2020年4月6日
雲丹小鉢盛合せ食べ比べ エゾバフンウニとエゾムラサキウニ

北海道 小樽駅 おり鮨

寿司の街 小樽

小樽は寿司の街として知られている。もともと川が流れていたところが暗渠になり、通り沿いに老舗の寿司屋が立ち並ぶ「寿司屋通り」が有名だ。以前、訪れたこともある。あのときは滞在40分だったので、本当にちょっとつまんだだけで帰った。ここには多くの観光客が訪れ、寿司に舌鼓を打っている。どの寿司屋も人気店であり、有名店であり、客で溢れかえっている。

小樽鮨通りで食べた巨大シャコ
昨冬、小樽鮨通りで食べた巨大シャコ

沖縄だと観光客は国際通りに行く。なぜなら観光情報誌には、国際通り周辺の店が数多くの広告を出しているからである。また、観光客が最初に目指すのも国際通りである。そして多くの観光客に評価された店は、食べログ等で高得点をたたき出すことになる。

しかし、地元民は国際通りには近寄らない。私も国際通りで食事をするのは、年に一度あるかないかだ。昨年、久しぶりに県外から来た友人と国際通りで食事をした。見事にやられた。ひどかった。だから国際通りは嫌いなのだ。観光客相手、一見さん相手ならば、いくらポッタ食っても、東京価格でも何も言われない。沖縄は日本一、物価の安い都道府県なのだ。

小樽も同じだ。鮨通りには観光客しかいない。飲み屋街はここから少し離れた花園町であるし、駅から少し離れた、大通りから中に入ったところにも店がある。やはりうまい店は、地元でそれなりに金を持っている人間が食べに行く店を聞くのが早い。

小樽 おり鮨

今回、地元の知人から教えてもらった店は、運河通りから一本入った路地にある、小さなお寿司屋さんだ。なかなかの人気店なので、予約しなければ入れない時もあると言われ、電話をかけた。問題なく予約ができた。

店構えはモノトーン。シンプルで清潔感が漂う。私好みのデザインだ。

外観

店頭のお品書きを見る。北海道の春の館が並んでいる。これはなかなか期待していきそうだ。

大将の旬のおすすめ

扉を開けて店に入ると、客はまだ誰もいなかった。カウンターに案内された。やはり一人か二人で寿司を食べるならば、簡単に貼るのが一番良い。

店内

寿司を握る大将から、出された料理のうんちくを聴きながら、私の旅先得た食の知識を披露しながら、話に花が咲くのが楽しいのだ。これも立派な食事を楽しむ要素である。

メニュー

定番メニューには鮨とどんぶりが中心だが、まったく問題ない。食べたいものと好みを言えば、客が食べたいものを見繕ってくれるのがすし職人と言うものである。

旬の食材を楽しむ

お通しは北寄貝の貝ひもである。さっとボイルしたレア状態だ。湯にくぐらせるだけで、これほどまでに変身するものなのかと驚かされる。

北寄貝の貝ひも

自分でも生の北寄貝を買ってきて、家でさばくからこそ、プロの料理人のアイデアと技法にうならされるのである。磯臭さも生臭さもまったくない。詰めとゴマで上品に味付けしてあるが、素材の魅力を邪魔しない。確かに貝ひもは出汁がよく出るが、こんなに美味いものだったろうか。

小樽産あまーい雲丹小鉢

小樽産あまーい雲丹小鉢。ウニは二種類、地元産のエゾバフンウニとエゾムラサキウニである。小樽産のウニはまもなくシーズンが終わり、その後は利尻産になるとのことだ。右側の色が濃い、オレンジ色をしたのがバフンウニ。左側の黄色いのがムラサキウニ。見た目だけではない、食べ比べると違いがはっきりと分かる。じんわりとコクのある優しい味がムラサキウニである。大将によればどんぶり向きなのだとか。バフンウニはパンチのある、深くて濃い甘みがある。鮨に向いているそうだ。

こんなウニを食べつけてしまっては、内地でそうそうウニが食べられなくなるのも仕方がない。美味すぎる。私が大好きな青森の名手、田酒が進んでしまう。

脂のってます生ニシンの刺身

脂のってます生ニシンの刺身。見た目からして脂ののりが分かる。鮮度が分かる。私が今までに数度くらいは食べたことがあるニシンの刺身とは別物としか思えない。カボスを絞りかけ、薬味と一緒に軽く醤油につけてから口に入れる。

なんじゃ、こりゃあ?

大将の言葉通り、みごとに脂がのっている。身が極上の甘さである。しかも、しっかりとした食感もある。これが薬味と醤油に見事にマッチしている。

私の好きな青魚の中でも、秋刀魚は刺身で食べない、ニシンはせいぜい焼いて食べるとしていた。この程度の位置づけだったニシンが、なぜこんなにも美味いのか。今まで食べてきたニシンはなんだったのかと、自問自答させられる。うならざるを得ない。こんなにうまかったか?産卵期のスカスカの身ではない、まったりとした味わい。下に敷かれたツマがまた美味い。 酒が進む。

厚岸産の殻付き生牡蠣

厚岸産の殻付き生牡蠣。やや小ぶりだが、きらきらと輝く華奢な細身が食欲をそそる。新鮮だから、味付けはレモンだけでいい。しっかりと搾りかけて口に運ぶ。

ああ…

小ぶりでも牡蠣は牡蠣。濃厚でしっかりとした香りと旨味を、レモンがしっかりと引き出してくれる。酒が進む。

そいの握り

ここからは握りだ。脂がのったソイの握り。北海道ではメジャーな魚だが、内地ではあまり見かけない。見た目は大きな黒いメバルであるが、白身の高級魚である。黒ソイとも呼ばれる。他に北海道には青ソイもいるが、これは黒メヌケである。青なのに黒とややこしい。メヌケは赤い魚なので、色で区別しているのだろうか。こちらも高級魚である。

甘エビはでかい。しっかりとした食感と甘み。だが、甘エビ頭がそれを上回る素晴らしさ。エビ味噌は鮮度が命だ。ちょっとでも落ちると臭みが出て食べられたものではない。味噌汁の具にしかならない。うまい。臭みない。コクがある。 カニはしっかりとした味わいだ。昨日のランチに食べたのとは別物だ。いずれも写真を撮り忘れた。食い気に走ってしまった。反省。

中トロ握り

中トロ握り、見た目はすごい。口に入れれば、シルクのようにきめ細かい、脂がたっぷりとのった身が、口の中でほろりと崩れるシャリとともにとろけていきながら、甘みとうまみを発散しつつ、はかなく消滅していく。余韻まで味わう。舌で味覚のみを楽しむのではない、まさに五感で堪能する官能的な中トロは芸術だ。爆発だ。

うに二種のせ軍艦巻き

ちょっと、大将。話がおかしぃないか?さっき、馬糞は寿司、紫はどんぶり言うとったがな。それがなんや。この、うに軍艦巻二種合わせってのは。頭おかしいんちゃうけ?混合ワクチンやないど。ガキの予防接種かっちゅーの。いいかげんにせえよ。しゃーない、食べたるわ。

はあ…これ、あかんヤツや。

こんな軍艦巻を食べてしまったら、ますます内地の鮨屋でウニが食べられなくなる。互いの長所を合わせることで発揮されるのはシナジー効果。まさに1+1=3である。いや、4である。まて、そもそもが1ではないだろう。10+10=35ではないだろうか。

そう、まさに「通常握りが全体口撃で二種ウニの軍艦巻は好きですか」と言って間違いない。

いくら軍艦巻きと玉子焼き

いくらが冷たい。食感よくて甘い。卵焼きも程よい甘さでつまみにいい。まさに追撃戦。殿の私はマグロとウニで全体攻撃を受けた上に、ウニからは二度攻撃をされた身である。完全に負け戦である。素晴らしいとしか言いようがない小樽の寿司。次回はゆっくりと食べに来ます。では、花園町に向かいますか。田酒を四合呑んだので、フラフラです。

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