夜は知人との会食だ。シリアスな話をしなければならない。半個室の落ち着いた店で食事ができればいいと考えていたら、知人が店を案内してくれた。連れていかれた先は思案橋にある和食店「呑(どん)」
店内は木目調の落ち着いた内装だ。店に入った瞬間に分かった。この店は当たりだ。美味いものが食えるに違いない。お座敷席に通されると、まずはビールで乾杯だ。いわゆる(とりあえずビール)」だ。
お通しからして美味そうなのだが、まったく味を覚えていない。食べたものも、写真を見て理解できたくらいだ。鯨が美味かったことだけは覚えているが、具体的な味は記憶にない。
刺身盛合せは、さえずり、ベーコン、うねすに百ひろ(小腸)だと思う。
紋甲イカの刺身。透明な身に飾り包丁の角の立った切れ目が美しい。もちろん、ねっとりとした甘いイカだったような気がする。ああ、こういう料理はシリアスな話をしながら食べたくないなあ。
希少なアサヒガニも食べたというのに、写真はピンボケだし、味は覚えていないし、散々だ。カメラを扱いながらも、酒が入ってる上に、頭の中では違うことを考えているから、集中できないなかで、誰かに急き立てられているかのような状況だ。味はまったく覚えていない。というか、食べたのだろうか。一切れくらいは口にしたと思うが、分からない。
デジカメではなくiPhoneで撮影すればよかった。スマホのカメラは画質はデジカメに及ばないが、その分、お手軽に撮影できるように設計されている。詳しく話すと専門的になるので、やめておくが、考えてみれば、カメラの基本的な理論を覚えたのは中学生の時だった。今でもかなり役立っている。
締めの牛肉グリルもなかなかのものだった気がする。
知人の後輩がやっているこの店に連れてこられたのはいいが、さっぱり味が分からない。食べたかったものをつまんでいるのだが、まあまあ美味い、不味くはない。シリアスな話をしながらの食事はつまらない。それは正確ではない。食事に関してだけならば不満があるが、目的が食事ではなく話にあるのだから、食べるのは二の次である。
仕方がないのだ。それに目的は達成されたから、文句も言えないのだ。
なので、この店には再度、食事だけをしに訪れなければならないのだ。そのときはじっくりと長崎の味を堪能させてもらうことにしよう。
I shall return!
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)