御膳更科蕎麦

東京都 大門駅 布屋更科 白魚かき揚げ 御膳更科蕎麦

芝大門 布屋更科

今晩の食事は零号機こと娘のハルハルとするはずだったのだが、仕事が立て込んでいてキャンセルした。ごめんよ、ハルハル。来週は一緒に食べるからね。モノレールは浜松町に到着した。金杉橋口から出て、会社に向かって歩く。

中華はない。ラーメン屋が開いていた。昨晩もまぐろラーメンだった。パス。

インド料理店、来てみたかった店だ。夜にしよう。

ビストロも開いている。餃子酒場も開いている。テラスで食べている客がいる。

だが、私は心のうちに決めていた。蕎麦が食べたい。白い更科そばが食べたい。それが、会社から歩いて行ける場所にあったのだ。

まさに灯台下暗し。

すべての誘惑を振り切り、大門を横切ると、着いた先は布屋更科である。

ここか。芝大門から歩いてほど無いところに店がある。

メニュー

店外にもいろいろとメニューが書かれている。夏の新そばが食べられるのか。鹿児島なら七月にも収穫できるというのか。そういえば、今は沖縄県宮古島市にも蕎麦を作っている農家があると、松山で読んだな。

なかなかのこだわり用だが、私は十割蕎麦や代わり蕎麦は好まない。白い更科一本なのだ。

「手引き製粉と同じ速度で機械式の石臼を回す」のがこだわりだと書いてある。それは違うのではないだろうか。機械は等速に動くが、人間が石臼を回すときには、必ず速度にムラが発生する。それが 「1/fゆらぎ」である。

そうか、この石臼はインバーターで微妙にモーターの回転を制御して1/fゆらぎまで再現しているというのだろうか。もしくは、 1/fゆらぎを持つ、自然界の風力や水力のエネルギーを、直接用いて石臼を回転させているのか。それならば、人の手で挽いたのと同じだと言えるだろう。

まあいい、店に入るとしよう。大きなテーブル席に案内される。すでに午後二時前だ。店内はさほど混んでいない。

さて、なにを食べようか。白魚かき揚げが食べたいが、蕎麦は御前更科といきたい。蕎麦を変えられるか尋ねてみると、できると言う。ならば、ここは大盛りなのだ。ガッツリ食べるのだ。

白魚かき揚げ 御膳更科蕎麦

やってきました。 ああ、白く透き通った 更科蕎麦が食欲をそそる。そばつゆをなめてみると甘めである。江戸前蕎麦は辛口が多いので意外だ。とはいえ、つけ過ぎは厳禁だ。

のどごし良い伸びのある蕎麦。そうめんにも見えるが、食べれば間違いなく蕎麦だ。違うな。そうめんの白さは平面的だ。ベタの白塗りだ。対して更科そばは立体的だ。透明感があるためだ。断面が丸いそうめんに対して蕎麦切りは四角い。角が立つから透けて見える。透明感に溢れ、立体的になるのは当然だ。

天ぷらはカリカリ熱々。三つ葉の香りが白魚を包み込む。ほんのり、エビの香りもする。白魚独特の苦味もない。厚みのあるピーマンも箸休めにちょうどいい。衣が蕎麦屋の天ぷらっぽくない。

美味い。

がつがつと白い蕎麦を食べる。ああ、たまらない。最後は、あまり色の付いていない蕎麦湯を蕎麦猪口に注ぐ。一口飲む。これは上等なスープだ。ホッとする。

ごちそうさま

大門にこんなそば屋があるなんて。北海道の更科蕎麦に比べると、やはり水や気候の違いなのか、少し不満が残る。ただ、今は気温が四十度にも達する異常気象の真夏だ。秋になり、天候が落ち着いてくれば、さらに美味い蕎麦を食えるのかもしれない。

次回来ルならば…秋か。松茸せいろでも食べてみようか。

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