〆鰊ギンギラ丼

札幌大通 海鮮居酒屋 一松 魚力 〆鰊 ギンギラ丼

札幌大通ランチ

ん昨晩はJALの機内で夕食をとった。せっかくの北海道で食事をする機会を1つ失ってしまった。なのでこれが今回の出張のファーストランチイン北海道@札幌となる。今回の宿はいつもと違い、大通りに面したホテルだ。目の前に空港行きのバス高速バスのバス停がある。非常に便利だ。

普段であれば札幌駅前、もしくは狸小路あたりに宿泊する。もしくは豊水すすきの駅近辺だ。だが急な出張だったためにいつもの宿が取れなかった。何事も経験だ。たまには違うホテルもいい経験だ。星的に同じものばかりを食べていては、新しい憲法を得ることができる。アクシデントやトラブル貴重な機会と捉える、そんな柔軟な発想もまた人生には大事であろう。

さて、午前中の会議が終わり、関係者のほとんどはゴルフへと向かった。1部は札幌観光へと向かったようだが、私は残念ながらホテルで仕事だ。缶詰だ。1人黙々と資料作りに励むのである。

その前に腹ごしらえだ。ランチを食べよう。この辺はどこに店があるのか。1番確実なのは、踊り駅周辺、札幌駅から鈴木の駅へと続く、地下空間を歩きながら大通り周辺の店を探す。ここであれば雨に降られたからホテルまではすぐだ。

海鮮居酒屋 一松 魚力

この辺に店があるのではないだろうかと、地下空間から脇にそれる。一軒の居酒屋を見つけた。

店頭にはランチメニューのディスプレイ。うーん、悪くないかな。今日の日替わりランチは…時鮭塩焼き、今がシーズンだな。ごはんが進むヒレカツも捨てがたい。刺身と天ぷらの一松定食もそそられる。天丼とざるラーメン…はパスだ。すごい組み合わせだな。

ん?〆鰊のギンギラ丼だと?私の好きな酢締めの青魚。鰊も今が旬である。さらにここは北海道。不味い理由が見当たらない。消去法でも美味いしか解答がない。これは食べるべきだ。とりあえず、店に入ろう。

店内はそこそこ込み合っていた。カウンター席はいっぱいで、個室の席に通された。客が増えれば相席になるのは自明だ。居酒屋風の元気が出るような、かつ落ちついた内装は悪くない。

メニュー

さて、何を食べようか。改めてメニューに目を通してみる。店頭の〆鰊ギンギラ丼の見た目とネーミングに心囚われつつある自分ではあったが、一時の感情だけで動くとろくな目に遭わないのは、半世紀ほど生きてきた中で嫌と言うほど経験してきた。物事は一度引いて、俯瞰してみることが重要なのである。いわゆる鳥の目と蟻の目、というやつだ。

お刺身と何かの組み合わせは一般的過ぎる。日替わりも捨てがたいが、もう少しエッジの効いたものを食べたい気分だ。かといってエビ天丼とざるラーメンはファンキーすぎるだろう。消去法でやはりギンギラ丼だ。ギンギラギンギラギンギラ縦振りで!はうっ!まだ、昼間だ。酒も入っていない。何を一人でテンション高めになっているのだろうか、と自分を諫める。

とにかく、だ。ランチは初期値通り、ギンギラ丼に決めたのだ。

スタッフにオーダーを告げると、まもなくして皿にのせたゆで卵が眼前に置かれた。

はあ。

これをどうしろと言うのだ?ランチと一緒に食えと言うことだろうか。ギンギラ丼がやってくるまで、私は受け入れ態勢を整えることにしよう。古いビルのようだが、トイレは綺麗だ。温水洗浄便座である。リフォームしたのだろう。

〆鰊 ギンギラ丼

おなかがすいたので、ゆで卵を先に食べてしまった。小心者の私はゆで卵を食べるタイミングが合っていたのかどうか、心配していた矢先、ついにギンギラ丼が運ばれてきてしまったのだ。

キラキラに光るニシンは身が白っぽい。ああ、これは締めすぎだ。私の好みは、浅く締めたピンク色の身のニシンだ。生っぽいやつなのだ。仕方がない、食べるとしよう。わさびがでかい、これを醤油に溶くのか。こんなに必要か。疑念にかられつつ大量の練りワサビを小皿の醤油に投入した。少量をなめてみる。ありゃ、多いってことはなかったか。

大きめのニシンの切り身を箸でとり、ワサビを溶いた醤油につけ、口に入れる。なかなか脂がのっている。酸味も甘みも控えめだ。締まってはいるが旨味は殺されていない。熱々のご飯の間のとろろ昆布は、口の中で溶解しながら旨味と塩気を放つ。ごはんと鰊を包み込みながら、食感と味わいを広げていく。なるほど。これはありだな。

だが、ご飯と魚だけでは野菜が足りない。とろろ昆布だけでは十分とは言えない。ん大葉の下から大根のツマが現れたではないか。しかも透明感あふれる、みずみずしい大根である。これを一緒に食べれば味に変化が加えられるだけではない。生の大根が含む消化酵素のジアスターゼが、胃腸の働きを助けてくれる。

さらに大葉と一緒に食べてみれば…お?締めた青魚に大葉に昆布。この組み合わせは、まさに松前寿司ではないか。バッテラならば酢飯だが、これは熱々のご飯だ。白米だ。私の世界でどんぶりに酢飯はご法度なのだ。脂のたっぷりのったニシンと付け合わせを組み合わせる。不味いわけがない。その上、ごまの風味が味わいを一段と広げていく。

これはたまらん。

正午が近づいてきた。店内も混み始めた。私の向かいにも相席の客が座った。

「ギンギラ丼ください。」

私と同じ選択だ。しかも、注文を済ますと、躊躇することなくゆで卵の皮をむき始めた。食卓塩をふりかけ一気に食べる。なるほど、やはり丼が来るまでの繋ぎなのだな。まさに前座。私の行為が間違いなかったことに安堵して、店を後にしたのだった。

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