大豊記 特製麻婆豆腐
グルメ

東京都港区 大門駅 恵比寿餃子 大豊記

青魚専門店だったはず

行こう行こうと思っているうちに店がなくなっていた、なんてことは人生に何度かあるものだ。ようやく食べに来れたと思ったら数ヶ月後には無くなっていた、なんてこともある。一度でも食べられたのであれば心残りもないが、そのうちに来ようと目論んでいたのに、ある日を境に対象がいなくなってしまえば、まさに破れた恋心そのものである。

朝の通勤電車で毎日見かける女性の後を、思い切ってつけてみよう…違う、それではストーカーだ。勇気を出して触ってみよう…だめだ、それは犯罪行為だ。ダメ元で声をかけてみよう、そう、それが青春だ。

「お姉さんのパンツ、何色?」

アホか?!それはキャバクラのねーちゃんにいうセリフやんけ!朝から何を言うてんねん、てなもんや三度笠。なんて妄想してはや二年、ある日からぱったり見かけなくなって寂しくなった二十五歳の秋、なんて甘酸っぱい経験は生涯皆無であるが、一度でいいからお見合いなるものは経験してみたかった。五十路には もはや叶わぬ 夢である。

テーブルセッティング

朝一便で沖縄から上京し、羽田空港で天ぷらを食べ、昼は結婚式場で仕事。その後、懇親会が午後4時から始まり、酔っ払って芝大門に戻ってきた。現在時刻は午後9時過ぎ。だいぶ酔っている。あれ?二時間ほど記憶が空白である。もしや西川口のスナックで飲んでいたのだろうか。

まあいい。腹が減った。目の前には餃子専門店の看板が見える。ここは以前、青魚専門店ではなかったか。そこそこ繁盛していたように思う。いずれ食べに来ようと思っていたのだが、無くなったものは仕方がない。それよりも新しい店だ。餃子なら夜食にもちょうどいい。

外観

恵比寿餃子 大豊記

店内に入るとカウンター席に通された。お一人様専用席である。テーブル席は夢のまた夢、田舎ののんびりした店ならばともかく、土地の高い都会の店では客単価を上げるために、閉店間際の閑散とした時間帯であろうと、一人客は容赦なく壁面と相対するカウンター席へと追いやられるのが東京という街なのだ。

カウンター

餃子を中心とした天心類のメニュー。冷菜はエスニック系だ。パクチーマニアの私には嬉しいメニューがそろうが、餃子とは相入れない料理がいくつか見受けられる。チョレギサラダは明らかに餃子とは無縁であろう。炒・煮は四川料理、と思いきや広東料理も並んでいる。坦々麺は四川料理であるが、ゴマは使わぬ。サラダラーメンとは北海道名物はラーメンサラダとは異なるものであるか?チャーハンはこれまた広東風である。

メニュー

季節のおすすめ料理は、中華風の創作料理だ。あえて言おう。中国人が来たらメニューを見て笑い出すだろう。餃子と麻婆豆腐を一緒に出すなんてあり得ない、と。そう、和食で言えばジンギスカンと広島焼きが一緒に出てくるようなものだ。そんな店に日本人は食べに行く気になるだろうか。

いやいやいや、私はこの店をディスりに来たわけではない。飯を食いにきたのだ。餃子も麻婆豆腐も好きだから、なんの問題もないだろう。ここは日本だ。北京ダックとフカヒレが同じテーブルに並ぶ国なのだ。笑うなら笑え…いや、おかしいやろ、笑ってまうがな。

季節のメニュー

などと自問自答しておきながら、セレクトしたのは恵比寿餃子と10種類野菜のチョレギサラダ。麻婆豆腐も気になるが後回し。本格サンラータン麺も気になるが、食べきれるわけがないので次の機会だ。

餃子とサラダに麻婆豆腐

店内は黒基調の落ち着いた内装である。角ハイを飲む。

10種野菜の大豊記チョレギサラダ。ごま油の香りが鼻を抜ける。紫タマネギ、大根、人参、水菜、カイワレ、ルッコラ、サニーレタス、トマト、海苔、揚げワンタンの皮。少し塩っぱくてピリ辛でもあるがモリモリ食べられる。

チョレギサラダ

重量感あふれるどっしりとした餃子。食べ応えがある。肉まんのようだ。具は肉とエビの香りがいい。ジューシーさはないが、噛めば噛むほど旨味が溢れ出てくる。ニンニクを使わない大陸の餃子に近い。しっかりとこねられたハンバーグを食べてるかのような錯覚に陥らないでもない。

餃子

下味がついているからそのまま食べろと言われたが、少々物足りない。黒酢が欲しいところだが見当たらない。代用として普通の酢につけて食べてみる。

なんか違う。悲しい。

さて、食欲に火がついた。麻婆豆腐をオーダーしたところでラストであった。これ以上はもう食べることができない。いや、これでいいのだ。おそらく麻婆豆腐が私の最後の一品となろう。我が夕食に一片の悔いなし。

トイレは温水洗浄便座である。

特製麻婆豆腐

見た目は本場っぽい、熱々の一口を食べる。鼻孔を抜ける花山椒の香り。舌が痺れる感覚。これだよ!最近はマーラーブームとはいえここまで花山椒をフィーチャーした麻婆豆腐はそうそうお目にかかれない。肉はひき肉ではなく包丁で叩いたものだ。豆鼓のコク、肉の旨味、花山椒の刺激に唐辛子の辛味、すべてが混然一体となって豆腐を包み込む。辛さは大したことがないが、首筋から顔から汗がほとばしる。ボリュームもなかなか。食べきれない。悔しい。断念した。

ごちそうさま。今度はランチに来てみます。