梅光軒

北海道 新千歳空港 旭川ラーメン 梅光軒 旨辛ラー油麺 醤油

北海道初日のランチ

先週に続き、今週も北海道である。来週も北海道である。夕方に札幌で開催される、年に一度の会社の役員会に、今年から私も参加することになった。午前11時半の便で新千歳に向かう予定だが、それではランチも空港になる。

ランチ砂漠の羽田で食べるなんて、私(わたし)的にあり得ない。

札幌で食べられれば嬉しいので、フライトを変更しようとネットで確認すると、いったい何があるのだろうか。この日の羽田ー札幌便は始発から最終まで満席である。時間を早めることも、ファーストクラスに変更して機内で済ませることもできない。

どうしたものか。

もう一つ、この時の私は非常に重い問題を抱えていた。

頭がかゆい。頭皮が痛くてかゆい。

髪の毛が伸びてきたせいだろうか。前回は芝の商店街の理髪店で散髪したと記憶している。九月八日だ。理容師が中国マニアの人で、やたらと話が合ったことを覚えている。今日が十一月十五日だ。ほぼ二ヶ月が経過している。

私は頭皮が弱いので、シャンプーは常にミノンを持ち歩いている。六年ほど前、フケがひどくて、いわゆるフケどめシャンプーを買ってみたが、使ってみたところ余計にひどくなり、当時、行きつけの医者が皮膚科もやっていたことを思い出して診察してもらったら、皮膚が荒れているからと、リンデロンローションを処方された。

髪が伸びると頭皮が蒸れて荒れてしまい真っ赤になる。ローションをつけても腫れが引くだけなので、根本的には解決していない。髪を切るしかないのだ。おまけに一昨日は予定を変更してホテルに泊まったために、着替えも何もなく、当然、シャンプーも持っていなかったために、シャワーのお湯で髪を洗っただけであった。これがよくなかったらしい。

どうしたものか。

とにかくサッパリしたくて、朝九時前に近所の理髪店を訪問。前回の店はまだ開いていなかったが、もう一軒は店の電気が付いていた。無理に店を開けてもらい、早めに仕事をしてもらって、ようやくかゆみが落ち着いた。

さあ、空港へ向かおう。ランチのことは機内で考えよう。千歳着は13時。14時までに食事を済ませて電車で札幌に向かえば、15時にはホテルにチェックインできる。スーツに着替えてから役員会場に向かっても、計算上は余裕で間に合う。

やはり千歳空港で食べるしかないか。ならばラーメンか。味噌ラーメンもいいのだが、今晩も食べに行く気がする。いわゆる締めラーだ。だとすれば、ラーメン以外か。

  • 空港で蕎麦は食べたくない
  • スープカレーもパスだ
  • 豚丼も違う
  • ジンギスカンはゆっくり食べたい
  • 週末は道東だから、海鮮も食べたくない

何を食えばいいのだ?

飛行機は新千歳空港に着陸した。飛行機を降りて荷物を受け取り、とりあえず駅でUシートの指定席券を購入する。

さて、何を食べようか。

やっぱりラーメン共和国しかないか。ならば、この機会に、ずっと避けていた旭川ラーメンを食べてみようとなんとなく思った。鷹の爪は以前に食べたので、梅光軒なのだ。店に向かうと、席はいくつも空いていたので、すぐに店内に案内してもらえた。

旭川ラーメン 梅光軒

どれにしようか。

メニューはシンプルだ。選択肢は少ない。全部のせラーメンにしようか迷ったが、空港限定の旨辛ラー油麺。スープは味噌にしようかと迷ったが、鶏ガラと魚介のダブルスープを堪能するならば醤油であろう。ススキノ女子も味噌より醤油を食べていた。

ああ、イソノカヅオでラーメンを食べてみたい。

オーダーを済ませて一息つく。厨房では若い職人が勢いよく声を上げながらラーメンをひたすら作る。元気だなあ。

数分で私のラーメンが手元に運ばれてきた。今日は何もトッピングしていないし、餃子も注文しなかった。

何故だろう?五秒ほど自問自答する。

まあいい。

さて、早速いただくとしよう。まずはスープからだ。鶏ガラの効いた、優しいさっぱりとしたスープ。薬味ネギとの相性がいい。ダブルスープだからか、昔懐かしい味ではない。味わい深い今どきのラーメンスープである。

麺は細く縮れた旭川ラーメン独特の麺だ。札幌ラーメンのように滑らかではないが、もちもちしてスープがよく絡む。小麦の味をしっかりと味わえる。

ネギともやしを麺と一緒に食べる。より多くのスープが絡み、刺激的で魅惑的な、何か抗えないかのような、リッチな味わいが口中に広がる。煮玉子の白身はプルプルであるが、黄身はまるで太陽に突っ込んで焼き焦がれた隕石のごとく、スープに溶けてしまった。

太いメンマは食感よく、薄味で自己主張しない。メインの味を邪魔しない。ただそこにある存在感が、食べるものに安心感を与えてくれる。

チャーシューは豚もも肉。しっかりとした肉の味が噛み締めるたびに口の中に広がる。柔らかくも肉の本懐である食感までは失わない。味付けが薄めだからこそ、素材本来の味が堪能できるのだ。

旨辛味噌をスープに溶く。おお、醤油スープが一転、激しく情熱的な味わいに変貌する。お下げ髪のおとなし目の眼鏡っ娘が眼鏡を外し、セクシーな大人の女性に変貌するかのような旨辛味噌。もう魔法のアイテムだ、磁石でいえばジスプロシウムだ。レアメタルなのだ。産業界の調味料なのだ。変身する様はまさにクリーミーマミなのだ。いや、違うマジカルエミだ。小幡洋子のファーストコンサートのチケットを「ぴあ」で当てて見に行ったのは、内緒の話なのだ。

これはうまい。止まらない。七味であれだけ味わいが広がるのだ。旨辛味噌ならばその比ではない。気がつけば食べ終わっていた。気がつけば汗だくになっていた。

これが梅光軒か。鷹の爪は相手にならんな。

もともとは好きではなかった旭川ラーメン。ものは試しと思って食べてみたが、私の固定観念を見事に打ち破った梅光軒。

素晴らしい。

次回は塩ラーメンを食べてみたい。

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