大曲駅 海産問屋 北野水産 刺身盛合せ

秋田県大仙市 北野水産 炎のホタテバター焼きと十割そば

大曲駅 海鮮問屋 北野水産

夜、待ち合わせに指定されたのは駅前の北野水産。仕事の都合で待ち合わせは午後八時半。腹が減った。地元で造り酒屋を営む藤間さんが相手をしてくれた。知人の花火師は遅れてくるとのことだ。

店内に入ると奥のテーブル席に案内された。カウンターにはたくさんの銘柄の日本酒が置いてある。その中に藤間さんの酒もあった。

まずはお通し。どれも美味い。日本酒に合いそうなつまみだが、とりあえず生ビールをオーダーする。

メニューも豊富で、秋田の郷土料理の品揃えも豊富だ。食が豊かなところなのだと分かる。あれもこれも食べたい。人数がいるからこそ可能となる。無責任に注文する。

刺身盛り合わせ

鮮度よく、文句なし。店名に水産と名乗るだけはある。サクラマス、大むつにアジ。デフォルトの三品をわがままメニューに変更してもらった。サクラマスはまさに旬である。脂がのったきめ細かい舌触りの大むつも美味い。アジは言わずもがな。いきなりこのレベルが出てくるか。

大曲は山の中、横手盆地に位置するが、日本海に面する秋田市までは新幹線で次の駅、35分ほどである。ローカル線を走るので、本気の新幹線の35分とは異なり、距離にすれば50kmである。海の幸も手に入るのだ。うん、この後も楽しみである。せっかくなので日本酒を飲むのである。

じゅんさいワサビ酢

ああ、小さくて柔らかくて、つるんとした喉越し。まさに国産品。安く売られているのは中国産だが、育ちすぎているし熱を通してあるから、食感も味もイマイチ。酸味控えめの酢の物仕立てのジュンサイを包み込むマイルドなとろろにツンとくるワサビの刺激。 たまらんなぁ。

長芋とんぶり

まさに山のキャビア。シャクシャクとした山芋とプツプツとしたとんぶりの食感の組み合わせが楽しいではないか。久しぶりに食べた。以前、とんぶりを土産に買って帰ったはいいのだが、食べる前に賞味期限が切れてしまった。

かあさんのポテトサラダ。

秋田名物でもこの店のおすすめでもない。個人的にポテトサラダが好きなだけだ。なんとなく注文してみた。ずいぶんと立体的に盛り付けられている。見た目のインパクトは大である。しかも、この地ではポテトサラダをとんかつソースで食べるのが流儀らしい。

クリームチーズの味噌漬

最近、クリームチーズの漬物にハマっている。鶴岡のクリームチーズ粕漬けも素晴らしい。味と食感が似ているのが沖縄の島豆腐西京漬けである。100円でクラッカーも追加されるのだが、こいつを肴に日本酒を冷酒でいただく。うーむ、これはまずい。酒が進んでしまう。

秋田郷土漬物盛合せ

いぶりがっこに正月に食べるちょろぎ、秋田では盆と正月に欠かせないらしい、茄子をベースに菊の花を飾った花ずし、各種野菜の味噌漬けなど。パセリと大葉の緑も鮮やかに、見た目にも華やかである。

串焼き盛り合わせ

溶岩焼きである。ぎゅっと味が詰まった串焼きにレモンを絞って食べる。だいぶ腹がきつくなってきた。

川海老の唐揚げ

久しぶりに食べた。昔は身近であったが、沖縄では食べることができない。川海老が売っていない。

炎のホタテバター焼き

この店の名物料理とのこと。盛り塩の上のホタテは皿の上で火にあぶられている。煮えたぎる貝殻の中に、己の身を刻んで放り込まれた、無残な姿のホタテをさらに火であぶり、身の内をぐつぐつと煮えたぎさせられて人間の食に供される。なんてドSな料理なのであろうか。よだれが出てくる。

ざるそば

締めは心も胃腸も落ち着く十割そば。手でちぎったノリが芳ばしい。蕎麦ものど越しよく、香り広がる手打ちそば。居酒屋でこのレベルのものが食べられるとは、恐るべし大曲。蕎麦居酒屋と銘打っておきながら機械打ちのろくなものではない麺を出す、全国各地にある店は、一度ここを訪れて、己のふがいなさを思い知るがいい。

ごちそうさま

ああ、腹いっぱいだ。噂にたがわず、何を食べても美味かった。だが、一番食べてほしいものは納豆汁なのだと、大曲市街で食べるなら、とあるホテルのレストランが間違いないと何度も念を押された。

もちろん、藤間さんの蔵の酒も十分に堪能した。ハイボールをほとんど頼まずに、日本酒で一軒通すのは、年に数回しかないのだ。後悔はない。酒と料理のマリアージュ、素晴らしい日本酒を醸し出すこの地の水で育った作物、作られた料理。

いつか家族でゆっくりと訪れたい。

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