新橋駅ランチ
新橋駅の駅前で打ち合わせがあった。会議が終わるとランチの時間だ。新橋駅界隈は飲食店が数多くある。今いる場所は新橋駅前ビル1号館。地下1階、地上1階、地上2階に飲食店のフロアがある。これだけあれば何か食べたいものもあるだろうと軽く考えていた。しかし3フロアを回ってみて分かった事は、ゆっくり食べれそうな店がないと言うことだった。
新橋駅の地下道に出る。チェーン店しかない。何か昔ながらの、そしてゆっくりと食事のできる店広々としたスペースは無いだろうか。都心の地下にそんなものを求める私が間違っているのだろうか。仕方ない、先程の行列のできる店の隣あたりの空いている店で飯を食うしかないかと心が折れかけたとき、ひとつの看板が目に入った。左手に店があると書いてある。三段ほどの段差を上り、左に向かうと一軒の店があった。喫茶店のような趣だ。
表にランチメニューが書いてある。日替わりはステーキ丼そしてカツカレー。私はもつ煮込み定食が気になった。ここにしよう。
新橋駅BOX
店の中は喫茶店と言うよりは婆だろうか、それもおしゃれなやつではなく、何か田舎の商店街にありそうな感じの店だ。中は広々としている。昔もそれほど多くない。お好きな席をどうぞと言われ入り口近くのテーブルに座った。
さて、何を食べようか。
相方は日替わりのステーキ丼を食べたと言う。私はやはりもつ煮込み定食だ。確か最近、もつ煮込みを食べようと思って注文し忘れ、口にする機会を逃した、そんな記憶がある。もう何日も前のことなので、どの店のことだったのかすら覚えていない。好機再来、カフェでもつ煮を食べるのも一興ではないか。
BGMは懐かしの60年代アメリカンポップス。三食丼は売り切れだ。日替わりAはステーキ丼。昨晩は牛雅で焼肉だったので避けたい。カツカレーも微妙なので、初志貫徹でモツ煮込み定食をセレクト。
もつ煮込み定食
食事の基本は味噌汁からだ。お椀に口をつけ、一口すする。ああ、ほっとする。私の場合お袋の味とは言わない。自分で作った料理の味だ。日本人の原点は味噌汁にあるのではないかと思うことは少なくない。ジューシーなきざみ揚げと厚めに切ったネギ。このネギが熱々の味噌汁によって、刺激がマイルドに変換されるも、しゃきしゃきの食感は残したままだ。これが味噌汁の力だ。ネギがシャキシャキしているのは、味噌汁の温度では細胞壁を接着するセルロースを分解するほどの熱量がないためだ。ネギの刺激がゼロなのは、味噌汁の熱によって、刺激成分の硫化アリルが別の成分に変化し、甘みが出るためだ。これを利用したのがカレーの玉ねぎ炒めだ。
酸味控えめすり下ろしドレッシングとみずみずしい野菜の組み合わせ。最高。この3倍は食べたい。モツ煮は生姜と生ニンニクのスライスが効いている。煮込みは臭みなく、柔らかく、味噌のコクととモツの旨味が見事に混じり合い融合した絶品である。これを白いご飯がしっかりと受け止める。一味がかなり辛い。想定外だ。あまり赤くなかったのにこのスパイシーな刺激、黄金一味とかいうやつだろうか、油断したわ。
浅く使ったきゅうりのぬか漬けがこれまた美味い。たった二切れでは満足できぬわ。そう、もっと食べたいと思うくらいがいい、満足に少々足りないくらいが腹八分目だ。サラダも漬物も大量に食せば塩分過多となる。
ステーキ丼も美味いらしい。相方ががっついて食べていた。これが若さか。ああ、やっぱり満足だ。美味い飯を食うと幸せに包まれる。心が満たされる。さあ、次の仕事に行きますか。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)