西安刀削麺酒楼 芝店
夕方の打ち合わせが終わり、取引先の方と一緒に食事をすることになった。会社の近くで美味い店はいくつかあるが、中華料理ならばここしかない。
刀削麺酒楼である。
浜松町界隈に中華料理店は数あれど、私の口に合うのはこの店だけだ。まともな料理が食えるのはここだけだ。あとは、なんだかいろいろと微妙で、結局、一度食べただけで二度と行っていない。
取引先の方も中華料理を食べたいと言う。彼は地方で会社を経営しているので、本格的な中華、いや中国料理を食べる機会はそうそうないのである。国際都市東京の魅力は、なんといってもその料理の豊富さだ。素材は地方の方が圧倒的にモノも鮮度もよい。だが、世界中の料理が集まるのは国際都市ならではなのだ。
凉拌干丝
コース料理ではなくアラカルトで注文。しかも私の主観でオーダーすることで、相手から同意を得た。まずは干豆腐千切り野菜和え。私の好物である。豆腐をのして薄くのばしたものを乾燥させたものが干豆腐である。日本語では湯葉と訳されたりするが、煮て非なる素材なのだ。これを水で戻して千切りにする。
まるで麺なのだ。
原料は大豆だから高たんぱく低カロリーのヘルシーな食材である。これを野菜と油で和えて塩で味を調える。シンプルな料理だ。
鉄鍋餃子
鉄板で焼いた餃子である。そもそも餃子は鉄製の平鍋で焼くものだが、それを皿に出さずに鉄板ごと供するのは、九州北部を中心に広まったスタイルである。発祥は福岡県折尾(現在は黒崎に移転)で営業していた「やまとぎょうざ本店鉄なべ」だそうな。鉄鍋に乗ったままの餃子はすぐに冷めることもなく、あつあつジューシーなまま食べることができる。
炒豆苗
豆苗の炒め物。高温でさっと調理されたシンプルな味付けの野菜。素材の旨味を火力で引き出し、加熱することで野菜も柔らかくなり、食べやすくなる。これぞ中華の真骨頂である。和食で言えばお浸し、洋食で言えばサラダに相当すると言っても過言ではないだろう。
小籠包
薄皮で包まれた餡にぴっちりと貼りつく様は、若い女性が服の上から水をかぶった様子を彷彿とさせる。セクシーだ。
小籠包は上海料理であり、四川料理の店で出てくるのは不思議な感もあるが、ここは日本。北京ダック(北京料理)もふかひれ(広東料理)も麻婆豆腐(四川料理)も同じ店で食べられる国だ。中国人観光客が見たら腹を抱えて笑いそうだが、そこはしたたかな在日中国人。郷に入れば郷に従えと、日本人に人気メニューは貪欲に取り入れる。マーケティングの基本だ。
だいたい、日本人は中華料理と中国料理の違いも分からない人が大半なので、問題ないのだろう。
孜然羊肉
羊肉のスパイシー焼きである。クミンをかなり利かせてあるのがポイントだ。羊とクミンは相性がいい。日本ではあまりなじみがないが、中国では割と一般的だ。
麻辣刀削麺
〆はこの店の代表作である。さすがにハーフサイズでお願いした。言うことなしである。
ごちそうさま
現在時刻は午後7時前。まだまだ宵の口ではあるが、午後5時半から食事を開始した上に、朝は5時起き、飛行機で沖縄から来てとても疲れた。眠いので一軒で切り上げる。部屋に帰って、軽く飲んで眠ろう。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)