2020年4月9日

東京都港区 泉岳寺 喫茶 アイヴィ

泉岳寺

赤穂浪士の墓があることで有名なこの地に、私は特別な思い入れがある。昭和63年11月17日。泉岳寺駅から徒歩五分にあった株式会社NSAで、プログラマーのアルバイト面接を受け、即採用となり、翌週から会社に来るように言われた。そして四ヶ月ほど勤務した。アルバイトとはいえフルタイム勤務で、名刺も持たされた。初めての社会人、初めての大規模システム開発を経験した。この体験がもとで、平成となった翌年五月に、ソフト開発会社を渋谷区笹塚に知人と設立したのだった。

もう30年近く前のことだから、当然、大きく変わっているだろうし、自分がどこまで覚えているかも分からない。ランチによく行った店、夜に連れて行ってもらった店、まだあるのだろうか、自分は見つけきれるだろうか、少し楽しみでもあった。

いつもなら浜松町の社宅に泊まるのだが、この日はすでに予約が入っていて泊まれなかったために、空港までのアクセスを考えて、泉岳寺のアパホテルに泊まることにした。あとで分かったのだが、この日の社宅の予約はキャンセルされていて、実は泊まることができたのだった。

小雨の降る中、アパホテルにチェックインすると、折りたたみ傘をさしながら、あたりを歩いてみた。自分が勤務していた会社の雑居ビルは、第一京浜沿いにあった。道路に面して大きな窓がある、7階建くらいの茶色いビルだ。しかし、あたりは大きく変わってきて、やはりわからない。

この辺りに、よく上司に連れて行ってもらった美味しい寿司屋があったはずだ。私の記憶が確かなら、初めての回らない寿司屋であった。上司は帰り際にいつも折詰を土産に頼んでいた。ああ、波平さんもこうやって買うんだなと思ったものだ。その店はステーキ店に変わっていた。あと二箇所ほど、ランチによく行った店じゃないかと思しき飲食店もあったのだが、自信がない。思い出は思い出のままにしておこう。

それよりも、現在差し迫った問題は、まだ昼飯を食べていないこと。考えるべきは、私はどこで何を食べるかということなのだ。泉岳寺交差点には、いくつかの喫茶店があったのをなんとなく覚えている。その一つでランチを食べることにした。

喫茶 アイヴィ

店は少し長細いレイアウトだ。20人くらいでいっぱいの店内のテーブルの半数に客が座っていた。BGMはアメリカンオールディーズだ。すでに14時を回っているから、ランチを食べているのは一人だけ。皆、話をしていたり、仕事の打ち合わせだったり、時間を持て余している老夫婦もいる。

ハンバーグに惹かれたが、今晩はステーキハウスで懇親会なので、豚しょうが焼き(ライス付き)にした。最初に目に付いたメニューだからだ。ランチタイムをとっくに過ぎた店内で食事をしている客は少数派だ。壁には色々と注意書きがある。ランチタイムにパソコンを使うなとのことだ。小さなテーブルにパソコンを置かれると、相席できないからだろうか。

それほど時間を置かずに、注文したランチが運ばれてきた。ライスは皿に盛られている。

しょうが焼きは肉が柔かい。反面、玉ねぎはシャキシャキだ。ピーマンも歯ごたえがいい。味付けは醤油ベースの辛口で、甘さはない。見た目で味が少し濃いかと思ったが、ライスと食べれば問題ない。むしろマヨネーズ付きの野菜と合わせて食べるとうまさ倍増だ。

ボリュームはそれほどでもないが、私の年齢にはちょうどいいくらいだ。店内に若い客はいない。若者はスタバやドトールに行くのだろう。喫茶店も昭和生まれしか客がいないのだ。

さて、飯も食った。この後は六本木で開催されるビジネス交流会に参加する。半分は欧米系の外国人らしい。どうなることやら。雨の降る中、会計を済ませ、店を後にした。

喫茶アイヴィ(食べログ)

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