鯛茶漬け

朝の鯛茶漬け ~羽田空港国際線ターミナル~

帰国して最初の食事は何がいいか

香港からの深夜便で早朝五時半に羽田空港国際線ターミナルに着いた。シャワールームで汗を流して着替えると4階のレストランフロアに向かった。朝食を食べようと思ったのだ。それもガッツリと食べたい。

やはり早朝なので空いてる店は3つしかない。まずはラーメンせたがや。嫌いなわけではないが朝から食べたくない、そうか、ガッツリ食べたいんじゃなくてしっかり食べたいのか。次に居酒屋。パス。あとはおでん屋。朝食メニューなのかお茶漬けとある。しかも豪華そうだ。これはいい。アッサリしてるのにしっかり食べれそうだ。

店に入るとカウンターに通された。メニューを見る。

おでんやの出汁茶漬けセット。

  • 紀州南高梅茶漬け。サッパリしすぎている。
  • 漁師ダレ真鯛茶漬け。こないだ函館で食べた釜飯もタイだったな。王道だな。
  • 漬けマグロ茶漬け。マグロかぁ。赤身だしなぁ。うーん、マグロは当たりハズレが激しいしなぁ。
  • 鯵のなめろう茶漬け。青魚は好きだ。鯵なら養殖ものはない。これにするか?しかしなめろうは味噌が入ってるから出汁と合うかなぁ。
  • 炙り明太子茶漬け。ない。
  • 鮭いくら茶漬け。安易だ。

ということで脳内会議の結果、真鯛茶漬けをセレクトしてオーダーする。

「お一人ですか?」

店員が声をかける。女性のひとり客だ。私と同じようにカウンター席に案内される。彼女は炙り明太をチョイスした。しばらくしてまたひとり。気がつけばカウンターはひとり客でそこそこ埋まっていた。半数が女性だ。

なぜ出汁をかけるのに茶漬けなのか

カウンターの中では二人の職人が黙々と茶漬けを作っている。おでん鍋から出汁をすくい急須に注いでいる。この店はご飯にも説明書きがあった。

「当店の茶飯はおでんの出汁で炊いています。」

昔から不思議に思うのだが、なぜ出汁をかけるのに「茶漬け」なのか?ネットで調べてみると、同じことを考える人はやはりいるもので、Yahoo!知恵袋などでも質問されていふが、回答はなぜかディスり合っていて説明になっていない。wikipediaを読んでもよくわからない。

茶漬けとは飯の上に具を載せて(載せなくてもいいけど)茶をかけたものと思っている。これが出汁でもいいのなら奄美のケーハン(鶏飯)だって「茶漬け」でいいはずだ。茶飯は「茶色い飯」のことなのか。

江戸時代には茶の代わりに出汁をかけた茶漬けを「越後茶漬け」と呼んでいたようだ。これは北越地方での食べ方とのこと。ところが「北越地方」を調べると、これまた説明がバラバラだ。福井、石川、富山の三県と書いてあったり、新潟も入れるとか。そもそも「越後茶漬け」と言うのだから新潟は絶対にはいるはずだ。

ふと、昔、北陸本線を「急行北越」が走っていたことを思い出す。これは大阪から金沢、新潟を結んでいた。結論、北越地方は石川、富山、新潟の三県だ。越後茶漬けがいつの時代か普及して今のスタイルになったのだろう。

やはり日本人なら茶漬けだろう

目の前に出されたものは、たっぷりの鯛がのった茶漬けと身体に良さそうなひじきの煮物と冷奴、見た目も美しい香の物。

さっそくご飯を茶碗によそい、鯛をのせ、大葉をちぎり、あられをかけ、わさびを添えたらたっぷりの出汁をかける。鯛の身が歯応えのある刺身から茶漬けにマッチしたレアに変わる。美味い。中華料理ばかり食べていた胃に茶漬けがやさしく染みる。香の物を口に入れるとアクセントが加わる。箸が進む。止まらない。

二膳目に突入する。今度はわさび多め。ツンとした香りがたまらない。あっという間に完食してしまった。

外国から帰ってきてあっさりした和食を食べると、日本に帰ってきたことを実感する。胃が疲れていたことを再認識する。中華粥もいいのだが、日本人は茶漬けの方がほっとする。次回は、いつになるかわからないけど、なめろう茶漬けを食べてみよう。そんなことを考えながら京急線のホームに向かったのだった。

銀座 おぐ羅

住所:羽田空港 国際線ターミナル4F
営業時間 :6:00~25:00 (ラストオーダー 24:30)

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