肉キャベツみそ炒め」と訳されるが、これは少々間違っている。なぜなら、本場四川では、豚三枚肉の塊を鍋に沸かしたお湯で茹でて脂を抜き、それを鍋から出して薄切りにしたものを、キャベツと炒めて味噌で味付けする。
日本では豚バラスライスとキャベツを一緒に炒めて味噌で味付けする。なので、日本の回鍋肉は本場に比べて脂っこくなるのだ。回鍋肉とは中国語で「鍋に戻す肉」と言う意味である。鍋を回すわけではない。中華鍋でゆでた肉を取り出して、スライスしてから、再び中華鍋で炒めるのでこの名がついたとのことだ。
そして、いよいよメインディッシュ。それは後編に続くのだ。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)