札幌駅 ビストロ晴
羽田から飛行機で新千歳、電車で札幌に着いたのは午後六時過ぎだった。今回の宿はユニゾイン札幌。駅からも近い。さて、少し仕事をしたら夕食だ。いつもは店選びで苦労する。今回は違う。ターゲットは定まっている。しかもホテルの隣の店だ。迷いようがない。
ドアを開けて店に入る。そこそこ混んでいる。座れるだろうか。
「ご予約のお客様でしょうか?」
予約してませんが。
「カウンターへどうぞ。」
なかなかおしゃれな店だ。
メニュー
さて、なにを食べようか。まずは江別の地ビールであるノースアイランドビールをオーダーする。とてもフルーティーだ。たまにはこんなビールもいい。
ピクルス盛合せ
甘さも酸味も控えめ。レンコンのピクルスは初めて食べたが、シャクシャクして美味い。岐阜県高山市ではタケノコのピクルスを食べた。いろんなものが使えるのだな。
トマトとタコとセロリのマリネ
見た目も美しい。トマトたっぷり。バジルの香りとセロリが合う。バランスよく素材のうまさを引き出している。酒が進む。
ポテトサラダ、ブルーチーズ風味
ポテトサラダのチーズ載せだ。練り込んでるのかと思ったので意表を突かれた。いもがゴロゴロ。ポテトと玉子のみをマヨネーズで和えている。酸味がない。これにブルーチーズが加わると、甘い牛乳のような牛脂の香りが鼻を抜ける。不思議だ。白ワインに合う。
トイレに入って便座に腰掛けたら音楽が鳴りだした。ホルストの組曲「惑星」より木星だ。どういうことだ???トイレを流すと止まった。温水洗浄便座だ。
インテリ女子たちの会話
席に戻る。隣の女子たちは朝からエミネムを聴いてる社員が病んでると大盛り上がり。
「朝は爽やかに行こうよー。」
と大爆笑。
「あんなひどい歌詞聴きたくない。だって彼女、英語できない人だもん。聴いてわかってたらあれだよ。」
さらにPPAPの話から英語の発音が悪い人をこき下ろして盛り上がっている。怖いわー。典型的なインテリ女子の会話なのだろうか。
エミネム。
名前だけは私も知っているが、曲を聴いたことはない。ネットで歌詞を調べてみる。おうふ!歌詞にはドラッグ、殺す、切り刻む、セックス、ビッチ等の単語がオンパレード。多重人格者が殺人を犯して別人格が弁解するとか、確かにほのぼのとした歌詞ではない。
これを朝から聴いてるなんてクールだぜ、おうふ!
グラスワイン
赤ワインにする。
さて、メインはどれだ。候補は3つ。牛タン赤ワイン煮。豚ロースト。ハラミステーキ。骨つきあべ鶏とキタアカリのロースト ローズマリー風味も捨てがたい。が、赤ワインを飲みたいから鳥は却下だ。牛か豚か、それが問題だ。牛肉はこの値段では和牛ではないだろうし、豚の方がコスパがいい。ということはうまいものにありつけるか。ボリュームもある。200グラムだ。よし、ここは豚ローストだ。
再びトイレへ。飲むと近くなるのだ。便座に座る。やはり木星がかかる。流すと止まる。フィッティングボードがトイレにある飲み屋を初めて見た。着替える人が多いのだろうか。
キッチンの脇を通ると豚脂の香りがする。とんこつラーメンのようだ。私の豚ローストであると推察した。ニヤッとしてしまう。
午後10時半を過ぎてもひっきりなしに客が来る。店員は毎回「ご予約のお客さまですか?」と確認している。たまに予約した人が来る。店の奥の席に通されたりしている。
豚ロースト ピクルスバターソース
さあ、来たぞ。美味そうじゃないか!さっそく一口。歯ごたえのある豚肉が、だからといって硬いわけではない、しっかりとした食感。ジューシーな豚肉とコクのあるブルーテソースがピクルスと奏でるハーモニー。赤ワインとのマリアージュもバッチリだ。このソースは白ワインでも合うくらいだからと軽めの赤ワインを勧められる。ここは専門家の言うことに従おう。おお、たしかに。口当たりの軽いワインの方がより料理に合う。
美味いよー!
余は満足じゃ。帰って寝るぞ。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)