日本酒酒場 萬惣屋 コース料理

静岡駅 日本酒酒場 萬惣屋(まんそうや)

夕方からの長い会議が終わり、今夜も懇親会だ。会場は元Jリーガーが経営する店。腰掛けではない、引退して裸一貫から店を立ち上げ、繁盛店にまで育て上げた、れっきとした経営者である。残念ながら会費制の飲み放題コースでは、店の実力を量ることはできぬ。

広い店内のど真ん中に用意された二十席に陣取る。銘々にドリンクをオーダーし、そろったら乾杯だ。料理もスタートした。

まずは、お通し。鰹のアラを煮たものだと思う。しっかりと味つけして、臭みを消している。

シーザーサラダ。野菜はシャキシャキ。温玉を崩して、チーズベースのこってりしっかりとしたドレッシングと野菜を和える。使っている素材の種類も多い。

刺身。大皿でなく、一人分ずつ分けてくれる店の心遣いが嬉しい。初カツオにサワラ、マスである。臭みなく美味い。まだ若い、脂のノリが薄い初カツオは生姜たっぷりの醤油につけて刺身で食べるのが好きである。ここ何年か、本場の岡山以外でもサワラの刺身に出会う機会が増えた。流通に変化があったのか、それともサワラの美味さが市民権を得たのか、もしくはこだわりの店がわざわざ取り寄せているのか。

この店のオーナーである「まっくん」はかなりのこだわり派である。Jリーガーであれば、現役時代には所作の一つ一つにもこだわったような気がする。彼とは群馬県の沼田で一日中、一緒に観光したことがある。夕食は水芭蕉という酒を作る永井酒造のレストランで、この酒蔵の社長主宰のプライベートな飲み会に混ぜてもらった。

水芭蕉

なぜこれほどまでにまっくんが永井酒造にこだわったのか。ある時、店に来ていたひとり客からどうしても飲みたい酒があると言われたそうだ。話を聞いた彼はその酒を求めて、製造元に連絡をした。そして仕入れた酒を店で出したそうだ。再来店した客が

「このお酒が飲みたかった。」

と、嬉しそうに行ってくれたのが忘れられないのだという。まっくん自身もかなりの日本酒好きなので、飲んで気に入ったこともあるのだろう。

コース料理はまだまだ続く

続いてはチキンと豆のトマト煮。ちなみにこの店の飲み放題には地元静岡の地酒27種類が含まれている。店には全国の地酒、百種類以上が常時置いてあるのだ。さらにこの日は、近くの島田市の造り酒屋の若社長も参加。持ち込みの特別純米酒をいただく。これはヤバイ。

豚ロース焼き。ワサビでいただく。柔らかくて味付けはあっさり。素材を生かした味わいだ。

揚げ鯖。パリパリと豪快にいただく。なかなか酒に合う。黒はんぺん揚げ。静岡の郷土料理である黒はんぺんを揚げたものだ。オーナーからのサービスである。

締めの豪快こぼれ寿司。見た目にもすごいが、色々な食材を混ぜて食べると味もまた複雑かつリッチな味わい。いや、食べきれない。

ご馳走さま。やっぱり少人数で訪れたい店だ。ゆっくりと日本酒を品定めしながら、美味い料理を一人静かに、心ゆくまで食べてみたいと思いながら、皆と別れてホテルに戻った。

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