蕎麦 昌平
今晩は予定が急にキャンセルとなり、一人でゆっくりとることになった。以前から気になっていた店があるので、この機会に行ってみることにした。
メニュー
店に入るとカウンター席に案内された。店内はそこそこ混んでいた。さて、何を食べようか。つまみはなかなか充実している。
蕎麦屋に来たのだから、締めは当然、蕎麦だろう。長野のようにはならないぞ。もちろん、冷たいそばだ。ここは二八が基本で、オプションが十割だろうか。
日本酒の充実っぷりは半端ない。これはこれは…やばいでんがな。飲んでまうがな。まずはビールだ。
お通し
塩辛は見た目からして好みだ。ステビアで着色されていない、自家製っぽい感じだ。味も肝の甘さが生臭さに優っている。イカはコリコリと生っぽい。ああ、日本酒が飲みたくなる。
きゅうりぬか漬け
やや浅漬け、古漬け独特の酸味が少し感じられるが、自家製のようだ。鰹節をかけるとさらに美味いだろう。我が家のぬか漬けといい勝負だ。
季節のおひたし
小松菜である。お浸しなのにみずみずしく、清涼感あふれる。上品な糸削りが美しい。
鰹節の下からキノコが出てきた…松茸? 小松菜ってこんなに美味かったか? 歯ざわりも良く、柔らかく、クセがなくて、薄口の出汁に相まって松茸の香りを生かす。小松菜はもっと筋張ったものと思っていた。 これはいい。ついつい食べてしまう。
田酒
やはり日本酒を飲むしかないか。ならば、田酒だ。特別純米だ。お調子に並々。嬉しい。
揚げ出し豆腐
生キクラゲかと思ったキノコは天然物のなめこだ。なかなか見かけない。タレは甘めかと思いきや辛め。豆腐がまとった片栗粉が甘めだからか。なめこだけではない。えのきも入っている。大根の辛味も消えない。素材の味を活かすにはキリっと締まった味わいの方がいいと言うことか。主役の豆腐も舌触り滑らか。どっしりとした食感にタレが絡み、薬味が華を添える。王道だ。
ネギ豚
気になっているネギ豚について質問する。豚を揚げ、ネギをまぶしてタレをかける。美味そうだ。注文する。
ここで田酒お代わり。新しいお銚子に酒が注がれる。嬉しい気遣いだ。お冷も頼む。水がマイルドだ。そういや日本酒のチェイサーのことを何と言ったかな。そうだ、和らぎ水だったか。
ネギ豚。豚ロースの味付けなしの唐揚げにネギと大根おろし、タレはポン酢。想像とだいぶ違う。感覚的には油淋鷄。食べればうまい。カリカリの衣にロース肉の旨味、脂の甘み、ネギの辛味に大根おろしのまろやかさにさっぱりとしたポン酢が味わいを広げる。これらが渾然一体となり、トンカツでもトンテキでもない、新しい味を醸し出す。意外にも日本酒との相性がいい。
だし巻き卵を注文する人が多いな。酒のつまみにいいもんな。
名残惜しいが、いよいよ締めだ。時期的に新そばなので、店としては十割蕎麦がイチオシらしいが、私はあえて普通のせいろなのだ。十割蕎麦は好きではない。
ざるそば
ざるに盛られた蕎麦は細麺で、きらきらときらめき、透明感があり角が立っている。まずい要素が見当たらない。そばつゆは予想通り辛口。せいろの蕎麦をむんずと箸でつかみ、軽くつゆにつけて口に放り込む。喉越し良く滑らか。口中に蕎麦の香りがひろがる。これはたまらん。
ごちそうさま
最後は蕎麦猪口に蕎麦湯を投入。うん、締めのスープじゃ。そばの醍醐味だ。栄養学的にも、ゆでたときにお湯に溶けだした水溶性の栄養素を、蕎麦湯で回収するのは理にかなっているのだ。特に、かつて「ビタミンP」と呼ばれたルチンは、さまざまな効能を持つポリフェノールなのだ。
ほろよいで、いい気分だ。腹もいっぱいだ。帰るとしよう。明日はどこに行くんだっけな。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)