ぶっかけ肉おろし温泉卵うどん 新橋 おにやんま

新橋駅 おにやんま ぶっかけ肉おろし温泉卵うどん

新橋駅ランチ

新橋駅にはかなり多くの飲食店がある。私が行くのは烏森口やSL広場、つまり東側なので、銀座方面はよく分からない。ニュー新橋ビルの地下だけでも数十の飲食店がひしめいている。駅前のパチンコ店の裏に行けばワンサカと店がある。立ち飲みからキャバクラ、いや、エッチな店までそろっている。

だが、ほとんどの店が営業しているのは夜だ。飲み屋がほとんどなので当然であろう。昼はランチタイムだが、新橋の住人はさほど多くない。オフィス街に飲食街、加えてホテルがひしめくのだから、平日の昼間の人口はかなり多いが、週末は激減する。まして日曜の夜はさらに人が少なくなるので、ほとんどの店が閉まっている。

いつもならバスか電車で訪れる新橋に、ゆりかもめで訪れてみた。日曜の倉庫街は静かであった。新橋も変わらない。日曜の昼間のこのあたり、平日とは街にいる人種が違う。サラリーマン風はほとんどいない。観光客や私のようにふらりと訪れた人間ばかりではないだろうか。ラーメン店やたい焼き屋には人が列をなしているが、あとは本当に営業している店が少ない。

さて、何を食べようか、ではないな。何が食べられるか、だ。

  • ラーメンはパス
  • カレーもパス
  • 立ち食いそばは嫌だ
  • 天丼もちょっとなあ
  • 中華の気分ではない
  • パスタは食わん
  • 肉丼かあ…うーん

なにが食いたいのだと自問自答してしまう。そんな私の前に現れたのは矢印付きの看板。おお、これはまさに迷える私への啓示ではなかろうか。

ああ、この店。前から食べてみたかったんだ。ちょうどいい、この機会に食べてみよう。

うどん おにやんま

入口専用と書かれたドアを開けて店に入る。店内の動線が一方通行なのだろう。丸亀製麺と同じシステムである。

食券を買うように指示されている。通路の右側に券売機があった。ああ、苦手な券売機。通いなれている店ならば迅速に判断もできるが、初見の店の券売機は本当に気が滅入る。だが、省力化、コストダウンに券売機は欠かせない。売上管理にも便利な上に、店員が売上をちょろまかすこともできなくなる。小さな飲食店を経営していた知人が話していた。

「飲食店経営は身内泥棒との戦いです。」

そういえば、数十年前のことだが、幡ヶ谷の小さなスナックにちょくちょく飲みに行っていた。その店の常連さんに居酒屋の店長がいた。いつもレジから現金をわしづかみにして飲みに行ってると、やはり常連の店員が話していた。店長はオーナーではない。その後、店長は解雇されたとかで店で見かけなくなったと記憶している。

さて、何を食べようか。

ぶっかけがやたらとフューチャーされている。ならばここは「ぶっかけ肉おろし温泉卵」をセレクトだ。揚げ物だとうどんの小麦粉に天ぷら衣の小麦粉と、炭水化物が重層化してしまう。肉と玉子ならばタンパク質だ。野菜は薬味をたっぷりと摂取することでカバーする。あとで野菜ジュースでも飲めばよかろう。

食券を買うと次のフェーズへと移る。コップに冷水を注ぎ、食券とともにお盆に載せ、カウンターの受け取りコーナーで、うどんを待つのである。言葉の分からない外国人でも、なんとなく分かると思うが、説明は日本語のみである。多言語非対応なのだ。

食券はお盆の上に置くようにしつこく表記されている。渡したくなるのが人情というものだ。効率的かつ無機的な流れ作業と人情とは相性が悪い。問答無用で一人当たりを所定時間内に処理しなければ、待ち行列の計算が破綻するのだから、仕方がない。これもまた現代社会の現実なのである。まあ、待っている間はヒマなので、うどんの食べ方を読んでみる。

ついに私の番だ。スタッフがどんぶりに各種アイテムを投入したのち、仕上げに温泉たまごを割っている。間違いない。これは私のうどんだ。なんぴとたりとも俺の前を行かせねえ!と言うものだ。

うどんを受け取ると席を探すことになる。椅子がないのに席を探すとは、これ如何に。そもそも立ち食いでも席と言うのだろうか。場所獲りと表現するべきなのだろうか。

どうでもええ。

必要な薬味はテーブルの上にそろっている。奥のテーブルでは欧米人のグループがうどんを食していた。

ぶっかけ肉おろし温泉卵うどん

食券購入からテーブル確保までの一連の儀式が終わり、私はようやく渡されたうどんを落ち着いてみることができた。

え?これって…冷たいうどんだよな。確かに、冷たいそばをどんぶりに入れて冷たいつゆをかけたやつを「ぶっかけ蕎麦」と呼ぶ。しかしうどんの「ぶっかけ」は温かいのではないだろうかと勝手に思い込んでいた。表の案内板には、温かいのは「かけ」、冷たいのは「ぶっかけ」と記されていた。

紛らわしいわ!

ネットで検索すれば分かるが「ぶっかけうどん」は「冷たいうどん」を意味しない。香川では温かいものが供される。「当店ではこうです」という自己解釈、独自定義の飲食店あるあるではないか!私は汁物が飲みたいのだ、温かいうどんが食べたいのだ。謀ったな?シャア!と、いくら心の中で自問自答しても、この冷たいうどんが温かくなるわけもない。手をかざしていれば湯気が出てくるわけでもない。現実を受け入れよう。世の中は理不尽でできているのだ。これが東京なのだ。

テーブルの上の天かすは無料だ。おろし生姜を添えてみる。さっぱり感が増すはずだ。うどんはコシがある。色は薄いが塩っけの効いたつゆである。

肉は柔らかくて薄味だ。温泉卵の黄身を潰してうどんにからめる。卵の甘さが加わるだけでなく、つゆの塩気が若干マイルドになり、旨さが増す。だがしかし、つゆが私にはしょっぱすぎる。塩が立ちすぎだ。やはり温かいうどんを食べるべきだった。温かいうどんを食べるつもりだった。どこで私は道を間違えたのだ。人生をやり直せるものならば、店に入る前に戻りたい。

セルフなので食器を下げて退店だ。外国人客も多い。出口通路に置かれた冷蔵庫には、大量のうどん生地が寝かしてあった。

次回はかけうどんを食べよう。

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