天ぷら

北海道札幌市 札幌駅 天ぷら 春帆(しゅんぱん)

今年初めての氷点下

今年最後の出張は北海道だ。東京は今年一番の冷え込み。北海道も同様だろう。天気予報ではマイナス七度となっている。今月初めにも札幌に行ったが、あの時は二度くらいだった。昨日は道北地方では吹雪でホワイトアウト(視界が真っ白で何も見えない状態)になり、あちこちで事故が発生。百台の車が立ち往生したそうだ。

ランチを食べて時計台に寄る。ちょうど通り道なのだ。晴れた空に白い時計台が映える。屋根のひさしからは氷柱が垂れ下がる。雪国の冬の厳しさを垣間見た気がする。何枚か写真を撮り、私は会議の会場へ向かった。

夕方、長い会議を終え、出席者二人と一緒にサツエキに向かう。一人は留萌に、もう一人は帯広にJRで帰るのだ。時計台の前を通り過ぎた時、一人が私に言った。

「みんな、時計台を小さい小さいと言うけど、僕ら、小さい頃から見てるからそう思わないんですけどね。どう思います?」

私が時計台を初めて見たのは、小学六年生の時だ。逆に大きいと思ったくらいで、その印象があるから大人になってから時計台を見ても、小さいとは感じない。むしろ、守礼の門の方が小さいと感じる。

二人と別れてホテルに戻り、シャワーを浴びると再び出かけた。いつもなら会議のメンバーと懇親会なのだが、年末のせいから皆忙しく、札幌に残るものはいなかった。

ひとりだ。自由だ。フリーだ。

それならば、今日の夕食はあそこしかない。雪道を歩かずに済むあの店、そう、今日のランチを食べた店で天ぷらだ。

てんぷら 春帆

札幌に来るのも何回めだろうか。この四年間で数十回になるだろう。それだけにサツエキから大通、狸小路、すすきの辺りは土地勘も付いてきた。ランチの店にも迷わず行ける。敷島ビルだ。昼間、歩いて気付いたが、この辺りには敷島ナンタラビルがいくつもある。理容店に歯科医もあった気がする。朝霞で言うところの塩味一族だろうか。

地下通りから敷島ビルに入る。階段上がってまっすぐ行けば店に着く。今は午後六時前だ。店にはまだ一組の客しかいなかった。カウンター席に通された。

まずは生ビール。それに落葉のお浸しと、刺身てんぷらセットだ。

お通しはエリンギのピリ辛たらこ和え?プニプニした食感だ。たらこと三升漬で和えたような味だ。美味い。ビールのつまみにちょうどいい。

刺身は牡蠣とタコの頭とイカ。練りわさびなので醤油にとく。タコの頭が美味い。もともと好きなのでたまらない。北海道ではよく売っているが、道外ではあまり見かけない。イカは見た目に半透明で、口に入れるとねっとりとして甘い。沖縄で売っているイカとは大違いだ。美味い。牡蠣は小ぶりだが、しっかりとした味だ。ポン酢なのが残念。レモンで食いたい。

落葉のお浸しとは、キノコだった。力なく噛むとスッと溶けるようにほぐれて、大根おろしの辛味が薄味を引き立てる。少しぬめりのある、このキノコは過去に食べたことがある。上品な味付けで食がすすむ。口に入れると、ひんやりと冷たくて気持ちいい。後に知ったのだが、「落葉(らくよう)」は北海道で採れるキノコの名前で、和名はハナイグチと言う。

天ぷらはエビ、さつまいも、かぼちゃ、春菊。衣は軽くてサクサク。天ぷら屋の天ぷらだ。天つゆがまた美味い。こんな美味い料理には日本酒だ。獺祭を頼む。

さて、次は何にしようか。ソーメンか。たまご雑炊と天ぷらの店なのに、ソーメンを食べる人が多かった。でもなあ、昼もあっさりしていたせいか、なんだか、がっつり食べたい。

ソーメンではない。

蕎麦か?

違う。

ラーメンだ。札幌味噌ラーメンだ。ガツンと来るやつが食べたいが、すすきのまで行くのは嫌だ。サツエキ地下のラーメン屋はどれもイマイチだ。近くに店はないのか?

とりあえず、店を出よう。美味かったし、雰囲気もいい。ここは行きつけにしたい店だ。

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