飛梅 もつ味噌煮込みうどん

仙台市 勾当台公園駅 飛梅 味噌もつ煮うどん

仙台でお一人さまランチ

仙台市国分町、その近くが本日の仕事場である。会議は13時からだ。昨晩、さまよい歩いた定禅寺通りを今日も昼から徘徊するのは抵抗がある。昨晩と同じ愚を犯したくはない。昼ならば通りを入った路地にも店があるのではないだろうか。なんの根拠もない、いや、Google マップによればいくつかの店があるようなので、散策することにした。

ラーメン店…仙台らしいものが食べたい。
中華料理かあ、うーん。
もんじゃ焼き…論外。
漁港直送の鮮魚居酒屋のランチは、なぜかローストビーフランチプレートにロースカツカレー。魚屋が肉に逃げたらあかん!

漁港直送の鮮魚居酒屋のランチは、なぜかローストビーフランチプレートにロースカツカレー。魚屋が肉に逃げたらあかん!

食べたいものがない。

なごみだいにんぐ 飛梅 本店

ふと、目に入ってきたのは「仙台新名物 みそもつ煮うどん」の文字。え?このクソ暑いのに煮込みうどん?しかも仙台新名物?

店頭のランチメニューを見てみる。

「ほやソースカツ丼」

なんだ、それ?とても気になる。すごく気になる。私やホヤもカツも大好きなのだ。それ以上に味噌モツ煮うどんが気になるではないか。暑いときに熱いものを食べる。汗をかいて体温を下げる。南国に辛い料理が多いのはまさにこれだ。温暖化で日本国内も気温が上昇している。南国の知恵を取り入れる時代が来たのだ。

よし、ここにしよう。

メニュー

店に入り、テーブルに案内されて席についた。落ち着こう。相変わらずホヤソースカツ丼も非常にとても激しく気になるのだが、まずは基本だ。もつ味噌煮込みうどんだ。Bランチご飯セット、ライス少なめをリクエスト。

テーブルの上には生卵にお茶、調味料に小碗とフルセットである。生玉子は1個だけ無料でいただけるシステムだが、あくまでも自己申告制なのか、それとも玉子の殻で清算時に自動計算されるのだろうか。

壁にはホヤ押しのポスターが。ああ、食べたい。三陸のホヤはまさに今が旬。苦手な人も多いが、私も妻も大好きなのだ。

テーブル席は少し個室っぽくて落ち着く。

カウンター席には酒がたくさん。ああ、飲みたくなるではないか。ホヤと冷酒なんて、ぜったいに美味い。

ふと、再度自問自答してみる。このクソ暑いのに、味噌もつ煮うどんを食べる私は大丈夫だろうか…というほど暑くはない。冷夏だ。仙台とは言え、7月後半のお昼前だというのに、気温は22度しかない。若い頃に起きたコメ不足を思い起こさせるような気候だ。対して沖縄はかんかん照りだ。30度を越す気温に蒸し蒸しする空気。真夏である。

結論。煮込みうどんを食べるのに適した陽気である。いや、今さら注文の変更もキャンセルもできないだろう。賽は投げられたのだ!前進あるのみなのである。

味噌もつ煮うどん

鍋とごはん、漬物が運ばれてきた。ぐつぐつに煮えたぎる煮込みうどんからは白い大量の水蒸気が立ち上る。土鍋の保温能力は非常に高い。蓄積された熱エネルギーが液体を加熱し、気体へと昇華させる物理変化が私の眼前で繰り返されているのだ。

テーブルの上の卵を割って鍋に入れる。

煮込まれてもコシのある、喉越しの良いうどんだ。讃岐とは異なる、きしめんのような舌触り。手延べうどんだろうか。丁寧に下処理されたもつは臭みなく、柔らかい。味付けは思いの外、濃ゆくない。もつ味噌煮にうどんを入れたかのような味わい。これはご飯が欲しくなる。一味をかけるとさらに味わいが広がる。スープを吸った天かすがコクを増幅させる。

半熟と化した黄身をとんすいに取りわける。ここにうどんを入れて、うどんと混ぜ合わせるのだ。水分を失い、旨味が濃縮された半熟黄身がうどんに絡みつき、まとわりつき、みそ煮と溶け合って融合し、 うどんの 官能的なのど越しと甘みが相まって、豊潤な味わいを完成させる。

ああ…うどんは汁がはねるので要注意なのだ。

まずは鍋の中のうどんを殲滅する。鍋のモツ味噌煮化が完了したらご飯タイムだ。定食なのだ。硬めに炊かれた粒のたったご飯に薄切りのつぼ漬け。甘めの味噌煮と塩っけの漬物が甘い辛いループを織りなす。唯一の野菜である半煮えの長ネギの食感と甘みがモツ味噌煮の香りと相まって鼻腔を優しくくすぐる。ふんわりと広がるネギと味噌の風味、ツンとくる一味はアクセント、すべてを受け止めるのはご飯だ。

うどんはスープを身にまとう。
ご飯はすべてを受け止める。

滑らかなうどんは女性のしなやかさを連想させ、ご飯は母性を思い起こさせる。女性は偉大だ。ときに包み込むように、ときにはそっと寄り添い背中を押すかのよう、陰に陽に人を支える。この料理が体現しているのは、まさに女性の素晴らしさではないだろうか。

ああ、次回はぜひとも夜に来て、美味い魚をつつきながら日本酒を飲み、締めにこのうどんを食べたいと思わずにはいられないのだった。

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