香箱蟹

富山市 四季彩 ~香箱ガニとノドグロ塩焼き~

新幹線が開通してから初めて来た

数年前に意見の違いから仲違いしてしまった富山の知人がいた。それから割と最近まで話をしたことがなかった。ひょんな事から互いに昔のことは水に流すというか、知人はもともと気にしておらず、私だけが一方的に気にしていたのかもしれない。本当に久しぶりに飲むことになった。

富山に来るのは何年振りか。5年は来ていない。少なくとも新幹線が開通してから初めてだ。それまでは新幹線で東京から越後湯沢に行き、はくたかに乗り換えて2時間半だったろうか。4時間はかかったと思う。学生時代は東京から寝台特急「北陸」や夜行急行「能登」に乗り、8時間かけて行ったこともある。そうだ、車で6時間かけて行ったこともあった。

それから考えると、2時間半で富山まで来てしまうのは革命的というかイノベーションと言うか、すごいことだと実感する。北海道も早く札幌まで開通してほしいものだ。

本当に隣人同士は仲が悪い

知人がとってくれた店は「四季彩」という、富山の繁華街「総曲輪(そうがわ)」の入口にたたずむ料理屋だ。6人ほどで店に入ると「本日は予約で満席です。」と張り紙がしてある。すごい人気店なのだろう。これは楽しみだ。

個室に通される。掘りごたつのいい感じの和室だ。まずは全員、ビールで乾杯する。刺し盛りが運ばれてきた。さより、ヤリイカ、サバ、寒ブリ、つぶ貝、白エビ、マグロ、ノドグロ。マグロ以外は地のものだと言う。

「富山湾のご馳走だ。」

知人が言う。それを聞いた能登の知人が言い返す。

「越中さんはアレだなぁ。俺らと同じ海で獲った魚を富山の幸と言うからなぁ。」

本当に隣人同士は仲が悪い(笑)実際にはこの二人、すこぶる仲良しである。

とにかく美味い。最近はめっきり酒に弱くなってしまったので、日本酒は控えるようにしている。だが、やはり刺身に合うのは日本酒だ。しかもそれが地酒ならなおさらだ。

「この酒、甘いな。」

知人が言う。辛口が好みなのか?甘いと言うことは私が好きな純米酒ではないのか?

「あー、これ、純米吟醸だ。幻の瀧だよ。黒部の酒。」

なんだと?それは私が若い頃に好んで飲んだ酒だ。埼玉に住んでいた頃、近所に「日本名門酒会」と看板に書いてある、日本酒が豊富に置いてある酒屋で売っていた。味見くらいはいいだろう。私は手にしていたハイボールを置き、ガラスのお猪口によく冷えた酒を注いで口元に運んだ。口をつける。美味い。やばい。これは酒が進んでしまう。

日本海の海の幸に舌鼓

富山の知人は私の対面に座っていた。二人でいろんなことを話した。政治のこと、社会のこと、世界情勢のこと。やはり彼との話は楽しい。ハイボールを飲んで喉を潤し、刺身を食べては日本酒を飲む。

「香箱(こうばこ)ガニです。」

宝石のような料理が運ばれてきた。こちらで獲れる雌のズワイガニ。これは新潟で獲れたものだという。私の文章能力では「美味い。」としか書けない。酒が進む。やばい。

トドメがノドグロ。喉が黒いからノドグロ。テニスの錦織選手の好物として一躍有名になった魚だ。背側もうまいが腹側の身の甘さは絶品だ。綺麗に焦げ目がついた、ほどよい焼き加減のパリパリの皮目と身を一緒にいただく。塩加減もバッチリだ。酒がすすむ。やばい。もういろんな意味でお腹がいっぱいだ。

「そろそろ出ようか。」

気がつけば2時間が過ぎていた。うまい酒とうまい料理、楽しい仲間との時間半あっという間だ。今日の締めは富山ブラックラーメンなのだろうか。お腹いっぱいなのに締めを考えてる時点で食べる気満々ということなのだろう。しかしこの夜は楽し過ぎて、最後の方はあまり記憶がない。翌朝、スマホに何も写ってなかったからラーメンは食べていないと思う。スマホのカメラが人間の脳の補助記憶装置だなんて便利な世の中になったものだ。

四季彩

住所:富山県富山市総曲輪2丁目8−24
電話:076-492-2299
営業時間:17時半~22時半(ラストオーダー22時)
公式HP:http://shikisai-toyama.com

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