2020年4月9日
デミカツ丼

岡山駅 男うどん

岡山名物に思う

岡山と聞いて思い浮かべるのは桃太郎の吉備団子。最近ではピオーネをはじめとするブドウ。B級グルメだとカキオコだのエビめしだのホルモンうどんだろうか。しかし、きびだんご以外はパンチがない。決め手に欠ける。そもそもこいつはお菓子だ。食事ではない。

岡山に来たなら食べてみたいもの。これが思い浮かばない。サワラの刺身や叩きは一部で有名だが、時期ではない。もしかしたら岡山ではギリギリ旬なのかもしれないが、すでに瀬戸内海ではサワラは獲れないのではないか。魚河岸三代目でも、岡山で食べられるサワラは壱岐で獲れたものだと描かれていた。

調べてみると、20年前に200トンまで減少した瀬戸内海のサワラは、現在、毎年2000トンほどまで増えたという。なるほど、あの漫画は2000年前半だから、当時と今では状況が異なるのか。

同様に瀬戸内海といえばシャコも有名だったはずだが、これまた獲れない。岡山市内の寿司店でも、地物が入るのは珍しくて、ほとんどが北海道産だとのことだ。原因は分からないらしいが、資源回復には禁漁が一番効果的とのことなので、獲りすぎも考えられるのだろう。福島第一原発の影響で何年も漁ができなかった福島の海は、今や好漁場とのことだ。

何かのブログで読んだ、漁師のセリフが印象的だった。

「林業は百年先を見て木を植える。農業は来年を考えて種をまく。漁師は今日のことだけ考えて魚を獲る。」

釣ったもの勝ち、獲ったもの勝ちの漁業なら、後先考えず、目の前の魚を獲るだけ獲る。みんなが同じことを考えると、みんなが豊漁になり、魚が余り、値崩れする。いわゆる豊漁貧乏だ。瀬戸内海は外海ではないから外国船が違法操業することも不可能だ。きちんと資源を管理して生産量をコントロールすれば、価値も上がり、将来を見据えて生活もできる。そうしないと若い人たちは漁業なんで見向きもしないのではないか。

根室の知人が、魚がいても漁師がいない、と話していたことを思い出した。高度経済成長を過ごした人たちはその日暮らしでも問題なかっただろうが、今の時代、若い人たちほど先のことを考える。価値観の相違が明白だ。古い価値観の人たちがいる限り、若い人たちは後を継ごうとは考えないのではないだろうか。

男うどん

朝一の飛行機で沖縄から福岡に飛び、新幹線で岡山駅まで来た。午後から会議なのである。外は土砂降り。桃太郎もずぶ濡れだ。

ホテルに荷物を預けると、ランチを食べるためにまずは岡山駅構内を歩く。

さて、何を食べようか。

海鮮丼に天ぷらかあ。なぜか食指が動かない。

エビめしにデミカツ丼。うーん、微妙。

吾妻寿司。悪くはないのだが、おそらく今の私には寿司や海鮮を食べる気がないのだな。

おお!岡山名物勢揃い。さわら、黄ニラ、ままかり。

たい?明石じゃなくて?
あなご?広島じゃなくて?
タコ?これも明石じゃなくて?

岡山駅北口を出る。さらに店を求めさまよう。ここには私の食欲を刺激するような店はないのか。お、ここの昼定食はどうだろうか?

微妙。

一体、何を食えばいいというのか?

この辺りは以前もさまよったが、ラーメン屋ばかりだった。洋食屋もあったが、ランチはパスタばかりだ。

女子か?

その時、私の眼前に現れたのは男うどん。思い出した。何度もこの前を通って、いつかたべてみようと思っていた店である。

好機。

メニュー

ふむ。男の肉うどんに男の肉ぶっかけ。中盛・大盛無料。なかなか男前のメニューではないか。よし、ならば食わせてもらおうか、男うどんとやらを。躊躇せず店の扉を開けた。カウンター席に通される。

さて何を食べようか。やはり肉うどんが定番か。それとも季節限定のおろしぶっかけうどんか。

ご飯ものもメニューにある。

ぶっかけもののメニューだ。

先ほどはスルーしたデミカツ丼が気になる。うどん出汁から作り上げたデミソースとは、果たしてどのような味なのか。しかも小うどんセットを頼めば、うどんも食えるではないか。

これならガッツリと食えて、私の気持ちも食欲も胃袋も満たせそうな、そんな気がする五十歳。決めた、決めたぞ。そう、私はデミカツ丼、小うどんセットを食らうのだ!ふはははははは!

はーあ。

お腹減ったなあ。水でも飲んでよっと。ほどはまだ雨が降っている。

デミカツ丼小うどんセット

さて、やってきましたデミカツ丼小うどんセット。まずはうどんちゃんから頂いちゃいますよ。うーん、カツオの香り強い、甘くないつゆ。わかめとネギの香りもいい。うどんは太めで適度なコシ。これくらいのが好きだな。七味をかけると味が一層深まる。

デミカツ丼小うどんセット

では、デミカツ丼、いってみようか。その前に小鉢の冷奴を一口。ん?豆腐の味が濃い。大豆がぎゅっと濃縮された感じだ。薬味はネギと生姜、醤油は辛口。これに鰹節があれば完璧だと思うが、岡山では使わないのだろうか。

小うどん

さあ、今度こそデミカツ丼だ。なかなかな存在感だ。カツを一口かじる。ふむ。パンチはないが優しい味のデミソース。和風だしだからなのこ、紅ショウガとも相性がいい。肉は厚め。がっつりと食べる。脂少なめの肉から旨味が溢れる。野菜の量が少ないのが残念なのだが、こんなものか。金沢カレーくらい入れてくれてもいいのに、などと思いながら、食べ進む僕。美味い、美味い。

デミカツ丼 カツ

お昼をすぎて、どんどんと客が入ってくる。ほとんどの客が天ぷらうどんを注文する。女性の一人客もちらほらといる。やはりうどんを食べている。

だよな、この店でデミカツ丼は食べないよな。だからこそ、みな、この味に気がつくことはないだろう。デミグラスソースが違うのだよ!

デミカツ丼 接写

最初から気になっていた、この手前にあるデカイやつ。メンチカツだろうか。一口かじる。いや、メンチではない、ロースカツだ!

なんじゃ、このボリュームは?ご飯と肉が同量ではないだろうか。いや、これはすごい。いつもならきっと完食できなかった。朝四時起きで、朝食が機内食だった今なら、コンデイションはバッチリだ。

なんだか食えそうな気がする。

普段ならゴール直前で心が折れて、絶対に残しただろう。完食だ。加古川のかつめしとは、また一味違う一品だ。

デミカツ丼

今度は発祥の店で食べてみよう。その前に、男うどんで男のぶっかけを食べなければ。

外はまだ土砂降りだ。絶対にここは「晴れの国」ではない。

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